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日本駐車場開発の決算内容を3分で解説!

今回は日本駐車場開発の決算内容について見ていきましょう。
売上高・営業利益ともに過去最高益を記録した決算、なぜ最高を記録できたのか?そこに迫りたいと思います。

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+10.4%262億円となりました。営業利益も大幅増で前年比+40.4%45億円、当期純利益は+33.8%31億円と全ての項目で過去最高となりました。

出所:決算説明資料

粗利率が前年の35%から37%へ+2%上昇しているので、売上原価でコスト削減がされたと推測されます。

それではセグメント別に詳細を見ていきましょう。
セグメントとしては「駐車場事業」「スキー場事業」「テーマパーク事業」の3つがあります。売上高の割合としては、駐車場56%スキー場22%テーマパーク22%となり、社名の通り駐車場事業が多数を占めています。
営業利益ベースで見ると駐車場の割合がもっと高まり、全体の68%を占めています。

出所:決算説明資料

「駐車場事業」に関しては、前年比の売上高は+2.4%と微増でした。一方営業利益に関しては+10.9%と大幅増となりました。
営業利益の増加要因としては、「国内の既存事業が堅調に推移したこと」が一番に挙げられます。他にも時間貸駐車場の新規物件の獲得による増益要因も挙げられます。金額としては既存事業で+2.3億円、新規事業で+1.6億円の利益増に貢献しています。
また海外事業としては中国の一部エリアで閉鎖はありましたが、タイと韓国では堅調に増加しましたのでこの点が増益要因になっています。

出所:決算説明資料

国内の売上高は前年比+3%、海外は△2.3%となっていますが全体としては前年比で増加しています。一方台数ベースで見てみると、国内・海外ともに減少しています。

出所:決算説明資料

それでも売上高と営業利益が前年比で増加しているということは「単価と利益率の良い物件」は増加していると推測できます。
ではそんな美味しい物件とは何か?それは「月極駐車場」ではないかと考えられます。駐車場の種類としては大きく分けて「月極」と「時間貸し」の二つがあります。特徴としては「月極は長期契約」、「時間貸しは短期契約」と捉えることができます。また月極は月単位で売上高が計上できるので利益効率が良い、一方時間貸しは一日の中で貸していない時間があるとその分は売上高が計上できないので利益効率は悪い、という特徴も考えられます。
実際に月極台数は増加し、時間貸し台数は減少した結果全体としては「売上高・営業利益ともに増加」とう結果になっています。
よって「月極駐車場の増加」が増収増益の主要因と考えられます。

出所:決算説明資料

次はスキー事業に関して見ていきましょう。
前年の営業利益は△4億円と赤字でしたが、今回は2億円の黒字となり大幅な増益となりました。
スキー事業にとってかき入れ時期のウインター期とそれ以外のグリーン期の通期を通して業績が回復しました。

出所:決算説明資料

やはりコロナから回復傾向にあり人の動きが活発になってきたことが大きな要因と考えられます。またコロナ禍を機に、コストの見直しを図ったことも重要なポイントの一つです。
また今後の計画としては、売上高はコロナ禍前の水準を超える計画を立てています。コスト見直しによって筋肉質になった経営体質に売上高増が加われば一層の増益効果が見込まれます。

出所:決算説明資料

テーマパーク事業に関しては、増収増益になった要因がスキー事業とほぼ同じ内容なので説明は割愛します。

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
全体の総資産としては前年末から△11億円減少しています。資産の部では現預金が△18億円減少していますが、この点は後でCFの状況の中で説明します。一方で駐車場等に関する投資が進んでいるため、有形固定資産は+6億円増加しています。
負債の部に関しては、借入金の返済が進んでいるため有利子負債が△21億円減少しています。

出所:決算説明資料

総資産のうち現預金が42%を占めていて、安全性という観点からは問題ないと考えられます。また直近5年間の流動比率を見ても、常に200%以上を維持しており良好な状況と言えます。
この直近5年間の推移を見て感じたことは、「状況に臨機応変に対応している」ということです。そう感じたポイントは2020年です。
この年はコロナ禍が始まった年で、誰もが先行きが見通せない状況でした。そうした状況下では、やはりキャッシュを確保する施策を優先的に実行する必要があります。上のスライドを見ると、2020年の現預金と有利子負債が一気に増加していることが分かります。これは先行きが見通せない中でまずは「キャッシュを確保する」経営判断のもとに実行した結果です。
その後借入金を返済しても現預金はコロナ禍前の水準を確保しているので、上手く舵取りをしていることも伺えます。
また固定長期適合比率自己資本比率にもコロナ禍とその後を上手く舵取りしていることが表れています。
キャッシュ・投資・有利子負債のバランスを見ながら調整しているのではないかと思います。

3.CFの状況

全体のCFとしては△18億円減少となりました。内訳としては営業CFで+39億円、投資CFで△14億円、財務CFで△44億円という内容です。
全体のCFはマイナスではありますが、営業CFでしっかりと稼いでいて、その分投資に回しています。
財務CFの△44億円が大きいですが、これは借入金返済で△20億円、自己株式取得で△9億円、配当金支払で△15億円という内訳です。
借入金返済に関しては、今後5年以内で完済する予定なので特段問題ないレベルかと思います。

出所:有価証券報告書

自己株式取得に関しては、前年と今回と続けて9億円取得しています。また次年度でも自己株式取得を既に決定しており、「重要な後発事象」として公開されています。取得予定金額は5億円とのことです。

出所:有価証券報告書

またコロナ禍のような有事の際の備えとして、取引銀行5行と当座貸越契約を総額54億円で締結しています。現状の財務状況から考えると十分な備えであると思います。

出所:有価証券報告書

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?




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