太陽に刺さった塔:ショートショート

太陽に刺さった塔

街には孤高の塔があった。人々が見上げるその塔は一人で佇んでいた。本当は寂しい心を隠して、その代わり高く高く立っていた。

高く高く高く高く。あまりの寂しさに高く高く立ちすぎた塔は、とある夕方、赤赤と沈む太陽に刺さってしまった。塔は熱っと言い、太陽は痛っと言った。でも、太陽はなぜか嬉しそうに輝き、そして沈んでいった。


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夜の塔は

天頂が赤く赤く燃えていた。



なんでも、太陽に刺さったらしいよ。

       きれいだね。きれいだね。


家族もカップルも友達同士も……街中の人々が繋いだ手と手は、塔の灯が強くした。


今宵はクリスマスイブ。太陽に刺さった塔は、赤赤と喜んだ。

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