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アルペンの決算内容を3分で解説!

今回はアルペンの決算内容について見ていきましょう。
スポーツをする人しない人問わずご存知の方がほんとどのこの会社、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は対前年比△0.4%の2,323億円となりました。営業利益は対前年比△52.6%の大幅減益で71億円、当期純利益も対前年比△50.7%とこちらも大幅減益で53億円という結果となりました。

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出所:決算説明資料

売上高に関してはここ数年横ばい状態が続いています。2,220億円〜2,300億円程度の水準を行ったり来たりといった感じです。
直近5年間のセグメント別の売上高の推移を見てみると、ここ最近のゴルフ人口増加に伴ってゴルフ関連の売上高は増加しています。一方それ以外の一般スポーツやアウトドア関連などは減少しています。売上高が横ばい状態をなんとか保っているのもゴルフ関連増加が寄与していると考えられます。

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出所:決算説明資料

営業利益に関しては今回大幅な減益となりましたが、主な要因は「粗利率の悪化」と「経費の増加」となります。

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出所:決算説明資料

粗利率の悪化が一番金額的影響が大きく59億円あります。ただこの点に関しては今回の決算の粗利率が悪化したというよりかは「前回の粗利率が良すぎた」という表現の方が適切ではないかと思います。理由としては過去の営業利益の推移を見ると一目瞭然ですが、前回2021年の数値が飛び抜けて良い数値であることがわかります。

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出所:決算説明資料

ではこれはなぜか?という点に関しては具体的な数値は決算関連の資料からは読み取れませんでした。ただ前回2021年の決算短信の中に以下のコメントがありましたので、大まかな内容は見て取れます。

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出所:決算短信

内容のポイントは「過剰感のあった在庫」と「処分販売が減少」の箇所かと思います。ざっくり言うと「型落ちした利益率の悪い商品の在庫処分が進んだ」ということではないかと思います。利益率悪い型落ち商品の販売が少なくなりその分利益率良い最新の商品の販売が進んだ、その為粗利率が大幅に改善したのが2021年の決算だったと推測できます。

また経費の増加に関しては、新規展出店費用や既存店の売場強化費用などのため16億円増加しました。人件費や販売広告費は減少したのですが、物流費や店舗・設備費が増加した結果となりました。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産としては△146億円減少しました。資産の部では現預金が△280億円減少した一方で棚卸資産の商品が+85億円増加しました。
負債の部では長期・短期併せた借入金合計が△121億円減少しました。

出所:決算説明資料

棚卸資産の商品在庫に関してもう少し見ていきましょう。
PLの状況でも触れたように、昨年の2021年の決算時は在庫処分が進んでいました。過去の在庫金額の推移を見てみると、2021年以前は800億円から700億円程度で推移していました。ただその在庫は過剰在庫だったため、2021年に在庫処分を進めて600億円台にまで在庫を減少させました。ところが2022年になると再び在庫が増え始め、最終的には700億円近くまで増加してしまいました。

出所:決算説明資料

借入金に関しては、この1年で121億円返済して残りは95億円となりました。この95億円の借入金もあと2年以内に完済する予定なので、今後借換えなどを実施する可能性はあります。

出所:決算短信

純資産の部についても見ていくと、ここ5年間の自己資本比率は50%以上を継続しており、問題ない水準と言えます。
またこの厚い自己資本があるため、安全性の指標の一つである固定比率(固定資産÷自己資本)は71%とこちらも問題ない水準となっています。

出所:決算短信

3.CFの状況

では最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては△280億円となりました。内訳は営業CFで△47億円、投資CFで△75億円、財務CFで△159億円と全て区分でマイナスとなりました。

出所:有価証券報告書

営業CFでマイナスなのは、やはり商品棚卸資産が増加していることが要因かと考えられます。棚卸資産が売れてキャッシュに変わっていく「資産の流動化」が上手く回っていかないとCFの状況としては厳しくなってきます。
投資CFに関しては、ここでしっかりと投資して将来の事業拡大につなげる必要があるので△75億円は問題ないかと思います。
また物流施策の一環として、「シャトル自動型倉庫」を2024年の稼働を目指して計画しています。自動化による作業工程を60%削減する効果を見込んでおり、高効率な物流体制の構築を目指しています。

出所:決算説明資料

財務CFに関しては、返済計画に基づいた借入金の返済が121億円ありましたのでその影響でマイナスとなっています。また有事の際の備えとして金融機関と当座貸越契約・貸出コミットメント契約で313億円を締結しています。
全体のCFの規模から考えると十分な備えであると思います。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

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