因果関係で言うならば、即刻火あぶりにすべきは……?

目次
『疑われるカトリック教会と性犯罪との因果関係』

『数字から見えて来る "子供を犯す者" の正体』
『聖職者と教員の共通点とは』
『見当はずれの犯人探しが真犯人を隠匿する』
『オタク真犯人説の前に何故キリスト教の罪を指摘しないのか』


『疑われるカトリック教会と性犯罪との因果関係』
 だいぶ前から言われ続けていたようにも思うが、またもカトリック教会が絡む大規模な「性的虐待」の話がネット上を駆け巡っている。

『独カトリック教会、子どもへの性的虐待3766件 過去68年間で』
https://www.cnn.co.jp/world/35125561.html
 このニュースによると、1946年~2014年までの約70年間で、ドイツのカトリック系の聖職者が起こした性的虐待の件数が、最低でも3766件あった事が発覚したという。

 この手のニュースは国が変わっても事欠くことがなく、アメリカでもこのようなニュースが報じられていた。
『カトリック神父300人が性的虐待 被害者は数千人か』
https://www.asahi.com/articles/ASL8H23KWL8HUHBI002.html

 こうしたカトリック系の聖職者や教会が絡む性犯罪が報じられる機会が世界的に増えているため、このようなwikiまで作られている始末だ。
『カトリック教会の性的虐待事件』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E6%95%99%E4%BC%9A%E3%81%AE%E6%80%A7%E7%9A%84%E8%99%90%E5%BE%85%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 だが、ここにひとつ注意せねばならない点がある。ここ数年ほどで教会と性犯罪というニュースを目にするケースが増えたのは事実だが、その内容を見てみると大体が「過去●●年に渡って」といった語られ方をしている。
 よって「最近になって増えた」と言ってしまうのは大間違いで、単に最近になって表面化しやすくなっただけなのであろう。
 少々極論めいてしまうが「そもそも聖職者には、性犯罪・虐待といった手段で、自分より弱い立場の人間を支配したがる人種が多い」と見ておくのが、むしろ冷静なのではないかと思う。聖職者になったからそうなったのか、逆にそういう素養のある人間だから聖職者になりたがるのかは不明だが、[聖職者]と[性暴力・支配欲]との間には、何らかの因果関係があるとしか思えない。

『数字から見えて来る "子供を犯す者" の正体』
 さて、ではここで最初のニュースに戻り、数字について考察してみよう。注目すべきは「子供への性的虐待、68年間で3766件」の部分だ。これを年間の平均件数に直すと、1年間に約55件となる。

 この数字を見て、著書の性質的に公的機関の発表している統計データとにらめっこをする機会が多い私は、日本国内のとあるデータを思い出してしまった。「あれ?これとそっくりな数字があったぞ!?」と。

『犯行時の職業別検挙人員』
・平成27年度 わいせつ50件(強制~32件 公然~14件)
https://www.npa.go.jp/toukei/soubunkan/h27/h27hanzaitoukei.htm
・平成28年度 わいせつ61件(強制~47件 公然~10件)
https://www.npa.go.jp/toukei/soubunkan/h28/h28hanzaitoukei.htm

 これが何の数字がおわかりだろうか? 警察は毎年犯罪統計を発表してくれているのだが、ある時期から「犯罪をおかした人間の、犯行時の職業別統計」という、とても興味深いデータを公開してくれるようになった。それが上のリンク先にある『犯行時の職業別検挙人員』という項目であり、上の数字は犯行時の職業が「教員」だった人間がおかした「わいせつ事件の数」なのだ。
 この数字の面白さは、他の項目では教員の犯罪件数は押しなべて少ないのに、わいせつ事件になった途端にトップ戦線に躍り出るところである。流石にわかりやす過ぎるだろうとは思うが、「因果関係が疑われて当然の数字」が出てしまっている事は覚えておきたい。

『聖職者と教員の共通点とは』
 さて、ドイツと日本は世界的に見ても特に犯罪件数が少ないと言われている国なのだが、かたやドイツでは教会の聖職者が、かたや日本では学校の教員が、子供に対して性的暴力を振るっている。しかも平均件数は年間約55件でほぼ同数である(ただし人口では日本1億2000万人、ドイツ8200万人と、約4000万人の差がある)。

 次に、このドイツの聖職者と日本の教員の間に何か共通点があるのか考えてみる。まず思い付くのは、(単純な話だが)両者ともに子供と接する機会が多いだろうということ。しかも、子供に対して「物事を教える」という、絶対的に上の立場であるという点も瓜二つだ。
 もう少し頭をひねると、教会や学校は親の立場からすると「安心して送り出す先である」という点も見えて来る。犯罪の現場が死角になりやすいという点は見事に一致する。
 また、カトリック教会については権力の集中具合が極端で、身分がピラミッド型で固定されているような印象がある。そういった窮屈な状況にありながら、「ごく限られた空間(例えば街単位)においては権力(支配力)を握っている」という点に、聖職者の暴走を招きやすい要因があるのかもしれない。これが日本の教員にどこまで適合するかは微妙だが、遠慮がちに言って「似ていると言えなくもない」状況ではあると思う。

『見当はずれの犯人探しが真犯人を隠匿する』
 思いのほか長くなってしまったので〆(というか本題)を急ぐが、今もネットではフェミニストを自称する極論家が悪目立ちしており、あいも変わらずアニメやマンガがクソ叩きになっている。そして何か事件が起きるたびに、炎上目当てなのか、マトモな犯人捜しをする知恵もないバカなのか知らないが、マスコミが「真犯人マンガ説」や「真犯人オタク説」を嬉々として取り上げている。
 だがしかし、今のところアニメやマンガやゲームと犯罪発生率との間に、動かぬ因果関係がある事が証明されたなんて話は聞いた事がない。今回私が挙げたような数字は、「オタクコンテンツ」とされるものからは出ていない(数学的にインチキなものは除く)。
 こう言うと「そんなくだらない統計を取っていないだけだ」といった反論もあろうが、うるせえばーかばーか

(頭に血がのぼりましたので少々おまちください)

 オタクコンテンツと犯罪の間に何か因果関係がありそうならば、警察が本気でそう考えていたならば、すでにアニメだゲームだマンガだと犯罪とを結びつけるような ”数字” を取っているに決まっている。某宮崎事件から何十年も経っていて「その手の数字がない」のなら、それは「因果関係が薄い」と警察が考えている証拠である。
 なぜそう言えるのか。それは上に挙げた犯罪統計の中にどうして「教員」なんて項目が増えたのかを考えてみればいい。私が知る限り、この項目は90年代の後半に差し掛かった頃に出来たもので、比較的歴史が浅いのだが、過去の数字が積もり積もって「明らかにキャラが立ってしまった」から、属性として無視できず、晴れて独り立ちしたのだ。
 同じ統計書の中に『罪種別 主たる被疑者の犯行の動機・原因別 検挙件数』という項目があるのだが、仮にオタクコンテンツが何かしらの悪さをしているのであれば、その証明ともなる数字が取れているならば、この辺りにそれを指す項目が増えてもおかしくない。それが無いならば、現時点では「オタクコンテンツと犯罪の間に因果関係なぞ無い」と看做すべきである。

オタクコンテンツの悪影響が!
若者のゲーム脳が!
アニメ絵ばかり見ているロリコンが!


 と、単に自分の嫌悪感を社会正義かのように喚き散らすのは勝手だが、そのようなバカな言動ばかり目立ってしまうと、もっと確実に数字で証明できる部分に光が当たらず、訳の分からない犯罪のエアポケットを生み出してしまい兼ねない。
 そういう意味では、何かある度に「子供の~子供が~子供に~」と騒ぎ立て、表現規制を推し進めようとしてくる輩は、何か別の都合の悪い情報を隠そうとでもしているのではないかと勘繰ってしまう。

『オタク真犯人説の前に何故キリスト教の罪を指摘しないのか』
 そういえば、昔からアニメ・マンガ・ゲーム・エロ……等に対する投石攻撃は日常茶飯事だったが、そうした運動には常に矯風会(日本キリスト教婦人矯風会)の影がチラついていた(矯風会が出自と思われるECPATなども含む)。
 カトリックとプロテスタントの差があるとかなんとか言い逃れられそうな気もするが、同じ "キリスト教" なのだから、仏教や神道よりはよっぽど近いだろう。そんなアンタ達にオタクを虐めて遊んでいるヒマなどなく、もっと積極的に「近親者の罪」をどうにかすべく活動するべきなのではないかというのが正直な思いである。
 それに矯風会といえば、歴史的に関わっていた教師も多いのだし、オタク文化に対する言いがかりの無茶苦茶さを真似るならば、「矯風会=キリスト教=性犯罪の病巣」といったロジックの方が、まだ事実に近いと思う。

 連中が本気で世のため人のために何事か運動しているというならば、より因果関係の証明が容易そうなところから攻撃するのが当たり前だと思うのだが、それをしない理由はなんだろう?
 兎にも角にも、ネット上で大声で極端な意見を叫んでいる輩を見かけたら、まずは冷静にその人物の背景を調べてみる事をオススメします。自分の感情を動かすのはその後にしましょう。

◇ CM
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