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良品計画の決算内容を3分で解説!

今回は良品計画の決算内容について見ていきます。
「無印良品」でお馴染みのこの会社、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
営業収益は前年比+9.4%の4,961億円となりました。営業利益は前年比△22.8%の327億円、当期純利益は△27.6%の245億円となり増収減益という結果となりました。

出所:決算説明資料

営業収益は堅調に増加しましたが、売上原価率が増加したため営業総利益率は前年の49%から△1.8%減少して47.2%に下がりました。

このコスト増加に関しては、原油高や円安による要因が影響していると考えられます。

あと販管費も前年比で+217億円増加しています。
内訳を見てみるとそれぞれの科目で全体的に増加していますが、やはり人件費の増加は大きく前年比+78億円増加しています。

出所:決算説明資料

運搬・配送費で+35億円増加していますが、これは性質的に営業収益と連動する「変動費」の要素が強いので「率」の変動で見た方が良さそうです。
営業収益対比で見ると、前年の5.9%から+0.2%増加して6.1%となっています。増加要因は「原油高騰」による燃料費増加分が含まれていると考えられます。

その他の科目では減価償却費が+31億円増加しています。
こちらは新店舗出店に伴って固定資産の購入などが発生し、その分減価償却費が増加したものと考えられます。

ではセグメント別に内容を見てみましょう。

セグメントとしては四つ、「国内事業」「東アジア事業」「東南アジア・オセアニア事業」「欧米事業」があります。

営業収益に関しては全ての事業で前年比はプラスで推移しています。
しかし営業利益で見ると明暗が別れてきます。
国内と東アジアは減益、その他の2事業は増益となりました。

出所:決算説明資料

今回は減益となった国内と東アジアについて見ていきます。

国内事業の営業収益は前年比+3.7%と微増でした。
ただ新規出店を除いた既存店舗とEC売上だけで見ると前年比△4.6%と減収という結果となります。

出所:決算説明資料

客数としては前年とほぼ同数ですが、客単価が△5.6%下がったことが大きく影響していると考えられます。

営業利益に関しては、やはりどの業界でも課題となっている「円安」と「原油高」によるコストアップが利益を圧迫しています。

以上をまとめると「営業収益は新規出店でなんとか増収したが営業利益に関しては円安・原油高によるコストアップにより減益」となります。

次は東アジア事業ですが、営業収益は前年比+10.9となりました。
この東アジアに含まれる国は中国・韓国・台湾・香港になります。中でもやはり中国の影響が一番大きいので中国を中心に見てみます。

中国の現地通貨ベースで見ると、営業収益は前年比△5.1%の減収です。
中国はやはり新型コロナ対策で「ゼロコロナ対策」を実施しているため、各地でロックダウンが発生しました。
その結果、上海・深圳・北京等を中心に最大で約100店舗が休業および営業時間短縮を余儀なくされました。

出所:決算説明資料

ただ最近の報道では中国の新型コロナ対策も緩和の動きがあるようなので、
今後は少し期待が持てるかもしれません。

また営業収益を現地通貨から日本円に換算すると前年比+9.6%と増収という結果となります。これは「円安」による影響で、ほぼ全ての通貨で同様の影響が出ているとみて良いかと思います

PLの状況に関して総括すると、「営業収益は新規出店と円安効果で増収、営業利益はインフレ・円安・原油高により売上原価コストが増加し減益」といった感じでしょうか。

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年から+59億円増加しました。

出所:決算説明資料

増減内容としては資産の部で現預金が△455億円減少しました。
一方棚卸資産は+230億円増加しました。

また固定資産でも+129億円増加していますが、このう使用権資産の増加が+45億円含まれています。
「使用権資産」は「リース資産」とイメージしていただければ良いかと思います。おそらく新店舗出店などで増加したものと考えられます。

負債の部では長期・短期借入金で386億円の返済があり、その分減少しています。前年の借入金の総額が767億円だったのでほぼ半分を返済した形になっています。

出所:決算短信

ただこの返済は、金融機関から急に返済を求められたものではなく、借入時に決まっていた返済スケジュールに沿って返済をしただけであります。

実際、前年末時点で一年以内長期借入金の670億円の返済は決まっており、その返済と同時に今年に長期借入金で275億円を追加借入しています。

出所:有価証券報告書

純資産の部では自己株式に関して動きがありました。

自己株式を25億円取得して24億円を第三者割当で処分しました。
プラスマイナスの動きとなるので、純額で見ると1億円の動きしかありませんが、動きの内容は押さえておく必要があります。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては△447億円減少しました。内訳は営業CFで+233億円、投資CFで△166億円、財務CFで△586億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFで稼ぐことはできていますが、棚卸資産の在庫が増加した等のキャッシュにとっては良くない側面も見えました。

投資CFでは新規店舗に関する投資やソフトウェアへの投資が進みました。
来年度は更なる投資、特に国内店舗への投資は125億円を計画しており、今年の約2倍の金額にあたる投資額です。

出所:決算説明資料

財務CFはBSの状況でも説明した、自己株式取得と借入金返済によってキャッシュアウトが大きくなりました。
また株主配当金も44億円増加するなどマイナス要因が多くありました。

全体的なCFとしては大きくマイナスとなりましたが、新規店舗への投資や株主配当金による株主還元など、資金使途の内容としては問題ないものかと考えられます。

また来年度も投資額が増加予定となっているので、キャッシュのバランスには注意を払っていく必要がありそうです。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

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