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【ゆる中学受験】PRESIDENT Onlineの記事を検証する~完全版

《オフィシャルブログからの転載・統合版です》
定期的に自分の本をTwitter検索でエゴサーチしてみる私(笑)
意外にですね、全然知らない方が一生懸命宣伝してくださっていたりするので、ありがとうございますとお礼を打ったりしています。

で、久しぶりに検索してみたら、何やら騒がしい…
「ゆる受験ねぇ……」
なんて冷ややかな反応やら、結構批判的な内容、お怒りの方もいらっしゃったりして、一体何事だろうと?
ただ、

「ゆる受験」

なる言葉に皆さん反応されているので、「オレじゃないな」と思ったら案の定!
PRESIDENT Onlineのこの記事に皆さん反応されていたわけです。

https://president.jp/articles/-/50288

これがYahooニュースに流れたわけですね…
私も意地悪なもんで、下記のようなツイートをしました。

これも、いくつか反応を頂いて、興味を持って頂いたのか、フォローしてくださる方何人かいらっしゃいました。また、本も何冊か売れたみたいです(笑)ありがとうございます。

2019年に「ゆる中学受験」を発売していますので、約2年前。その頃は、一部では言われていたのかもしれませんが、「ゆる受験」「ゆるふわ受験」なんて言葉はあまり流通していなかったように思います。最近は徐々に一般化してきているので、それはそれでいいことだと思います。

ちなみに、「ゆる中学受験」については、現在私どもで商標登録を出願中です。一応ね、本の名前くらいは守らせてもらいたいものですから。別にケチ臭いことはいいませんけどね。

なので、あくまで「自称」本家本元ですが(笑)、「ゆる中学受験」の筆者として、ちょっと記事に突っ込んでみようかな?と思ったわけです。正直最初は自分が批判されているのかと思いましたし、そうじゃないとしても、あんまり面白いものでもありません。残念ながら私が意図した「ゆる中学受験」とは違う部分もあるので、これはウチを訪ねて見える方への軌道修正という意味で、一応感想程度は表明しておこうかなと思ったわけです。

もちろん、意見には個人差がありますから、そこは重々ご承知おきください。

全体像は間違ってないが…

まず、全般的におっしゃっていることや社会現象的に起こっていることについては間違いは少ないと思いました。2科目入試が再び増えてきたり、暗記詰め込み型ではない新方式の入試が増えてきたりしているのは事実ですし、公立中高一貫併願をにらんだ適性検査型入試を実施する学校も増えています。小4からガチンコの受験生活に入らなくても受験できる学校は確実に増えています。

また、よりよい環境を目指して、小5や小6から受験を志す子が増えているのも事実です。実際、桜学舎でも小5までは受験する気がなかったのに、6年になって急に受験したいと言いだす子も毎年います。また、中学入試で偏差値がそれほど高くない学校でも、高校受験で入ると結構な高偏差値であることも事実。桜学舎の近隣で言えば、淑徳巣鴨や駒込、桜丘、十文字、順天などはなかなかの難関です。それでも中学入試の偏差値50は高校入試の70というのは若干盛り気味ではありますが、ザックリ言えば、そんなに間違っていません。

問題は、1年間の受験勉強で合格できるとされるオススメの学校なのです。

ご登場になっている偉い先生には大変申し訳ないのですが、ちょっと甘いと思います。

女子校でおすすめされているのが、共立女子、跡見学園、山脇学園、三輪田学園、富士見、普連土学園です。

偏差値がさほど高くないと言われているのですが、これは四谷大塚さんの偏差値を使っているのかな?と思います。日能研の偏差値は若干緩やかだとも書かれていますが、このあたりは詳しくないので、我々に馴染みの深い「首都圏模試」で考えてみます。

共立女子は2年くらい勉強しないとダメかもしれないが、残りの学校は6年生の夏休み前に勉強を始めれば十分合格できるとおっしゃっていますね。

果たして、そうでしょうか?
現場の感覚としては、かなりかけ離れたアドバイスのように感じます。これ、1年、下手したら半年くらいで合格できる子って、かなり勘のいい、しかも地頭のいい子だと思います。実際、皆さんのコメントもそんな感じですよね。

ちなみに、首都圏模試の偏差値で言うと、

共立女子63
跡見学園48
山脇学園58
三輪田学園51
富士見60
普連土学園61

です。かなりのバラつきがありますよね。ちなみに、桜学舎では共立、普連土、富士見は「難関校」に分類しています。首都圏模試偏差値60以下を「ゆる中学受験」の対象校としていますので、実際我々の現場では、60オーバーの学校に合格させるのはなかなか大変なことだと感じています。もちろん、どの学校も素敵な学校ではあるのですし、特に普連土、三輪田は桜学舎からもよく行く学校です。でも、そう安々と合格できるような学校ではないと思うのですが、何か必殺技でもあるんでしょうか?

また、男子のおすすめの学校としては、獨協、日大豊山、聖学院、桐光学園が挙げられています。
こちらも、首都圏模試で見てみると、

獨協54
日大豊山53
聖学院44
桐光学園62

バラバラです。桐光学園はそんなに簡単に合格できるんでしょうか? 獨協と日大豊山も、第1回入試はこの偏差値に収まっていますが、午後入試や2回目以降の入試については偏差値60手前まで跳ね上がります。聖学院も、さほど高くないとは言え、人気は高いので「フツウに落ちる」学校です。計算問題と漢字だけやってりゃ合格するでしょ?というノリで行くのはかなり乱暴な気がします。

ちなみに、獨協医科大学と獨協の関係は、今年からようやく獨協埼玉とあわせて10名が推薦試験で行けるようになったのであって、どうもこの書き方だと医者の子どもが多く通っていて、医大や医学部に入りやすいという風に邪推してしまいそうですね。

オススメ参考書についても、桜学舎でもお勧めしている「メモリーチェック」「ベストチェック」などは良しとしても、たとえば「自由自在」や、四谷大塚さんの「4科のまとめ」などは、ゆる中学受験の子が簡単にこなせるテキストだとは思えません。むしろ、それを自力でできるようなら、かなり優秀。それが出来ないから、私達のような地元の塾に駆け込んでくる方が多いわけで、半年やそこらで仕上がるのって、相当優秀な子じゃないかと思うのです。私達は、5年生から2年かけてお預かりしますが、受験生マインドを育てるだけで2年かかる子すらいます。ゆる中学受験をしようとする子って、現場で見てるとそんな感じですよ。

最後の、問題の取捨や学校選びについては同感。偏差値で学校選びをしていたりすると、何かを見失う可能性が高いですね。おっしゃることは分かります。

総じて、かなりバラバラで、誤解を生む部分もあるかな?と思いました。
特に心配なのは、普連土や富士見、桐光学園や獨協、日大豊山が、基本的な問題集1冊を半年くらいでやっておけば受かる学校だと勘違いされてしまうことです。ココには挙がっていませんでしたが、いくつかの学校でかなりゆる受験の子達が惨敗していたという話も聞きます。

ゆる中学受験に対する我々のスタンス

桜学舎は一人ひとりの合否や、受験ストーリーを考えて受験作戦を練りますから、過去「一つも合格しなかった」などという酷い結果だった子は0。全くいませんが、だからといってナメてかかってもらっては困りますし、合格もしません。6年の夏前までに勉強を始めれば…なんて、まず現場の感覚からすれば「無理」です。間に合いません(間に合わせた例はありますが…)

一応ね。

こんな本を書いてしまったので、生意気にも色々言ってみました、スミマセン!私の「ゆる中学受験」の定義・設定や、実際のドタバタを書き記してございます。Kindleのスピンアウト版も含め、よろしくお願いします。

「ゆる中学受験」は、たかだか初版3000部しか出ていないマイナーな本ですが、それでも都内の書店に少し並んでいたりしますし、ネットでも買えます。最近はKindleなどでも発売されていますので、すぐにお読み頂けるかと思いますが、なにせ初めて書いた書籍ですから、足りない部分やまとまってない部分も多々。お恥ずかしいところもあるのですが、でも全力で書いたのは事実ですから、まぁ等身大の「ゆる中学受験」を提示出来たとは思いますし、「現場からは以上です!」くらいの感じでご報告は出来たんじゃないかと思っています。

いろいろご意見はおありでしょうが、私は2年くらいはちゃんと勉強させたほうがいいと思っています。もちろん習い事や野球、サッカーなどを辞めないでいいと思いますし、以前は某有名ミュージカルの舞台に立っている子が2人もいましたが、みんなちゃんと合格して行きました。

PRESIDENT Onlineの記事を読んで、改めて感じたのは、「世間一般の中学受験に対するハードルが、やっぱり私達が感じているのよりも若干高いんだな…」ということでした。

スタートが高いと言うか、「ゆる受験」と言っても、麻布開成武蔵・桜蔭JG雙葉が基準での「ゆる受験」なのかしら?と思ったわけです。ならば、普連土や共立、富士見は「ゆる受験」なのかもしれませんね。男子で言えば、城北、成城、最近は本郷はちょっと上ですね。後は巣鴨あたりか?

みんな優秀だ!(笑)

著書の中でも触れていますが、桜学舎の「ゆる中学受験」は、

①首都圏模試偏差値60以下が原則
伸びちゃった場合はこの限りではない。ザックリ分けて60以上の学校の入試問題は応用問題が増える。基礎学力をしっかり定着させて、「合格点」をもらって入学できる学校が対象。基礎から少しずつ登っていく学習を続けて、無理の少ない受験を。

②習い事やスポーツなど、色々なことを「諦めないで」受験にチャレンジする
もともとこういう需要が多かったし、芸能活動をしていたり、芸術やスポーツに長けた子が、並行して受験勉強をしたいというご相談に見えることがありました。頑張り屋を応援していたところもあるんです。

③偏差値だけで学校を評価しないで、志望校LOVEで行く
どうしても、第4志望、第5志望の学校に行って、入学当初からふくれっ面をしているという子の話を聞くと、かわいそうになぁ…と思ってしまうのです。偏差値はある程度の目安で、さほど高くなくても素敵な学校は探せば結構あるものです。そういう学校へ「行く価値」を見出すのも、私達の役目かな?と思っています。

④何より、「頑張る」経験を
「ゆる受験」の記事を見ると、やはり6年生になって、準備もなしに「この辺なら受かりそうじゃない?」みたいなチャレンジをすることのように見えるのですが、上手く言えないのですが、何ともしっくり来ない感じです。それよりも、基礎的なことでもいいので、真摯に努力をした、真面目に受験勉強した、その結果合格したという経験はさせてあげたいと思っています。

こんなコンセプトで「ゆる中学受験」と言い続けてきました。大手塾で、親子で目を三角にして、叩き込み、スパルタ、そんなんじゃない受験もあるんじゃない?という提示をしたかったんですね。

何で2年の準備期間にしているか

受験準備期間も5、6年の2年間。
最上位の学校を受けるとなると、6年生夏休み以降を「志望校対策」に充てることが多いものです。某大手では「なにがなんでも」なんてクラスが発生しますものね。

ただ、前述のように、基礎的な問題で合格点が取れる「ゆる中対象校」では、この志望校対策がさほど必要ではありません。また、応用問題、発展問題を深堀りする時間もさほど必要ないと思います。志望校対策をカットするので半年分、応用発展をカットするので半年分と考えて、大手さんが4年生からスタートして3年間の受験準備期間を設定するところを、ゆる中学受験ならば2年でも大丈夫ですよ?ということにしています。

おかげさまで本を読んでいただいて、遠方からも通ってきて頂く方が出始めました。何よりビックリなのは、千葉県から通ってきてくださる方。しかも私の実家より遠くから(笑)ありがとうございます。フツウの塾なんですけどね…

中には「首都模試60以下の受験なんて、甘々だな…」という手厳しいご意見も頂いたことがあります。

「楽な商売しやがって!」
という意識だと思うのですが、実際やってみれば分かりますが、こっちのほうが本当に大変ですし、手間がかかります。中学受験の指導は、出来る子を集めて上位校を受験させるほうが、ある程度指導のプロになってしまえば楽ちんだと思います。子どもは勝手に勉強しますからね。親御さんも一生懸命ですから、パパ塾・ママ塾まで開いて頑張りますので、やりやすい。「家でコレをやらせて下さい」が通りますから。

でもゆる中学受験の子、ましてやウチがよくお預かりする、偏差値50以下の学校を目指す子などは、そもそも学校での学習習慣が付いていなかったりするので、そのあたりからの指導になります。かなり生徒との「攻防」があるんです。

「受験レベルじゃないだろ!」
と客観的には見えるケースもありますし、同業の先輩方には、「入塾テストやって、成績で選別しないとダメだ」とも言われます。でも、どうもそれが私は出来ません。親御さんの希望もあるし、行動とは裏腹に生徒本人が私立中学を受験したいという強い意志を持っていたりしますので、やっぱり「それじゃダメだよな?」と諭して、行動を変えていくような指導もするわけです。全然楽じゃない。

すっかり「流れ弾」を食らって、まいったなぁ…という感じですが、せっかく流れ弾に当たったんですから、当たり損はしたくないものです。

ちょっとネットで反応もらったんだから、まぁいいか…とも思いますが、やっぱり何かスッキリしないなぁ…(笑)

ちなみに、私が設定した基準が「ゆる中学受験だ!」って言ってるわけじゃないので、そのあたりは誤解の無いようお願いしますね。ただ、安易にチャレンジしてみて、惨敗してきて、「こんなはずじゃなかった…」って思う方がいると気の毒だなぁと思っただけなんです。

なかなか難しい問題ですよね。
私も、あんまり過激なこと言うと、皆さんのお怒りを買ってしまう可能性もあるので、なるべく柔らかく柔らかく言うにようにしていますが、心中はお察し頂けるとありがたく思います!

※インタビュー記事「親子で疲弊しないのびのび中学受験」(マイナビ)も、よろしければご覧くださいませ!

※Kindleでスピンアウトを発売中!「成功した親だけが知っている ゆる中学受験」「焦らない!キレない!投げ出さない!ネガティブ受験からの脱出」「転塾」

※YouTube「Ohgakusha Channel」でもスピンアウト動画を配信しています。

追記

PRESIDENT Onlineの記事を検証する記事を掲載したら、Twitterが若干にぎやかになったので、ビックリ。私の本を買って下さった方もいらして、本当にありがとうございます。でもね、「中学受験舐めんなよ!」とか、「失礼極まりない」とか、お怒りの御仁が多数。
ほらーーー!
こうなっちゃうでしょうに…
ホントに、ある方が笑ってくださってましたが、「ゆる中学受験って本の筆者が流れ弾食らってて草…」って、ホントですよ(笑)もーーー!

うーん。
もう少し丁寧に書いてほしいなぁというのが正直な感想でした。

逆に、プレジデントオンラインさん、責任とって、「ゆる中学受験」の特集してくださいよ。いくらでも話しますよ(笑)

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