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[カメラ遍歴 1] Rollei 35S My 1st Camera

ワタシが愛着をもって使った最初のカメラ、Rollei 35Sを紹介します。


序章 Rollei 35Sとの出会い

このカメラは父のもので、ワタシが生まれたばっかりのころにシンガポールで買ったと聞いています。
生まれたてのワタシを残し両親は旅行に行き、祖母にあずけられたワタシはそのほとんどの時間泣き叫んでいた・・・と亡くなった祖母はワタシによく話をしていました。

時は流れて1985年か86年、電車が大好きだった小学生のワタシは、そのころにデビューしたばっかりの100系新幹線を見たくて、自転車で多摩川を遡上して一日中「ニュー新幹線」が来るのを待っていた。
まだほとんどが0系の時代で、見れたとしても1日に数回だったように記憶している。
何度か見ているうちに、そのかっこいい姿をどうしても写真に撮ってみたくなって母に相談。
そのころの父は仕事に出ると一週間くらい帰ってこなかったので、ワクワクしているワタシを見かねてか、父のカメラを出してくれた。
出してくれた小さいカメラより、運動会のときに使っていたカメラ(ニコンF)を貸してほしいと言ったが、あれはたぶんむずかしすぎるからダメと言われた覚えがある。

翌日学校から帰るとすぐに自転車に乗って多摩川へ。
連写とは無縁のカメラ。そもそも小学生が連写なんて知るはずもないので、5枚くらい撮っておしまい。
どうやってフイルムを巻き上げたか覚えてないけど、なんとかプリントを手にすることができた。
でも出来上がりの写真にはニュー新幹線は写っているものの、ピントは合っていないしそもそも超小さくしか写っていないことに愕然とした覚えがある。

これがワタシとRollei 35Sとの出会いです。

登山の最初の相棒

さらに時は流れて1998年あたりだろうか。
大学のワンゲル部に入ったワタシは、春から秋にかけて毎月山で合宿を重ねていた。
だいたいの仲間は写ルンですもしくはファミリー向けのコンパクトカメラ(当時はAPSが出始めて、IXYがカッコよかった)を持っていく程度で、ワタシも写ルンですだった。
しかし一つ上の先輩はEOS3を持っていて、ほかのとは明らかに違う写真を撮っていた。
ワタシはその先輩が大好きだったので、うちにある小さくて重いけど、遠くのものを写せないカメラの話をした。
先輩は、そのカメラは絶対に山に持って行って使うべきだとワタシに言った。

父もそのころそのカメラをあまり使っていなかったので、青春を楽しんでいるワタシを見たからか快く貸してくれて、そのカメラはワタシのところに再びやってきた。
先輩はSがついたRollei 35を見て、これはすごいと。ゾナーだと。F2.8だと。ワタシに教えてくれた。
ひと昔の山の雑誌を見ると、その小ささと写りの素晴らしさに、これこそが登山のためのカメラだ、などと書かれていた。

使い方を一通り教えてもらい、横浜など撮影ポイントに連れて行ってもらって練習をして、次の山行でRollei 35Sを持って行った。
プリントされて返ってきた写真の、色の濃さ、ピントがきたときの細かさ、そして山の空気までそこに残っているかのように感じた景色、どれをとっても今まで感じたことのない感動だった。

露出を教えてくれたカメラ

Rollei 35は反射光式の露出計はついているが、露出操作はマニュアルである。
左右のF値とシャッタースピードのダイヤルをぐりぐり回して露出計の針と合わせる。
でも測光範囲はかなり広くて平均測光気味なので、景色を隅々まで見渡して何をどう撮りたいのかを考えて露出補正をしていた。
フイルムはいつもリバーサル(安めのTREBIが好きだった)を使っていたから、気軽にシャッターを押せず露出を追い込んでいくことが普通だった。
失敗もかなり多かったけど、一枚一枚に時間をかけていたからか、何週間後かに出来上がったフイルムスリーブを見ると、そのときに何をどう撮りたかったのかがすぐに思い出せた。

今のミラーレスカメラは性能が素晴らしく、失敗なんてほとんど経験しない。
したとしてもその場で確認できるので、撮り直しもできるし家に帰ってからLightroomでなおしたりもできる。
でもあまり考えなくてもシャッターボタンを押すだけでかなりいい写真が撮れてしまうので、撮ったときの考えとかはほとんど覚えていない気がするのは、あながち思い過ごしでもないと思う。
それに考えないで撮った写真には、あんまり思い入れがわかない。

先日買ったNikon Zfはダイヤル操作で設定できるので、このRollei 35を使っていたころの気持ちを思い出せるのではないか、と思っている。
ファインダーの中ばっかりではなくて、実際に目で見た景色を切り取ることができるのではないかと、思っている。

左がシャッタースピード・右は絞り・ボディ下側の長方形の窓が露出計

カールツァイス

前述した通り、SがつくRollei 35はCarl ZeissのSonnar F2.8/40mmがついている高級モデルです。
山で撮った写真の青空が、ものすごい青で写されていたのに驚いたけど、先輩はそれがSonnarの凄さだと言っていた。

濃厚な発色、目で見るよりもよく見えるほどの細かい描写。
カールツァイス。いきなりこのレンズがついているカメラを使ってしまったワタシは、それ以降カールツァイスにはまりこんでいくことになる・・・

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