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ビジョナルの決算内容を3分で解説!

今回はビジョナルの決算内容について見ていきましょう。
「ビズリーチ!」のCMでお馴染みのこの会社、会社の業績はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+53.2%と大幅増収の439億円となりました。利益に関しては更に大幅な増益です。営業利は前年比+251.3%83億円、当期純利益は+312.4%58億円と驚異的な伸びを見せました。

出所:決算説明資料

売上総利益率は+0.7%と若干の改善はありましたが、そこまで大きな改善ではありませんでした。一方で販管費は+75億円と大幅なコスト増加となりました。やはりテレビCMなどのマーケティング費用としての「広告宣伝費」の増加が大きく、前年比で+51億円と大部分を占めています。

出所:有価証券報告書

ではセグメント別の内容について見ていきましょう。
その前に少し触れておかなければいけない点があります。
前提としては、ビジョナルはビズリーチなど複数社を束ねる持株会社です。
元々は(株)ビズリーチとして事業が始まりましたが、2020年3月に関連する複数社を束ねる形でビジョナルが持株会社として設立しました。
過去推移を見る際は、2019年までは各社単体の数値、2020年以降は持ち株会社になった連結の数値という点を押さえておく必要があります。

出所:HPのプレスリリース

ではセグメント別に話を戻しましょう。
セグメントしては大きく二つ「HR Tech」と「Incubation」があります。
売上高の規模としてはHR Techが全体の95%と大部分を占めています。
営業利益に関しては、Incubationは赤字なのでHR Techの利益でカバーしている状況です。

今回はHR Tec事業の中の二つの事業に関して見ていきましょう。
まずはお馴染みビズリーチです。
過去5年間の売上高の推移を見ていくと、この5年間で売上高は3倍以上に増加しました。特に今回の伸び率が大きく、前年比+59.6%と驚異的です。
要因としては、コロナ禍からのリバウンド需要に加えて、企業の積極的な中途採用への取組みが影響していると考えられます。

出所:決算説明資料

この好調な売上高のベースには企業の採用ニーズがあります。その裏付けとして「導入企業数」や「年次利用中企業数」は右肩上がりで増加しています。導入企業数はここ3年間で+52%増加、年次利用中企業数はここ6年間で+288%と3倍近くと大幅な伸びを示しています。

出所:決算説明資料

また営業利益に関しても売上高の増加に伴い堅調に推移しています。
管理部門経費の配賦前営業利益にはなりますが、ここ4年間で+287%とこちらも3倍近く増加しています。
営業利益率に関してもここ4年間で+10.4%と利益率としてはかなり大幅な改善がされています。しかもこれははテレビCMなどのマーケティングに積極的に資金を投入した結果でこの数値なので、このような一時的な費用を除けばもっと利益率は良かったと考えられます。

出所:決算説明資料

では次にHRMOSに関して見ていきましょう。こちらは先程のビズリーチとは対照的にかなり厳しい状況です。
過去5年間の売上高の推移を見てみると4.5倍に膨れ上がっています。こちらもテレビCMのマーケティング効果が表れているようです。
一方配賦前営業利益に関してはかなり厳しい状況です。売上高の増加に反比例する形で損失が膨れ上がっています。損失は5年間で6倍以上と売上高の増加以上に膨れ上がっています。

出所:決算説明資料

ただこの評価の仕方で良いのかどうか疑問が残ります。
というのもビズリーチは採用の入り口で、HRMOSは採用後の人材マネジメントに関してサービスを提供しています。つまり両方を併せて総合的に評価するのが適切ではないかと考えることができます。

出所:決算説明資料

結果、HR Tec事業全体としてはとても良好な状況です。事業全体を底上げするためのコストも必要かと考えることはできると思います。

2.BSの状況

次はBSの状況に関して見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から106億円増加しました。

出所:決算説明資料

資産の部では現預金が57億円増加しました。この点に関しては次のCFの状況で説明します。また固定資産ではのれんが27億円増加しています。
これは2社を連結子会社化することによって発生したものです。
この2社から資産・負債の各資産を引き受けた結果のれんが発生しました。
取得時に発生したのれんは2社併せて30億円でした。
こののれんに関しては定額法で今後7〜10年かけて償却していきます。

出所:有価証券報告書

安全性の面から見ていきますと、流動比率(流動資産÷流動負債)は262%と目安の200%を超えているので問題ありません。
また固定比率(固定資産÷自己資本)は31%と目安の100%を大幅に下回っているので問題ないと言えます。
自己資本比率(自己資本÷総資産)は62%と50%以上あるのでこちらもかなり良好な状況だと言えます。
借入金は長期・短期併せて6億円程度ありますが、今の財務状況から考えると全く問題ないと考えられます。

3.CFの状況

最後にCFの状況に関して見ていきましょう。
CF全体としては+57億円増加しました。内訳としては営業CFで+96億円、投資CFで△39億円、財務CFで+0.7億円という内容です。
財務CFであまり動きがなかったので、フリーCFと全体の収支がほぼイコールの状況でした。
本業でしっかりと稼げているので営業CFが大幅なプラスとなっており、その資金を活かして投資を行なっています。今回はBSの状況で説明した子会社株式取得に投資資金を回しており、28億円を投じています。

出所:有価証券報告書

また借入金は長期・短期併せて6億円しかなく、現在のCFの状況から考えると影響はないと言えるレベルだと思います。
ただ不測の事態への備えとして、取引銀行3行と貸出コミットメント契約を総額109億円で結んでいます。備えとしては十分な金額だと言えます。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?




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