私小説? 日記? 贈り物

今までに大切に愛されてきた記憶をたどる。




今までに大切に愛してきた記憶たどる。




贈り物などいらないですよと私は言った。




愛 が全ての贈り物だから。




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母さんと待ち合わせ。クリスマス前の街には少しだけ人の多め。まだ流行の感染症により、ごった返す程ではない。

母とは久しぶりに会う。数ヶ月ぶりだと思う。美術館のチケットが手に入ったよと母から連絡があって。ネットで予約を私の方でして。今日、待ち合わせ。

「ヤッホー」

母が笑ってきた。

「ヤッホー」

「早かったね」

「うん」


検温、消毒、マスク着用、ソーシャルディスタンス。受付を済ませて、美しい品々や絵画を眺める。見るときは別々に、ショップコーナーでまた待ち合わせている。

美しい品々や絵画は、別世界へ連れていってくれる。小さい頃母に美術館や博物館を連れ回されたので、私も大好きになった。

ショップコーナーでお土産を二、三買って。余韻に浸りながら美術館を後にした。

「あの絵素敵だったわ」

「あの装飾が良かったな」


クリスマス前な街を通り、母の田舎のアンテナショップへ行く。美味しそうな果物やお菓子が並ぶ。

「これ買ってあげるね。これも美味しいのよ。これはみんなで食べなさい」

母がたくさんたくさんお土産を買ってくれようとする。私もお金払うよと言うと。

「ダメよ! それは親孝行じゃないわ」

となぜか叱られる。


アクリル越しの昼ごはんを食べる。

「あなた調子はどうなの? 生活はどう? みんな元気にしてる?」

怒涛の質問責めに合う。なんとかごまかしながらはははと笑い合う。


そして解散の時間。

「もっとゆっくりしたいのに!」

「また会いましょう」

「そうね。今日は今年一番楽しかったわ。ありがとう」

「ありがとう」

お土産はたくさんの果物とお菓子と、それから大好きな母とのとても楽しい思い出。母さん、ありがとうございます。




贈り物とは。愛でしょうか。




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