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サイゼリヤの決算内容を3分で解説!

今年最後の回はサイゼリヤの決算内容について見ていきましょう。
一度は足を運んだことがある人は多いかと思うこの会社、その決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+14%の1,442億円となりました。営業利益は前年の大幅赤字から一気に黒字化に回復して4億円、当期純利益も大幅増の+220.6%の56億円となりました。

出所:決算説明資料

売上総利益率は前年の63.3%から今年は63.1%と△0.2%悪化しましたが、営業利益ベースになると一気に前年比+26億円増加しました。

これは前年の販管費824億円に対して今年は906億円と82億円費用が増加しましたが、売上総利益が前年比で+108億円利益が増加したためです。

ちなみに販管費増加の主な内容は「人件費」によるもので、前年比+43億円増加しています。

出所:有価証券報告書

また営業利益から経常利益にかけて利益が103億円増加しています。
これは営業外収益の「補助金収入98億円」が主な要因です
この補助金収入は前年も48億円ありましたが、今年は+50億円と大幅に増加しています。

出所:決算短信

経常利益以降の項目では、特別損失の「減損損失」で19億円計上されています。これは日本含め世界に展開している店舗のうち171店舗が減損の対象と認識された結果です。
昨年の減損損失は6億円だったので約3倍に増加してしまいました。

出所:有価証券報告書

ではセグメント別にもう少し内容を見ていきましょう。
セグメントとしては「日本国内」「豪州」「アジア」と分かれます。
売上高に関しては日本国内が全体の70%を占めています。
営業利益に関しては、「日本国内の赤字をアジアの黒字で補填している」状況です。

出所:決算説明資料

国内の状況としては、コロナ禍前の2019年の売上高と比較すると85%まで回復しました。客数は80%までしか回復していませんが、客単価は逆に+6%増加しました。

出所:決算説明資料

今年に入ってからの「円安・材料価格の高騰」を受けて各社値上げをしている中、サイゼリヤに関しては「安くて美味しいものを出すのが使命」として値上げしないことを宣言しています。

その状況下で客単価が伸び売上高も85%まで回復していきていることは企業努力の賜物だと言えるのではないでしょうか。

ただ依然として国内事業は赤字が続いています。
前年比較で見ると大幅に赤字額は減少しましたが、それでも△21億円の営業赤字となっています。

やはり固定費を回収できるだけの売上高が必要ということかと考えます。

アジアに関してコロナ禍前の2019年と比較すると、売上高は+15%増加しています。国内と同様に客数は減少しましたが、客単価が+31%と大幅に増加したため売上高も伸びました。

出所:決算説明資料

アジアの中でも地域別に見てみると、広州が売上高・営業利益ともにトップです。前年は上海がトップだったのですが、今年はロックダウンの影響もあり前年比で大幅に減少しています。

前年比で見ると、ほとんどの地域で売上高は増加していますが、やはり上海ロックダウンの影響もありアジア全体では前年比+7.2%に留まりました。

出所:決算説明資料

営業利益に関しては前年比でほぼ半減となってしまいました。
ここも一番の稼ぎ頭であった上海のロックダウンが大きく影響しており、上海だけで△17億円減少しています。

広州に関しては大規模ロックダウンがなかったこともあり、営業利益は前年比+8,6%と堅調に推移しました。

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+98億円増加しました。
資産の部では流動資産が+88億円増加しています。満遍なく全ての科目で増加していますが、中でも現預金は+49億円と一番増加金額が大きいです。
この点は後のCFの状況で触れていきます。

売掛金・未収入金合わせて+10億円増加、棚卸資産も+26億円増加となっています。
年間の売上高が前年比で+177億円増加しているので、その分売掛金や棚卸資産が増加するのは自然な動きであって金額としても問題ないかと思います。

出所:決算短信

また固定資産に関しては使用権資産が+23億円増加しています。
新店舗出店に伴って増加してものと考えられます。

またそれ以外の建物や機械・工具などの有形固定資産は、投資金額よりも減価償却費の方が大きかったので純額で見ると減少しています。

出所:決算説明資料

負債の部に関しては、流動負債の短期借入金100億円を返済したのでその分減少しています。

リース債務に関しては、先程資産の部で触れました使用権資産が23億円増加したことに伴って、流動負債・固定負債合わせて+25億円増加しています。

出所:決算短信

純資産の部に関しては+109億円増加していますが、このうち「為替換算調整勘定」が+58億円増加しています。
これは海外子会社を連結した際の為替差額によるものです。
今年のように円安に為替が動けばその分この項目の金額が大きくなります。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては+75億円となりました。内訳としては営業CFで+218億円、投資CFで△24億円、財務CFで△164億円という内容です。

またここでも「換算差額」の影響が出てきます。
上記のように営業・投資・財務CFでの収支以外に「換算差額」として+46億円されています。
もちろん円安の影響で、昨年の換算差額が+18億円だったことからも今年の円安の影響の大きさがより鮮明にわかります。

出所:決算短信

今回の決算内容3分解説は以上となります。

今年一年コンテンツをご覧いただきありがとうございました。
皆さまにとって来年一年が良い年になることを願っております。

マサキタカオ


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