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変わってしまった唐揚げ定食と、ずっと変わらないたい焼きと。

元気がないときや疲れているとき、いつもお昼ごはんを食べに行く定食屋さんがあった。
そこでごはんを食べるとお腹もこころも満たされて、午後からも頑張ろうと思えていたからだ。

———そのお店は、行くたびに店員さんが複数人変わっていることが多かった。
それでもキッチンで料理をしている人は同じだったし、味に変化があるわけではなかったから、特に気に留めず通い続けていた。

だけど、いつしかキッチンに立つ人も変わって、通い始めた頃にいた店員さんは誰もいなくなって。
メニューも増えたりして、少しずつ変わっているんだなと思ってはいた。

それでも、いつも頼むメニューは変わらず美味しかったから食べに行っていたのに。
今日出てきた唐揚げ定食は、これまでと比べてびっくりするくらい衣が分厚くて硬く、とても食べづらかったし、衣でお腹がいっぱいになってしまって、食べ進めるうちにもやもやとしたものが心を占めていった。

———入社してからずっと通っていたお店だったのに、もう来られないかな、と思ってしまった。
大好きだったお店の味が変わってしまったことが、こころの充電ができる貴重な場所がなくなってしまったことが、とてもとても悲しかった。

***

ずっと続きを書きたいと思いつつ、筆が止まってしまっている物語がある。

りようさんと一緒に書いている、「あんこちゃんとクリームくん」シリーズ、通称「あんクリ」だ。

小説版の主人公であるあすかさんは、亡くなった祖母、ふじえさんに代わってひとりでお店に立っている。

元々は商社勤めだったあすかさん。
幼い頃から慣れ親しんだふじえさんの味を守り続けようとお店を継いだものの、始めは変わらない味を自分の手で作ることができるようになるのにとても苦労する。

小説版の第1話でも、語り部の「クリームくん」がこんな風に語っている。

あんこちゃんをつくるための
ひとつまみの塩はふじえさんの
ゆびのひとつまみによるものだったし
僕が焦げないように銅鍋でかき回し
続けるのもふじえさんの力加減だったから
元通りのあんこちゃんと僕になるまで
大層時間がかかって、僕たちも
自分ていうものが分からなくなって
ちょっと中学生になったら
急に素直じゃなくなる近所の
子どもたちみたいな気持ちになった

あんクリ小説版/いろり庵のあすかさん-1

———今日、唐揚げ定食を食べ終えてお店を後にしたときに感じたのが、まさにこれだったのである。

それまでと変わらぬ味を守り続けること、変わらず愛され続けるということは、本当に難しいことなのだ、と。

年代は近くとも、性格も生き方もわたしとは全く違うあすかさん。
りようさんのプロットを頼りにその背中を追いかけ、言葉を交わして物語にしていたヒロインの彼女と、前よりさらに繋がれた気がした。

今日も変わらずお店に立ち、変わらずたい焼きを焼いているであろう彼女に、そろそろ会いにいかなければ。

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