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あの日の君に恋をした。第六話

1月7日今日は決戦の日だ。
なごみを呼び出したのだった。
「授業の後話したいことあるからあってほしい」
そうすると思いがけず、軽く返事が来た。
「いいよ、駐車場あたりで待ってるね!」

それもそのはず、ひでがなんでこんなにも軽くOKがもらえたのか理解できなかったからなのだ。
今朝SNS消えてたのになんか反応が良い。
そして、朝どれだけ不安だったんだろうか。
周りも消されてるのかな?どうなんだろう。
そういう気持で胸が締め付けられそうであった。

ただ一安心できた。
「よかった。」

授業が終わり、もしかしたら帰っちゃったとか言われるのかなと思っていた。
そうしたらまさかの教室の前で待っていてくれた。
心の中でひでは思った。『僕はどれだけ大切な人の事を信じれてないんだよ』
なんでだろう。今日は全部順調だ。
ただ一つ計算外であった。なごみの友達が隣にいるのはなぜだ
疑問だけが残った。

いつも通りマイペースななごみが急に言葉を発してくれた。
「僕を不安にさせないように待っていてくれたのか。」と心でつぶやいた。
なんて女々しい男なんだ。
「ちょっとまってて、休学届を出してくるね」
なんでだろう。そう思っていた。
なんで、なにが、なんで、なにが。
ひで自身理解していなかった。何に対しての疑問なのかを。
ひでが質問しようとした途端、空気を読んでなごみは答えた。
「留学行くんだよね」
初めて聞いた。やばいどうしよう。
去年の夏に留学行った。という話はライブ前に聞いていた。
だからもう一回行く事まで頭が回っていなかった。
あたまがぐるぐる回る。
僕は好きな人間と過ごしたいから、留学はあきらめようと思っていた。
これは僕も留学行こうと決心したのだった。
たしかに、留学期間会えなくて別れるならそれまでだとも思っていた。
しかし、せっかくの出会いなんだ。
ひではこう思った。「その人を大切にする時間それを大切にしたい」

ひでは自然を装い事情聴取のように始めた。
「なんで留学行こうと思ったの?」
なごみは嬉しそうに語った。
「海外で働けるようになりたい。そして英語しゃべれるようになれば幅が広がるから。」
もっと複雑な理由があるのかと思っていた。

ソンナ葛藤をひたすらにしていた。
気持ちを伝えるための階段をのぼりながら駐車場へと向かった。
それから口が勝手に動くように
「実は僕も留学に行くんだよね」
強がったウソは丸見えであった。
その瞬間彼女の眼は輝き始めた。
「絶対に行った方がいい。いま!」
その時に違う国でいいから行こうと決めた。

駐車場までついてくる友達がいた。正直邪魔であった。
その時だ、なごみからお願いの声が聞こえたのだ。
「オープンにしてみてほしい」
こんなに嬉しいリアクションはない。

オープンにすると甘くなく、なにか心にしみるような優しい香りだけが香ってきた。
「この香り好きなんだよね」
ひでは心の中で言った。
2人はどんな表情をしているのか気になった。
なごみの反応も気になったが、それ以上に自分が買った車の反応を楽しみたかった。
なごみと友達は口をそろえて言った。
「やっぱ匂い好きなんだね。良い香りするよ」
そこまで見ていてくれたことに正直感動でひでは家に帰ったら一回泣こうと決めていた。
告白もするのだから、どっちに転んでもきっと泣けるんだろうと思った。

なんでだろう。気が付いたらサヨウならが出る時間になっていた。
焦ったひでは無理やりではあるが口を開いた。
「二人で話したいことあるんだけど良いかな?」
なごみの友達は笑いながら快く返事をもらえた。

「え、どうしたの」
なごみは少し戸惑った表情でこちらを見ていた。

あの時の記憶はあまり鮮明ではない。
少し深呼吸した。
そして、風が吹いたんだ。
僕は背中を押してもらった気がした。

「一年後、留学から帰ってきたら彼女になってほしい。」
少し恥ずかしがっていた僕を見て、彼女はこう言った。
「一年も待てないだろうし、やめておきな」
絶対に待つ。この気持ちは揺るがない物だとだから待ってる。
そう思っていた。
ただ沈黙が怖くなる気がした。だから次に進もうと思った。
「僕の事知ってもらいたい、そしてなごみの事を知りたい。」
「そういうことね、だから今までも何回か誘ってくれてたんだね。」
そのあとは二つ返事でOK

これは嬉しい。
家に帰る途中のクラッチのつなぎは過去一といっても良いくらいに絶好調であった。
そして、さっそくデートプランを立てたのだ。
食べ歩きからのおやつを食べ帰宅というプランであった。
その日から留学のための手続きや遊びに行くためのイメトレに追われる日々であった。

出かける数日前になごみから連絡がきた。
僕の名前を呼んでくれた。

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