2020年に読んで良かった本7選

初めてのnote投稿。

こんにちは。前々から取り組んで見たかったブログとやら、何事も体験してみようということで、自身の忘備録も兼ねて気楽に書いてみることにします。

2021年も早くも3分1が過ぎようといますが、2020年に読んでとても良かった本をご紹介します(手始めにとっつきやすかったのと、本をよく読むので材料が豊富であるのが理由です)。企業でちょこっと研究していることもあり、自然科学、技術関係の本が特に好きです。とはいえ経済、哲学、デザイン、建築なども好きで、ジャンル問わず何でもござれです。今回は選りすぐりの7冊です。では、早速。

1.現代経済学の直感的方法

これはもうスゴい(語彙力)。経済とは何か?資本主義とは何か?貨幣とは何か?これらの本質をあぶり出し、まさしく「直感的」に理解できる本です。経済などに抵抗がある方でも、スッと飲み込めるのではないかと思います。

「なぜドルが国際社会の基軸通貨として君臨しているのか?」その答えは米国の強力な軍事力にあり、という解釈にはシビれました。従来は金の引換券としての金本位制から出発し、いつしか軍事力が価値を付与するようになったということだそうです。また、ここ数年一気に注目を集めている仮想通貨にも焦点を当て、軍事力に拠らない貨幣としての特殊性についても語っています。ビットコインの極めて秀逸な仕組みである、ブロックチェーンや秘密鍵、ハッシュ関数(これらにより原理的には改竄が不可能)についても簡潔に記載されており、暗号通貨の章だけでも読む価値ありと思います。個人的に超おすすめです。

2.暇と退屈の倫理学

2020年のコロナ禍において、緊急事態宣言に伴う外出自粛や会社の在宅勤務推進によって、これまで以上に余暇時間を活用できるようになったこともあり、個人的にはとても刺さった一冊です。

この本では、『人間は暇を得て、退屈することが嫌いである。だから何か熱中できる「好きなこと」を獲得し、「(その意識を)とりさらされる」ことを好むのだ』ということ。これはとても共感する部分でもあるのです。確かに、仕事はこうした側面がないというと嘘になるし、こと余暇時間も退屈を避けるために、色々な「好きなこと」に関する活動をしていると言える(このnote然り…)。

文中では現在の文化産業を取り上げ、産業が「楽しいもの」を提供し、受け手は金銭と時間を使いそれを「楽しむ」、そうして我々は「好きなこと」を獲得していく。つまり私たちは浪費家ではなく消費家になることを強いられている。そして消費には終わりがない。そのため、満足が遠のいていき、結果そこに退屈が生じると論じている。筆者はひとつの提言として、消費ではなく浪費(贅沢)することが肝要であると締めている。なるほど、改めて自分にとっての「好きなこと」は何だろう?改めて考えされたれた本です。暇な方は是非。

3.イシューから始めよ

2020年に読めて良かった、と思える本です。本当に解くべき問題は何か?それを明文化したとき、ちゃんと成否判定できるようになっているか?こうした「イシュー」に辿り着くための考え方がきめ細やかに書かれています。大学の時とかもっと早く読みたかったな、と思う一冊です。

こと研究となると、知的生産がその中核を成すわけですが、往々にしてあっち行ったりこっち行ったりして、「あれ?何したかったんだっけ?」ということが起きます(これは精神衛生上も本当に良くない)。「イシュー」とはそうならないための、あるいは迷っても自分の居場所がわかる灯台となる訳です。定期的に読みたい本No1です。

4.コズモグラフィー

「宇宙船地球号」「フラーレン」「トラス構造」みなさん一度は耳にしたことがあるかも知れません。いずれもこの本の著者であり、現代のレオナルド・ダ・ヴィンチとも称されるバックミンスター・フラー(1895-1983)が提唱・発見した概念です(「フラーレン」はフラーの活動に敬意を表されその名を冠したとされています)。とにかく突き抜けた、とんでもない人なのです。

フラーは科学を「経験される事実をエネルギー効率の最も優れた方法で秩序づけるための探求である」と位置付け、自然のパターンを幾何学的な視点から洞察しています。現代ではノースフェイスのテント(ジオドーム)の骨格構造にその考え方が導入されていたりなど、最小限のリソースで最大の効果を得るという、今で言うサステナブルな考え方の基礎を築いています。世界の見方が一変する、そんな刺激が得られる本だと思います。

5.自然界における左と右

「とあるX星に住む星人に左と右という概念を伝えたい。彼らはどのような実験でもできるものとする。ただし、条件として我々と彼らとの間で、共通に観察しうる非対称な目標や構造物はないと仮定する。さて、どうするか?」

北を向いた時の東が右…いやいや、X星の南北は決まっていないからダメだ…著者はこれをオズマの問題と呼び、この問題にまつわる日常様々な例や、物理学の学術界の論争まで幅広く取り上げています(物理学の世界では空間の対称性を「パリティ保存則」と呼ぶそう)。ちょっとした気分転換におすすめな本だと思います。ちなみに、正解は「コバルト60の原子核に強い磁場を加え軸の両端から出る電子の数が多い方を南極とし、次に南北方向に向けた針金に電流を流し右ねじの法則で右を定義する」だそう。(わからないでしょ。。)

6.情報の文明学

著者の梅棹忠夫先生(京都大学, 1920-2010)は、今日の「情報産業」という言葉を初めて用いたとされ、卓越した先見性から世界に先駆けて情報の持つ価値を見抜き、その発展を予見していました。

「情報」とは何か?改めて問われると難しいですね。ビットで表される情報量は1948年のクロード・シャノンの「通信の数学的理論」にて確立され、「不確実性」を減らすものが「情報」であるとされています。この本では、情報を、測定する方法すらない「人間と人間の間で伝達されるいっさい記号の系列」と捉え、情報の価値は『複素数的構造をもつ』と指摘しています。これにはシビれました。梅棹先生はこれを「お布施理論」と名付け、実数(a)と虚数(bi)のアナロジーから、情報の価値をa+biと示したのです。aの部分は価値を数字で表すことができる部分。例えば電波の使用時間など。一方、biの虚数部分は計測不能であるとされます(例として僧侶の格などが挙げられています、今風にするとサービスの質とかでしょうか)。捉えどころのない「情報」を考える上で大いに役立つのではないかと思います。(「知的生産の技術(岩波新書)」もオススメです)

7.シン・ニホン

「イシューから始めよ」と同じ著者である、安宅さんの一冊です。天邪鬼なもので、本屋の一番目立つところにドンと平積みされているとなんとなく嫌煙していて、これもその一つだったのですが、やっぱオススメされるだけのことはあると思い知らされたものです。

企業ではよく出口戦略など議論されますが、この本ではどういう切り口で戦略を考えるべきか、そうした視点が十二分に盛り込まれています。所謂MECEなどのフレームワークに留まらず、目から鱗の課題解決の型などの「整理法」が書かれているため、実務においてとても参考になりました(なっています)。「イシューから始めよ」と同じく、定期的に読んでおきたい一冊です。

まとめ

以上、2020年で読んだうちの厳選した7冊をご紹介させていただきました。是非気になるものがあれば読んでいただきたいと初noteを思い書いてみました。もし読まれた方、ぜひ感想など議論させてください。皆様の何か参考になるものがあれば嬉しいものです。

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