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USEN-NEXTの決算内容を3分で解説!

今回はUSEN-NEXTの決算内容について見ていきましょう。
創業時の有線放送から始まってコンテンツ配信事業、通信事業、そしてエネルギー事業までと幅広く事業拡大を続けるこの会社、見所は色々とありそうです。

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。

売上高は前年比+14.2%の2,379億円となりました。営業利益は前年比+11%の173億円、当期純利益は+8%の86億円の増収増益という結果でした。

ちなみに6期連続で売上高と営業利益は過去最高を更新し続けています。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に詳細を見てみましょう。

セグメントは5つ、「コンテンツ配信事業」「店舗サービス事業」「通信事業」「業務用システム事業」「エネルギー事業」があります。

売上高で一番規模が大きい事業は「コンテンツ事業」、営業利益で一番大きい事業は「店舗サービス事業」といった規模感です。
今回はこの二つの事業内容について見ていきます。

出所:決算説明資料

まずは一番売上規模が大きいコンテンツ配信事業ですが、これはいわゆる「動画配信サービス」でU-NEXTといいます。
U-NEXTは通常の動画配信だけでなく雑誌の読み放題もセットとして販売しており、この点が他社サービスにはない特徴になります。

出所:HPより抜粋

また競合相手と言えば「Netflix]」「Amazon プライム・ビデオ」「ディズニープラス」「Apple TV」「Hulu」などがあります。
かなり競争は激しそうです。

他社サービスとの比較はなかなか難しいところではありますが、U-NEXT自身の推移で見ると課金ユーザー数は着実に増加を続けています。
その結果この一年間で36万人増加し275万人に到達しました。

出所:決算説明資料

もちろんユーザー数の増加に伴って売上高も増加をしています。
2019年から今年にかけて約2倍増加しました。

営業利益に関してはさらに増加しており、2019年から約14倍と大幅増となっています。

出所:決算説明資料

またARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)で見ても課金ユーザー数に連動して増加しております。2019年からの推移を見ると右肩上がりで増加しており、前年比では+75億円増加となっています。

出所:決算説明資料

次は一番の利益の稼ぎ頭の「店舗サービス事業」について見てみましょう。
売上高の推移としては2019年から今年にかけて+7.8%増加しました。
大幅な増加はしていませんが堅調に推移している印象です。

また営業利益に関しても2019年から今年にかけて+12%増加と大幅な増加ではありませんが堅調に推移しています。

出所:決算説明資料

堅調な推移ではありますが、営業利益率は常に15%程度をキープしているので、「好調を維持している」という表現の方が適切かもしれません。

店舗サービス事業の中でも事業内容は大きく二つに分けることができます。
祖業である有線の「音楽配信」とWiFiや防犯カメラなどインフラに関する「店舗DX」の二つです。

出所:HPより抜粋

店舗インフラの需要が増えている背景としては「キャッシュレス決済」や「人手不足」の問題が起因しているのではないかと考えられます。

店舗での注文はハンディ端末で受けて、料金の決済から売上の会計処理・売上管理まで全てタブレットPOSレジで完結できるので、キャッシュレスと効率化を一気に解決することができます。

このPOSレジの需要が一気に高まっていて、2019年の1Qと今年に4Qで比較すると導入店舗数は2.3倍になっています。

出所:決算説明資料

ここまでで見てきた「コンテンツ配信」と「店舗DX」に関しては、USENとしても「投資にお金はかかるけど今後の高成長が期待できる分野」と位置付けています。

実際にこの二つが属する事業で「一番売上をあげて一番利益を稼いでいる」という結果になっています。
今後もこの二つの事業を中心に成長戦略を推進していくと考えられます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては+116億円増加しました。資産の部では現預金で+48億円、売掛債権で+44億円、前払費用で+44億円増加しました。

出所:決算説明資料

一方固定資産ではのれんが△29億円減少しました。のれんは20年以内の期間で均等焼却しているのでその償却分減少したものと考えられます。

のれんに関して補足ですが、443億円の残高のうち「キャンシステム(株)」の買収に関するものが79億円含まれています。
ただこの会社の業績があまり芳しくなく、今回の決算時点で31億円の債務超過の状態にあります。

監査法人の会計監査ではこの点についても慎重に内容を精査しています。
その結果、今回は減損処理などの特別な対応はありませんでした。

もし減損処理をするとなると業績に大きな影響を与える可能性があるので、今後も注意してみる必要があります。

出所:有価証券報告書

負債の部の動きとしては、長期借入金の返済で△54億円減少しましたが、流動負債の仕入債務などで+109億円増加しました。

純資産の部では当期純利益+86億円などの影響で+68億円増加しました。

また安全性の指標についても少し見ていくと、流動比率(流動資産÷流動負債)は145%と目安の200%を割り込む数値なっています。
目安よりは低い数値ではありますが、安全性に問題があるレベルではありません。

固定比率(固定資産÷自己資本)は192%と目安の100%を超えています。
固定資産の総額776億円のうち、のれんの金額は443億円あり57%を占めているので、この点が影響しています。

ただこれは他種の事業に進出するために企業買収を進めてきた結果なので、仕方ない面もあります。
現時点で安全面に大きな懸念が生じるレベルではないかと思います。

3.CFの状況

最後のCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては+48億円増加しました。内訳としては営業CFで+176億円、投資CFで△74億円、財務CFで△54億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFでしっかりと稼ぎ、その資金を投資や借入金の返済に回しているのでキャッシュのサイクルとしては問題ないかと思います。

BSの状況でも少し触れましたが、ビジネスモデルとして企業買収をするケースがありますので、その際は多額のキャッシュが必要になってくるかもしれません。

実際に現在の中期経営計画の中で今後4年間で800億円規模の資金使途を計画しています。
具体的な内容は分かりませんが、事業投資や成長投資で560億円程度を見込んでいます。

出所:決算説明資料

成長戦略の一方で株主への還元も忘れていません。
2019年から毎年増配しており、来年2023年も3円増配する予定です。

出所:決算説明資料

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?


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