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鳥貴族HDの決算内容を3分で解説!

認知度は高く一度は足を運んだことがある方も多いかと思うこの企業、コロナ禍からの回復の兆しはどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+30.1%202億円と大幅増収となりました。営業利益に関しては、前年比+22億円と赤字幅を縮小することはできましたが、依然△24億円と赤字継続となりました。また当期純利益に関しては、時短協力金の影響もあり前年比+16億円11億円黒字へ転換しました。

出所:決算説明資料

では詳細について見ていきましょう。
まず売上高が増加した点ですが、ベースとなる店舗数がこの一年で617店舗から622店舗と5店舗増加しました。中でも「TORIKI BURGER」というファーストフード業界への新規参入事業として2店舗は新たな試みです。
まだオープンして一年なのでまだまだこれからという段階とは思いますが、今期は更に最大で4店舗増加する計画があるようです。

出所:決算説明資料

あと売上高増加の一番の原因は「コロナ禍の状況改善」による影響ではないでしょうか。今年の3月頃までは断続的に「緊急事態宣言」や「自治体からの時短要請」、「まん延防止措置」などの措置がとられていたためどうしても客足が遠のく状況が続いていました。
7月に第7波の影響はあったもののこの4Qではかなり売上高は回復し、コロナ禍前の2019年比較で80%台までに回復してきました。
この調子で客足が戻って来れば、既存事業のみならず新規事業の「TORIKI BURGER」へも好影響が期待できます。

出所:決算説明資料

次は粗利率に関して見てみると、昨年の69.1%に対して70.5%と1.4%改善しています。コスト管理を徹底した上での好結果とは思います。ただご存知のように円安の影響で様々な原材料コストが高騰している中で、この粗利率を改善することは相当難しいのではないかと感じています。今回の決算では影響なかっただけで、次回決算では大きく影響を受けるのか、この点は注意が必要かと思います。

また販管費に関しては、前年比で+12億円と金額だけ見ると大幅に増加しています。しかし売上高比率で見ると、前年が99.1%だったのに対して今回は82.5%と比率で見ると減少しています。これは販管費の増加よりも売上高の増加が大きかったためこのように結果になりました。
ただ販管費は固定費なのになぜそんなに増加したの?という疑問を持たれる方がいるかもしれませんので内訳を確認してみましょう。
科目別に見て一番増加しているのは「雑給」で、前年比+10億円と大幅増となりました。

出所:有価証券報告書

この「雑給」にはパート・アルバイト等の方へ支給される給与となります。
つまりは売上高増加に伴ってパート・アルバイト等の方の雇用が増えたためだと考えられます。

今回の決算では営業利益ベースでは「赤字」でしたが、経常利益ベースでは「黒字」に転換しています。営業損失は△24億円、経常利益は19億円なのでその間に43億円の何か収益があります。それは何か?
前年もほぼ同額計上されていましたが、「助成金収入」として44億円の営業外収益が計上されています。

出所:決算短信

これは新型コロナに関する政府や自治体からの給付金がほとんどで43億円ありました。それ以外では雇用調整助成金として0.1億円あります。

出所:有価証券報告書

営業内ではコロナの影響で赤字になり、一方営業外ではコロナ関連の助成金で黒字になるという、何とも皮肉な決算内容です。
ただ今回の四半期ごとの営業利益を推移を見てみると、今回の4Q単独でようやく黒字化になりました。コロナ禍が始まって以来赤字が続いていましたので、2020年2月以来の黒字です。
今後も客足が戻りコロナ前まで回復すれば更に利益を伸ばせそうです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産としては前年から+16億円増加しています。大きな区分で見ると流動資産で+22億円増加、固定資産で△6億円減少しています。また負債の部では+5億円増加、純資産で+11億円という内容です。

出所:決算説明資料

流動資産に関しては、現預金の増加が大きく+39億円増加しています。この点に関しては後ほどCFの状況で説明しますが、助成金の受取が大きく寄与しています。負債に関しては特に目立った動きはありませんが、やはり客足が戻ってきたことによって仕入れの額も増えていますので、その分支払債務買掛金+6億円増加しています。

あと指標の観点から見てみると、財務の安全性を示す流動比率は179%と200%には届きませんでしたが、問題ないレベルと言えます。また自己資本比率は34.3%と目安の30%は超えてはいますが良好とまでは言えないレベルかと思います。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては+48億円と大幅増となりました。内訳としては営業CFで+59億円、投資CFで△4億円、財務CFで△15億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税前利益の+18億円がベースとなっているのはもちろんですが、今回はやはり「助成金の受取額」の+66億円が一番インパクトが大きいです。
ただこれは今後も同じような規模感で継続することはまずないと思いますので、しっかりと税前利益で稼ぐことが必要です。

財務CFに関しては、長期借入金の返済スケジュールに沿って返済をしています。投資CFでも大きな投資案件がなかったので、追加借入等も必要なかったようです。
また不測の事態の運転資金の備えとして、主要取引金融機関と当座貸越契約・貸出コミットメント契約を総額46億円で締結しています。今のCFの規模感からすれば十分な金額かと思います。
今年は5店舗の新規出店を計画していますので、営業CFでしっかり稼ぎ、投資CFへ資金を投入するサイクルを回していく必要があるかと考えます。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?


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