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ドラマ感想文│『ジャック・ライアン』シーズン2

バウアーでもリーチャーでもない方のジャックである『ジャック・ライアン』のシーズン2を視聴。

豊富な埋蔵資源を持ち、独裁的で強引な大統領が支配するベネズエラが主な舞台。ドイツとイギリスも中途半端に絡むストーリーで、大統領選の迫るベネズエラにてジャックの友人でもあるが殺害されることで話は動き出す。

シーズン1よりも登場人物が多いことから場面の切り替えが増えたように感じられる。それ自体は緩急が付いて良いようにも思えるが、どうにもダレる場面が増えてしまった。特にハリエット絡みのシーンは最初から最後までダラっとしていて、やたら引っ掻き回された印象が強い。序盤に受け取った音声データも無ければ無いで何とかなった気がするし、あのキャラクター(というかドイツ)は無かったことにしても物語が成立するような気がしてならない。原作ではもっと重要な役回りだったのだろうか。

本作に於ける癒やし要素はジャングルクルーズ四人組の面白トークであるが、リーダー格のマティスが退場してしまってからはシリアス一辺倒。ジャックはシーズン1で指摘された「独善的」な要素がパワーアップしており、兎にも角にも単独先行。空気を読まない命令は聞かないで、それなりに情報は拾ってくるものの自分を含めた仲間を窮地に追いやるのが役目と言わんばかりの大立ち回りだった。なのにずっと無表情であり、本当にトボケているのか芝居なのかがよくわからない。従って全然感情移入できない。他のジャックと違って背が高いので、何をしても目立つのがまた良くない。

しかし前シーズ同様にグリーアとのコンビは健在であり、絶妙な距離感を保ちつつもお互いを尊重し合う二人の活躍は観ていて気持ち良い。ただそのグリーアも何故か病気のことを隠し続け、当然それで周囲に迷惑をかける。ジャックのことを非難できる立場だろうかと疑問に思ってしまう。とは言えラストの二人の会話はグッと来るものがあったし、やっぱカッケェな…となってしまうのだからオジサンはチョロい。

序盤は影と髪の薄い司令も中盤以降は急激に頼れるナイスミドル(ミドル…?)となり、全てをなげうって闘う男の恰好良さを見せてくれた。皆被弾しなさすぎだけど、そこはまぁ良いとしようじゃないか。相対的に大統領が抱える軍隊が弱く見えてしまうし、更にその軍隊にやられたマティスって…となってしまうが、そこは考えないことにしよう。マティスも単独で凄く活躍していた。あそこで囮になる必要性は感じられなかったが、読み取れていないだけできっと止むに止まれぬ事情があったのだろう。

割と細かい裏工作や小細工の多い印象だった大統領が、最後の最後で破れかぶれの大胆な不正を連発するところは痛快だったし、そんなことをしようがしまいが惨敗だったというのは物語のラストとして相応しいだろう。出来過ぎ感はあるものの、あれはあれで良いのだ!宮殿の中でドンパチ始めたところから、完全にCIA側が単なるテロ集団にしか見えなかったし大統領を殺す権限は無くても他の兵士を殺す権限はあるのか…?大統領を目にして急にカッとなるジャックには「突然どうした…?」とか思えないし黒幕がどうとか弁護士がどうとかはアレで終わり?といった具合の素っ気なさだけれど、あれで良いのだ!!

そんなことより見逃せないのがオープニングだ。シーズン1には無かったカッコイイ映像が用意されており、これが大変よくできている。私は毎回飽きることなくスキップせずに観ていた。ただ本編では特に新しい感じのする映像を観られなかった。そこは少し残念だ。

総じて私はシーズン1の方が好きではあるのだが、それでも充分に楽しめた。何をしても上手く行かないモヤモヤ感が良くも悪くも「海外ドラマだなぁ…」という印象だが、飽きることはなかった。1日に何もかも詰め込み過ぎ問題や主人公の耐久力高すぎる問題をそこまで感じさせない作りになっているのは宜しい。

シーズン3も楽しみだぞ!

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