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連日大入り大盛況中の浅草ロック座でとんでもないお宝を発見したでござる
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6月いっぱいまで浅草ロック座が神公演中!
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日本に現存するストリップ劇場としては最大にして最古の浅草ロック座が、連日大入り袋が飛び交う大盛況にある。
浅草では有名AV女優がストリップデビューすることも多く、そういう時はAVファンらが押しかけて大行列になっていたりもするのだが、6月の公演はそういった "客寄せ" はひとりもおらず、メンバー構成的にはどちらかというと「実力者揃いではあるけど地味」といった印象がある。
それなのに平日の変な時間に行っても8割方座席が埋まってしまっているという、一昔前に戻ったかのような客入りなのだ。
つい先日アップされたゆきなちゃんへのインタビュー記事でも触れているのだが、今回の浅草公演はロック座史上初の試みとなっており、それが大ウケしたのであろう。
浅草ロック座の基礎知識
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どんな試みが当たったのか説明する前に、ちょっと特殊な業界のお話なので、まずは浅草ロック座について説明したい。
現在日本にはストリップ劇場が殆ど残っておらず、最盛期には300軒はあったと言われているのに、現存(営業)している劇場はもはや十数か所しかない。
浅草・川崎・横浜・新宿ニューアートのロック座系列、池袋のミカド劇場、渋谷の道頓堀劇場、大阪の東洋ショー、小倉にあるA級小倉、神奈川県の大和ミュージック……など、すぐに挙げ切れるほどしかないのだ。
その中で最も歴史が古くてサイズが大きい、いわばストリップ業界の旗艦店と言えるのが浅草ロック座なのだが、ここには他の劇場にはない唯一の特徴がある。
それは制作部・衣装部などいくつもの専門部署に分かれており、それぞれに専門スタッフがいるということ。制作部が演目を作り、それに合わせて衣装部が衣装や小物を作り、音響・照明の専門家がコンピューター制御された機器をプログラミングする。そして振り付けの先生にシゴかれながら踊り子達が演目を覚え、やっと公演が完成する。
言ってみれば、一般の劇団なんかがやっている事と殆ど同じ事を何十年と続けて来たのが浅草ロック座なのだ。
では他の劇場はどうやっているかというと、場所によって多少の違いこそあれ、基本的には踊り子達のセルフプロデュースで演目が作られる。コンセプトから衣装から楽曲から、原則として踊り子が考え、自前で用意しているようだ。必要であれば振付師がダンスを教えに来てくれるが、大部分は自分で作らねばならない。
こうした大きな違いがあるため、ストリップ業界を「浅草かそれ以外」に分ける事も可能なほど、浅草ロック座というのは特殊な存在なのである。
初のリクエスト公演
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そんな浅草ロック座で行われている初の試みとは『リクエスト公演』である。2012年以降に浅草ロック座で行われた演目の中から「またアレが見たい」という人気投票をして、上位人気の演目だけを集めてひとつの公演としてまとめたのだ。
こう聞くとよくある話に思えるかもしれないが、浅草の公演というのは制作部がテーマを決め、そのテーマに沿った演目を作って行くのがお約束だ。
元ネタは民族舞踊・歌劇・映画・アニメ・文学作品……と多岐に渡るが、まずトータルのコンセプトありき。音楽でいうところのコンセプトアルバムだけを作り続けて来たような劇場なのである。
それを、今回は演目単位で抜き出して再構築する訳で、言ってみれば浅草ロック座が伝統のあるこれまでの手法を捨てたという、業界的には割と大きなエポックメイキングなのである。
また、浅草以外の劇場でこれをやろうとしてもちょっと難しい。というのも、これをやるには演目の内容が細かく記録として残っていなければならない訳で、それが出来るのは部署単位で仕事をしていて、なおかつ作った衣装や小道具を倉庫に保管している浅草くらいのものなのだ。他の劇場だと踊り子が引退したり、ド忘れでもすればそれでお終いである。
この新たな試みが大ウケし、リピーターも初見のお客さんも関係なく、また老いも若きも男女の区別もなく、大入りが続いているのだ。
浅草ロック座の客は、踊り子のファンというだけではなく、演目そのものに思い入れを持っている方も多く、そういった客にとって今回のベスト盤公演は非常に嬉しい内容なのではないだろうか。
なんせ各公演の中で特に印象に残った名作だけをアラカルトでつまめるのだから、面白くない訳がない。
入り口にいきなりお宝が
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私は今回の公演を取材のついでに観せて貰っているのだが、楽日が近づいて来て更に煮込まれて良い仕上がりになっているのではないかと、再度観に行ってみた。
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ロック座は文字通り浅草六区のメイン通りにあり、ドン・キホーテとWINS(場外馬券場)の間に位置している。1947年に同じこの場所で開館しているため、戦争直後の時代からここにあったという事になる。
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入り口を入って階段を登ると、チケット売り場の眼の前にこんなジオラマが置いてある。なんでも博物館で展示されていた物を頂いたそうで、開館間もない1950年代のロック座を再現した物なんだとか。
今回の公演がロック座の歴史の振り返り的な内容なので、倉庫で保管してあった物を引っ張り出して来たそうだ。
ちなみに、浅草ロック座は大きく分けて2期に分かれていて、まず開館直後の1期目。このジオラマで描かれているのは1期の頃である。続いて、70年代に入ると斎藤智恵子氏という元踊り子に経営権が渡り、2期目に入る。これが現在のロック座の始まりだ。
この智恵子ママというのが傑物で、経営権を巡ってヤクザと揉めて寝込みを襲われて日本刀でバッサリ斬られたとか、戦争孤児から愚連隊になったなんて若いヤツらが食えるように面倒見てやってたら、そいつらが出世して各々組を持つようになり、気付けばヤクザ業界でロック座は誰も手を出しちゃいけない聖地になっちゃったとか、勝新太郎やビートたけしのタニマチをしてたとか、北野作品の名作・座頭市の事実上のプロデューサーだとか、そんな話しかない伝説の人物である。
だが、智恵子ママについて話を始めると長くなるので割愛。詳しく知りたい方はロック座のロビーで自伝を売ってるので、買って読んでみるといいよ。あまりにファンタジーだから。
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さて、1950年代のロック座と今のロック座を比較してみた。ちなみにジオラマの左側、現在ドンキが建っている場所には中映ボウルというボーリング場があり、その先にはビートたけしが修行していた事で有名なフランス座というストリップ劇場(現存する東洋館の上階)があった。
なんかもう全てがノスタルジックだが、こういった過去の映像を見てみると、このジオラマがどれだけ精巧なのかが分かる。
実によく出来ているので、このジオラマをもう少し詳しく見てみよう。
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まず、劇場の通りに面した場所にチケット売り場があり、その横に入り口が。そこを入るとまずはこのようにロビーがある。この形状は今とあまり変わっていない。
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場内に入るとステージがあり、その中央部分には花道が伸びていて、その先には円形のステージ(盆)が。この形も今とほぼ同じだ。
この手狭な感じは、浅草というより今の横浜ロック座にそっくりだなあ。
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このジオラマの面白いところはこの裏側。ここは客が入れない部分になるのだが、左下がチケット売り場で、その上が踊り子の楽屋になっている。チケット売り場では番頭さんと思わしき人物が金勘定をしているようで、実に生々しい。昔は取っ払いでやっていたという話も聞くので、1日の公演が終わると踊り子さん達はこの番頭さんの所に行ってギャラを貰っていたのかなと妄想。
ちなみに踊り子の楽屋に入り込んでいるオッサンが誰なのかは謎。この時代の社長さんか誰かだろうか。
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少しアングルを変えてみると、踊り子の楽屋からすぐに舞台に降りられるようになっていて、そこには劇場スタッフと思わしきおっちゃんが。よく見てみると富士山などが描かれた書き割りが置いてあるので、大道具さんなのかもしれない。
また、現在の浅草ロック座も、実は動線自体はさほど変わっていない。お客さんが入れる部分は入り口から劇場内までの限られたスペースで、それ以外の裏側は今もこんな感じである。
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こんな裏の勝手口まで作り込まれているところがステキ。出前のラーメン丼が置いてあるところなど、とにかく細かい。こういうの大好き。
本当は公演を見に来たのに、ジオラマ見物が楽し過ぎる。これ凄いなあ、もしかしたら表からは見えない場所も作り込まれてるのかなあ(例えば投光室とか)。可能ならずっと客が見れる場所に置いておいて欲しいくらい。
と、本当は公演内容について簡単にレビューしようと思っていたのに、ジオラマの出来が良すぎて文字数が。完全にジオラマのレビューになっとるやないけ!
ダメなのよ、世代なのかもしれないけど、こういう昭和の昔を切り取ったジオラマに弱いのよ。
という訳で、予想以上に長くなってしまったので、演目のレビューは後編へつづく。
浅草ロック座2023年6月公演『REBIRTH』
6/11~6/30まで
[店名] 浅草ロック座
[所在地] 東京都台東区浅草2-10-12
[TEL] 03-3844-0693
[営業時間]
一回目公演 : 14:00 - 15:50
二回目公演 : 16:10 - 18:00
三回目公演 : 18:20 - 20:10
四回目公演 : 20:30 - 22:20
[定休日] 大晦日のみ
※ 本文ここまで
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