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カゴメの決算内容を3分で解説!

今回はカゴメの決算内容について見ていきましょう。
1899年創業で100年以上の歴史があるこの会社、トマトの会社から野菜の会社へと移り変わろうとしています。

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。

まず前提としてカゴメは国際会計基準を採用しているので、PLやBSの表示が日本基準と異なります。その点ご注意ください。

では話を戻しましょう。
売上収益は前年比+8.4%の2,056億円となりました。営業利益に関しては前年比△8.9%の127億円、当期利益には△6.6%の91億円となり増収減益という結果となりました。

出所:決算説明資料

今はどの業界でも同様の影響を受けていますが、円安の影響で売上収益は増収となりました。一方利益ベースで見ると、原材料価格の高騰でコストが増加して減益となりました。円安・原材料価格高騰の2つの影響です。

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては3つ「国内加工食品」「国内農事業」「国際事業」があります。
事業規模感としては、国内加工食品が全体の6割、国際事業が3割、残りが国内農事業とその他という感じです。

出所:決算説明資料

◇国内加工食品事業
売上収益は前年比+0.9%の1,379億円、事業利益は前年比△19.8%の105億円と増収減益という結果となりました。

出所:決算説明資料

売上の構成としては「飲料」「通販」「食品他」と分かれていますが、全てカテゴリーで増収となりました。
飲料に関しては「トマトジュース」の売上が後半から伸び始め、通年での増収に貢献しました。やはり看板商品ですね。
通販に関しては野菜飲料が前年を下回りましたが、代わりにサプリメント等が好調だったため前年並の売上となりました。
また野菜飲料に関しては市場規模自体が年々縮小しており、今後の事業展開をする上で気掛かりな点であります。

出所:市場規模の推移

事業利益に関しては全体的な要因としては原材料価格の高騰によるコストアップが挙げられます。また販売促進の為のコストが増加した点もあります。

◇国内農事業
売上収益は前年比+0.4%の95億円、事業利益は前年比+56.9%の4億円と増収増益という結果となりました。
日照不足などの影響でトマトの調達量は落ちましたが、生鮮トマト市況が高水準で推移したこともあり、売上全体では前年並となりました。
事業利益に関しては2021年より取り組んでいる「収益構造改革」の効果で固定費が削減されて増益となりました。

出所:決算説明資料

◇国際事業
売上収益は前年比+33.6%の678億円、事業利益は前年比+52.7%の36億円と増収増益という結果となりました。

国際事業なので円安による為替影響もありますが、その為替影響の除いても売上収益は前年比+17%の増収です。
米国では外食需要の拡大や価格改定による影響で売上増となりました。
ポルトガルでも価格上昇による影響で売上が増加しています。
やはり世界的なインフレ影響で価格転嫁できている地域では売上増加となっている様です。

事業利益に関しても先程の話につながりますが、インフレ影響でコストアップした分を販売価格に転嫁できており、その影響で大幅な増益となっています。このあたりの価格転嫁のスピード感は日本との違いを大きく感じるところです。

出所:決算説明資料

◇2023年業績予想
売上収益は2022年比較で+3.6%の2,130億円、事業利益は△42.4%の74億円と増収減益の見通しとなります。
売上に関しては国内が芳しくな状況下で国際事業が牽引して増収を見込んでいます。
一方事業利益に関しては、2022年よりも更に原材料コストが増加することを見込んでおり大幅な減益の見通しとなります。
ただ国際事業に関しては売上同様に増加の見込みとなります。
国内と海外ではっきりと明暗が分かれた見通しとなりました。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。

総資産全体としては前年末から+101億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+57億円増加しており、内訳としては棚卸資産で+104億円増加、営業債権で+38億円増加が主な内容です。
棚卸資産は為替の円安影響も大幅な増加となりましたが、営業債権とのバランスから考えると少し増加が大きいかと考えます。
一方、現預金に関しては△98億円減少していますが、この点に関してはあとのCFの状況で触れていきます。

非流動資産に関しては+44億円増加していますが、有形固定資産で+15億円、持分法で会計処理されている投資で+13億円が主な内容です。
この持分法の増加分は、持分法適用会社の評価額が増加したことによるものです。

出所:決算短信

負債に関しては+79億円増加していますが、これは借入金の増加による影響が主な内容です。短期の借入金に関しては、運転資金の不足分を補うための資金調達と考えられます。

資本に関しては+22億円増加しました。内訳としては当期利益で+91億円増加しましたが、自己株式取得で△77億円減少しています。
ちなみに前年も自己株式取得が25億円ありました。
これは株主還元を目的として政策的に実施していると考えられます。

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から△98億円減少しました。内訳としては営業CFで+46億円、投資CFで△94億円、財務CFで△55億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税前利益で+125億円稼いでいますが、棚卸資産の増加影響で△75億円の減少があり思ったほど増加しませんでした。
この棚卸資産は前年のCFでも32億円増加しており、今回はその倍以上の増加となりますので、少し気掛かりな点です。

投資CFに関しては有形・無形固定資産への投資で△98億円の支出がありましたが、これは通常行っている投資レベルで特段問題ありません。

財務CFは短期の運転資金を補うために短期借入金が+63億円増加しています。一方で自己株式取得により△77億円の支出、配当金の支払いで△32億円の支出がありますので、株主還元として約100億円の資金を使ったと考えることができます。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ



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