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誓いの刀剣(台本)

【声劇台本】

声劇

『誓いの刀剣』

登場人物・ナレーション

鷹月健斗 : 堂々とした凛々しい武将
大久保伊織 : 忠義と情熱の剣士
ナレーター : 穏やかで誠実な感じの声
家臣A
家臣B


ナレーター: ときは戦国時代。舞台は関東の鳴門城(なるとじょう)。夕暮れ時、風に舞う紅葉の美しい光景が広がっている。

健斗: 伊織、そなたの忠義には、いつも敬服している。そなたがいなければ、我が鳴門城も守りきれなかったであろう。

伊織: 恐れ入ります。私もまた主君のお力に支えられております。鷹月健斗公が率いる軍勢でなければ、我々家臣も勇気を持てず、途方に暮れていたことでしょう。

健斗: いや、そうではない。伊織、そなたの剣術と信念こそがこの城を守ってきたのだ。そなたは私にとって盟友であり、兄弟のような存在なのだ。

伊織 : 嗚呼、光栄です。私もまた、鷹月健斗公のために、命を捧げる覚悟があります。どんな困難が待ち受けていようとも!

健斗: 伊織!これからも共に戦い、共に生き抜こう!この誓いを我らが刀剣に刻もうではないか!

伊織 :  はっ!主君。仰せのままに...!

ナレーター:  健斗と伊織は、お互いの顔を見つめ合いながら、刀をピタリと合わせる。風に舞う紅葉が二人を包み込む。爽やかな秋の夕暮れが、終わろうとしていた。

ナレーター:  伊織と健斗が刀剣を合わせる中、鳴門城では悪しき影が忍び寄っていた。月明かりが、冷たい光を投げかけている。

家臣A:  伊織ひとりが主君に寵愛されるのは許せん。われらこそが、主君の忠実な家臣であると言うのに...!

家臣B:  いっそのこと、伊織を暗殺してしまえば、われらが覇権を握れるかもしれんぞ?

家臣A:  だが伊織はあの若さで剣の達人と呼ばれるほどの腕前だ。おそらくまともに向かっていっては、太刀打ちできまい。

家臣B:  それなら同士を募るまでだ。主君の伊織に対する寵愛ぶりは目に余ると、常日頃から不平不満を漏らしているやつはいくらでもいる。

ナレーター:   家臣たちが陰謀をめぐらせながら、伊織の様子を伺っている。一方、主君の健斗は、伊織の身辺を見守らせていた忍者の報告により、家臣たちの不穏な動きに気付いていた。

健斗:  伊織の周りに異変が起きている。いかに伊織が剣の達人と言えど、多勢に無勢。私があいつを守らねば、誰が守ると言うのか。

ナレーター:  健斗が密かに伊織のもとへ向かう。月明かりが差し込む薄暗い部屋。伊織は既に、寝息を立てていた。そこへ健斗が入り、伊織の肩を揺さぶって起こす。

健斗:  伊織、危険だ。家臣たちの中に、お前を狙う者がいる。この部屋の外は敵だらけだ。

伊織:  主君みずからがなぜ、こんな危険な所へ?! 私なんぞのために...!

健斗:   わかっているはずだ。

伊織:   健斗さま...

ナレーター:   突然、障子を蹴破って、武装した家臣たちが5、6人ほど刀を構えながら入ってくる。

家臣A: 我々の主君みずから伊織をかばおうとしているぞ!

家臣B:  攻撃の手を緩めるな!こうなったら2人とも始末してしまえ!

健斗:  伊織、逃げろ!!

伊織:  いいえ、私も共に戦います!

ナレーター:  伊織は刀を手にし、健斗と背中あわせで戦い始める。戦いは激しさを増し、刀がぶつかり合う音が鳴門城中に響き渡る。

健斗:   (荒い息遣い)決着がついたようだな。きゃつら、ほうほうのていで我れ先にと逃げていく(爽やかに笑う)

伊織:  ですが、あぶのうございました。ほんの少しでも油断したら、後ろから斬られるところでした。

ナレーター:  戦いが時間を経て次第におさまり、鳴門城は再び静寂に包まれた。戦いが終焉を迎えた頃、いつの間にか伊織の部屋から遠く離れた広い庭に、2人だけの姿があった。

健斗:   伊織、怪我はないか?!そのおびただしい血はお前の血か?!それとも返り血か?

伊織:   はい、傷ひとつございません。健斗さまが命がけで私をかばってくださったおかげです。ありがとうございました。私ほどの幸せ者はこの世にいません。

健斗:  伊織!よくぞ言ってくれた!

ナレーター:   健斗と伊織は、どちらからともなく腕を上に伸ばして再び刀を合わせる。風に舞う紅葉が美しい。合わせた剣の音が響き渡り、その勇気と誓いは、彼ら2人の絆を、よりいっそう深めるのであった。

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