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息子の入眠下手と向き合って「親の責任」のなんたるかを知る

寝てくれない息子

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世界一かわいい(当社調べ)ウチの息子は、幼稚園児の頃から寝入るのが下手クソだった。赤ん坊の頃はそこまで意識はしなかったのだが、幼稚園に通うようになり、毎日決まったスケジュールで動く生活が始まって、そこで「こいつ何で夜同じ時間に寝てくれないの?」と気付いたのである。

どれくらい寝ないかというと、我が家では寝かし付けは私の役目で、20時には布団に入れていたのだが、ごろんごろんアッチコッチに動き回り、何度布団を掛けても剥ぎ、そのくせ身体が冷えてくしゃみが止まらなくなり、ずるずる鼻をすすっている内に目がさえ、こっちも我慢の限界が来て怒鳴り散らし、私の怒鳴り声にビックリして泣き、やっと23時過ぎに泣き疲れて寝てくれる……なんて日々の繰り返し。

私は少しでも息子が寝やすいようにと部屋の温度設定を思案してみたり、より使いやすいであろう布団に新調してみたり、ワセリンを塗って足マッサージをしてみたり、毎日毎日あれこれ苦心して(財布も痛めながら)、息子の入眠改善に尽力していた。

んが、それらがすべて無駄に終わり、目の前には変わらず布団に入ってから確実に2~3時間は寝ない息子がいる訳で。

まあぶっちゃけ親のメンタルが限界を迎えるよね。

何が辛いって、20~23時というフリーライター的に仕事をしておきたい時間帯が、ほぼ毎日潰れるというのがしんど過ぎる。
それに、そうやって仕事や自分の事に割きたい時間を全て息子の寝かし付けに費やしているのに、全部無駄になっているというのがもう……。

ちなみに、寝かし付け役が女房の場合はもっと酷く、大好きなお母さんの隣で寝ていられるというシチュエーションに興奮するのか、女房の顔や腕にちゅっちゅと吸い付いてみたり、女房の身体を敷布団にしてごろごろしてみたり、寝ろと言っているのにひたすら女房に話しかけたりと、オレが寝かし付ける時の何倍か悲惨な状態になってしまう。

一度「今日は怒鳴ったりせず静かに動向を見守ろう」と、家族3人で川の字で寝て、息子がどれだけ寝なくても怒るまいと決めた日があったのだが、その日は大好きなお母さんの隣でゴロゴロし続け、やっと寝たと思った時には日付が変わっていた。

20時に布団に入って24時過ぎるまで寝ないってやべえだろ。

アドバイスを全部試した結果……

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幸いな事に、私と女房には何かの時に気軽に相談できる専門家が何人かいるため、困り事の度にそうした周囲の知人にアドバイスを求めて来た。

そこで最初に言われたのが「運動不足では?」だった。コロナ禍突入以降はどう考えても運動機会が激減していたので、確かに体力が有り余っている可能性は高い。
そこで意識して身体を動かす時間を作るようにしたのだが、イマイチ効果が実感できず。寝る時もあれば、全然寝ない時もあり、解決には程遠い状態だった。

次に「食べ物はどう?スパイスとか刺激物とか、味の強すぎる物を食べさせ過ぎてない?」というアドバイスをいただけた。
息子はアトピー気味なので、自分の汗などでお肌が痒くなり、それで寝られないという可能性は充分にありそうだ。現に布団に転がっている時に、しょっちゅうボリボリと音を立てて脚をかいている。
これについては刺激になりそうな調味料の使用を抑え、また皮膚科にスキンケア用のローションや飲み薬を処方して貰い、マメにケアしてやる事にした。その結果、痒みや肌荒れは減ったかもしれないが、「寝られない」という部分においてはさほど変化ナシ。

また、タブレットを買い与えてやって以降、毎日それで遊び倒しているため、「最低でも寝かし付ける1時間前にはタブレットやゲームを止めさせろ」とも言われたのだが、それも殆ど効果ナシ。

それ以降も、少しでも要因ではないかと疑えるものがあれば全て改善したつもりだったのだが、どうしても入眠下手が治らず。
毎日毎日寝かし付けの度に大声で怒鳴り付けて泣かせて寝かせるという酷すぎるやり方以外に、確実に寝かせる方法が無くなってしまった。

私も私でとっくにくたびれ果ててメンタルがズタボロ。「怒鳴っちゃダメだ、こんな事だと息子がますます寝るのが嫌い、怖いなんて考えるようになってしまう」と頭で考えていながら、実際には「とっとと寝ろボケ!寝ねえなら出てけ!」とベランダに放り出したりしていた。
当然息子は泣きわめくけれども、そうすると何故か寝てくれるので、ついついそんな極端な手法に頼ってしまっていたのだ。

これじゃ単なる児童虐待だが、こうまでしないと絶対に寝てくれない。とはいえ、こんなやり方をしては子供がストレスを抱えるばかりで、より寝られなくなるだろう。絶対にやっていい事じゃないと頭では分かっているのだが「また今日もこいつは寝ないのか」と思うと自分の感情が止められない。

困った時には薬物……じゃなかった

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ほとほと困り果てて精神をすり減らした私は、ある時仮説を立てた。

ウチの息子はそこまで深刻ではないものの、健常な子供と比較すると確実にADHD寄りであり、とにかく止まっていられない&気が散りがち。
そのせいで父親にめちゃめちゃ怒鳴られるなんていう極限状態にならないと「寝る」という事を忘れて、別の事に意識が向いてとっ散らかってしまうのではないだろうか。

ただ、そうなって来ると怒ってどうにかなる話ではないので、専門医や学校に相談するよりない。
そこで学校のケースワーカー的な人に女房が相談をしたところ、学校生活では特に問題はなく、ADHDについても「もっと本格的にやべえ子がいくらでもいる」との事だった。現時点では睡眠時間が足りなくて支障が出ているという事もなさそうだ。

それではと行き着けの小児科の先生にもアドバイスを求めたところ、やはり息子自身には特に重篤な問題はないとの見立てだった。ADHDについては「ADHDの特徴は見られるが幼児はこんなもんだろう」という診断だった。

ただ、そうは言っても親の私がもう限界を超えてしまっているという事情も分かってくれ、「親を助ける意味で」という前置きをしつつ睡眠導入剤を出してくれた。それはホルモン分泌を助けてくれる薬だそうで、幼児なら飲んでから30分ほどで効果が出るとのこと。

早速その日から貰った薬を飲ませて布団に入らせたのだが、面白いくらい効き目が強く、あっという間にあくびをし始め、気付いたらイビキをかいて寝ていた。
ものの何分かでこてんと寝た息子を見て、「これすごいじゃん!」と感動したが、その反面で「子供に睡眠薬なんか飲ませていいのだろうか」「何か落とし穴があるのでは」という不安もあった。

そしてそんな不安が的中し、そうそうウマイ話はないのだと思い知ったのが翌朝。薬の効き方が強すぎたのか、息子が盛大にオネショをしてしまったのだ。

その日は薬のせいだという事が分かり切っていたし、何よりすぐに寝てくれた喜びの方が勝っていたので何も思わなかったのだが、そんな大量オネショが3日間続くと流石にげんなり。洗濯も日干しも間に合わず、もう敷ける布団がない。

どうも明け方になって尿意を感じても、意識が戻らずそのまま出してしまうようなのだ。寝る前の水分摂取を控えさせても、寝る前に何度もトイレに行かせても、どうしても止まらないオネショ。
結局、これは貰った睡眠導入剤を飲んでいた1週間ずっと続いていた。

やっぱ6歳児を薬でどうこうしようなんて考えたら、そういう結末になるに決まってるよねえ。頼るべきは薬じゃなかったのかのう……。

やっと息子に合った方法を発見

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生活習慣を見直してもダメ、薬に頼っても副作用が酷い、じゃあもうどうにも出来ないじゃないかとゲンナリしていた私だが、このまま諦めては元も子もないと、息子にどうして眠れないのかを自分なりに考えて貰う事にした。
それまでも何度か理由を聞いてはいたのだが、それ以上に細かく、詳しく、何度も何度も「何にどう問題があるのか」を聞き取った。

すると、息子は知っている言葉を組み合わせて、一生懸命何がダメなのかを伝えようとしてくれた。
彼曰く、「寝ようとすると身体が熱くなる」「寒い気もするけど、お布団をかけると暑くて寝られない」「すぐに布団が温くなって気持ち悪いから、ひんやりして気持ちいい場所を探して動いちゃう」……との事で、明らかに自律神経をいわしているんだなと。
手足は冷え切っているのに頭周りだけ暑く感じるそうで、それっていわゆる "冷えのぼせ" ってヤツではないだろうか。

それが分かったら、後はもう自律神経だとか副交感神経だとか、ターゲットをそこに絞ってみるしかない。
運の良い事に(?)、私と息子は銭湯通いが趣味で、愛用している銭湯にはどこも水風呂があるため、行く度に温冷交代浴をさせるようにした。最初は水風呂を嫌がった息子だが、何度か体験してみたら良さが分かったらしく、3度目くらいで自ら進んで「温かいお湯→水風呂→椅子→温かいお湯……」というコースを楽しむようになった。

それとは別に、たまたまTwitterのTLに「仙骨を温めたら寝付きが良くなった」なんて話が流れて来たので、それも試してみる事にした。

最初に参考にしたのはこの辺りのページで、ここからあっちこっち辿って行って自分なりにやり方を考えてみたのだが、最終的に次のような流れで落ち着いた。

・タブレットやゲームなどは時間厳守
・寝る30分前に熱め(43度)のシャワーで仙骨を温める(約3分間)
・寝る時はしっかり布団を掛けさせ、パジャマもしっかり着せる(肌着だけで寝かさない)

すると何という事でしょう、効果はてきめんに現れ、布団に入ってから遅くても30分以内には寝てくれるようになったのです。
しかもたまたまその日だけという訳ではなく、次の日もその次の日も、毎日毎日ちゃんと同じような時間(20:30~21:30くらいの間)には寝て、7:00くらいに起きるという睡眠サイクルに。

また睡眠以外の副産物もあり、睡眠時間が安定して以降、トイレ事情も劇的に改善された。息子は少々便秘気味で、乳児の頃から「定期的に出す」のが苦手だったのだが、睡眠事情が良化すると同時にお通じ事情も激変し、今では1日2回くらい、同じような時間に排便できるようになった。
ひとつ解決すると「まさか繋がっているなんて」という別の症状まで連鎖的に改善するという、実にラッキーな展開だった。

今のところ、仙骨シャワーの効果は続いており、入眠も排便もすこぶる快調なので、親としてやっと一安心といったところである。


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親の責任

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息子の入眠問題に直面してみて、親が子供に対してしてやるべき事が何か思い知った。労力を惜しまず我が子と向き合ってあげる、それ以外に選択肢などない。

早い話が、親というのはデバッガーなのである。ゲーム業界でもIT業界でもドカタとして名高い超絶ブラックな仕事。それがデバッガー。子育てというのは、子供に対してそれをやり続ける事なんだなという結論に至った。

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