メガネの気持ち

ぼくはメガネ。おっちょこちょいのご主人に仕えている、近視用メガネだ。

お気に入りの場所は、ご主人の頭の上。眺めが良いんだな、これが。

怖いものは、座布団。座布団で置いてけぼりにされると、ご主人がぼくを潰そうとするからだ。おかげで、ぼくの継ぎ目は少しゆるんでいる。それで、かけられていると、ずれてしまって、お年寄りの人のメガネみたいと言われることもあってね。いやはや。早く直してね。

そんな、おっちょこちょいのご主人だけど、ぼくと気が合うんだ。本が好きな所。特に、人生を考えさせられるものに出会うと、ずっと読んでしまうんだ。いいよね。

大空を眺めている時も、幸せだな。素晴らしい気分になれる。夜空もいい。ご主人は、ぼくがいるから、小さな星が見えるって、喜んでくれる。メガネで良かったと思う瞬間。"メガネがい"がある、って。そんな言葉があればそれだなあ。

ご主人のダメなところは、おっちょこちょいで、涙もろい所。

おっちょこちょいだから、よくぼくをどこかの棚上に置き去りにしては、どこ行ったー? と探しているんだ。自分で置き去りにしたくせに。ね。

この前は、ラジオの上に置かれてね。ご主人、出掛ける直前に、ないないって大騒ぎ。仕方ない、メガネなしで出掛けようって、ラジオを消しに来たら。あ! こんな所に! だって。こらこら、自分で置いたんでしょ!

いつも、ここだよー、って思いっきりキラキラと輝いてみても、ご主人、目が悪いから、ぼくを見つけられないんだ。それで、運が悪いと、ぼくは踏んづけられて、曲がってしまうこともあってね。なんてこったぁ。

それと、涙もろくてね、本を読んでいて、ぼくのレンズ部分に、ポタッと涙をこぼすんだ。あぁ、感動してるんだなって思うんだけれど、レンズに跡がついてしまうのでね。いい人なんだけど。あとでちゃんと洗ってね。

最近、よくパソコンやスマホ、ずっとやっているみたい。大丈夫かな。たまには休んでさ、また、あの大きな青空、見に行こうよ。いつでもお供いたしますから。

ご主人、いつもおっちょこちょい。でも、大好きですからね。たまには目を休めてね。大空とか、良い景色とか、見に行きたいな。いつも、ありがとうございます。

(ご主人へ、メガネより)


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