鳴神どもの矜恃──格闘技イベントRIZINが宿す「誇り」の正体⑩
10.「2003年大晦日」、民放3局競合の裏側
まず口火を切ったのは太田興業幹部・秋良東力である。
「勘弁してくれよ。自分もわかっとるやろ? フジテレビの清原から『今回、ヒョードルを出されたら、契約を切る』って言ってきとるんや。そうなると、うちも困る。実質うちがPRIDEをやっとんのは自分も知ってるやんか」
1大会につき1000万円を太田興業に上納
石坂と榊原信行は清原邦夫から「猪木祭りにヒョードルが出るなんてもってのほか」と再三再四ねじ込まれていた。それを阻止するため、太田興業にすがりついたのだ。
川又は「ビジネスとしてできかねる」と拒否。そもそも交渉の席に着く気もなかったこと、猪木を呼んでも意味がないことも併せて説明した。
秋良と川又のやり取りを聞いていた石坂と榊原。二人の顔色が一変した。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?