物語 月、満ち欠け 11月6日(第三十話-休むことも大切)
前回までのあらすじ
王子さまとそうじ屋の娘。湖で出会い恋におちた二人。二人は湖で再会、家出。帰ると娘は捕らえられ、満月の夜に来る国の守り神「ヨル」に、二人は裁かれました。『愛が濁っている二人は永遠に逢うことはないであろう』と。長老は、新月の夜に「コスモ」に願いを叶えてもらえばまた会えるかもしれないと言いました。
王子さまは修行の途中で隣の国へ旅へ行き、娘はそうじの仕事を再開しました。王子さまは宇宙で「コスモ」を見つけました。娘は湖畔で宇宙を見つめました。愛しい人が幸せであるなら、特別な願いごとはないと思いました。そしてそれぞれお城と屋敷へ帰りました。二人ともそれぞれの場所で心機一転がんばります。それでも本当は愛しい人に会いたいようです。
第三十話-休むことも大切
夜明け前。星は何度みても飽きないと思いました。壁をつたう星は一つ。夜空では自由気ままに輝く星の世界でした。さあ、今日もがんばります。
王子さまは、王子としての仕事と、長老からの修行をがんばります。
そうじ屋の娘は、そうじ屋としての仕事と、長老から借りた本を読むことをがんばります。
それは未熟な自分を、良い自分になるようにして、愛しい人へも幸せを届けられるような人間になりたかったからでした。
あっという間に一日が過ぎました。
もう、ヘトヘトです。
みかねた長老が言いました。どうぞ明日はお休みくだされ。私からも進言いたしましょう。
はい。でも……。
未来のある若い方よ。がんばることは大切ですが、休むことも大切ですよ。明日はゆっくり休みなされ。
……わかりました。ありがとうございます。
そして、夕方。二人はそれぞれの場所で眠りにつきました。きっと本当にヘトヘトだったのでしょう。
空では月が新しくなったそうです。美しい星空が広がっていました。星々が優しく光ります。星々は夢を見る二人のことを優しく見守っていたのでした。
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『物語 月、満ち欠け』
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