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3匹目との出会い~子猫とは一味違う成猫の魅力~

前回#4で人間夫婦と猫2匹の暮らしが始まり、自分が里親になったことで保護猫や保護譲渡活動をより身近に感じるようになりました。
ようやく落ち着いてきたところで‥またもや、とある猫さんとの出会いが私を待っていました。ご縁って本当に分からないものですよ。(*ᵕᴗᵕ)

✔️SNSに流れてきたとある黒猫の写真

サビ猫のデイジーを迎えた時に、ボラ団体さんへのトライアル期間中の経過報告代わりに…とTwitterを始めました。今ではすっかり親バカ猫アカウントと化していますが(苦笑)、当初はボラ団体さんとの連絡手段を兼ねていました。
ある日TLをザーッと流し見していると、団体さんが新たに保護した猫の写真が。

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スクロールする指が自然と止まりました。人間を信頼しきった瞳でこちらを見つめてくるその猫は「たんくろう」と書かれていました。
アザラシみたいな見事なコロコロ体型…そう、名前の由来も「しっぽまでも短くて黒い」→たん(短)くろう(黒猫)だそうで、遺棄された場所の餌やりボラさんが名付け親とのこと。

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↑団体のスタッフさんによるたんくろうの紹介文

✔️猫にだって感情がある。そして飼わないという選択も立派な「動物愛護」

もちろんこれは人間が想像して書いたもので‥実際にたんくろうがどんな思いで外暮らしをしていたかは誰にもわかりません。
ですが、今まで人間に飼われてきた外の世界を知らない猫が、いきなり屋外に置いていかれどうやって生きていけばいいのでしょうか。
たんくろうの場合は餌やりボランティアさんがいる場所に遺棄されたのが幸運でした。猫社会には馴染めないながらも、スタッフさんの目の届く限りは、最低限のご飯や寝床があるのです。

たんくろうが直前まで人に飼われていたであろうと想像できるのはその人懐こさや人馴れ度合からも明白。しかもある日突然その場所に現れたからなんです。急に何キロも縄張りを移動してくることは雄の成猫とはいえ、あまり現実的には考えられないことです。

新生活が始まる今の時期‥引っ越しや新生活などの環境の変化に伴い
春先は遺棄される動物が多い季節だそうです。
人間の都合で犠牲になる声なき動物たち。
今まで家猫として人間に飼われてきた猫がいきなり野良猫として生きていくことは無理です。
事故に遭う・飢え・人慣れしている為虐待目的で捕まる等、遅かれ早かれ待っているのは命のお別れです。

今コロナ禍で、在宅時間が長くなり、ペットを安易に迎える人が増えているそうですね。まるで洋服を衝動買いするような感覚でペットを迎えると、手放すことにも罪悪感が芽生えないのでしょうか。収入減で飼うことが困難になった、思っていたよりお世話が大変‥。そういう記事を見かけると、そもそもコロナ禍が収まって生活が元に戻った時、どうするつもりだったのだろう、とやるせない気持ちになります。

動物が好きだからこそ「飼わない」選択もできる人が真に命と向き合える人。

例えば、多忙で充分に構ってあげられず寂しい思いをさせるから…。
もし病気になった時に治療できる経済的余裕が今はないから…。
最期まで看取る覚悟や決心がどうしてもつかないから…。
だから「今は」飼わないという選択も立派な動物愛護です。

命をモノ扱いしてしないでほしい、と切に願います。

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動物の遺棄は立派な犯罪です。どうか‥簡単に命を捨てる選択をしないでください。保護団体の多くは終生飼養を里親への最低条件としています。


✔️たんくろう、さくらねこに🌸

たんくろうは当時団体さんがキャパオーバーだったため、即保護ではなく、耳カット後リリースされ一旦見守り対象となりました。
そして遺棄された場所で猫社会には馴染めずとも、その人懐こさで餌やりボランティアさんや団体スタッフさんに可愛がられ、約一年を過ごしました。

人に慣れている外猫は必ずしもいいことばかりではありません。
虐待目的で猫を捕獲していく人間もいるのです。
そういう人間は警戒心の低い人慣れしている猫を狙います。

たんくろうは、名前を呼べば走って寄ってくるほどの人懐こさで、ある意味危険。
ちょうど団体さんの保護キャパシティに余裕が生まれたのを機に、遂にたんくろうは引き上げられ、里親募集をすることに。

そして上記のTwitterでの写真と紹介文に私が出会うことになったのです。

✔️成猫の魅力ってなんだろう

たんくろうは紹介文で推定2〜3歳、と書かれていました。
私は何度も何度も写真を見ては、自問自答の日々。
まず、3匹目を迎える余裕が経済的にも気持ち的にもあるのかどうか。
見た目に惹かれたから、境遇が可哀想だから‥という理由だけで迎えていたらキリがありません。
当時夫婦とも3匹目というのは全く考えていなかったから尚更です。

・オハナとデイジーはまだ1歳未満の仔猫の時期に同居し始めたから、トライアルも上手くいったのかしれない、成猫となると難しいのではないか‥。
・デイジーは結構神経質な性格をしているし大丈夫だろうか…。
・そもそもTwitterの写真に一目惚れって、そんな思いつきみたいな理由で里親希望していいんだろうか…。
・たんくろうにとってもっとベストな里親希望者さんが申し込んでいるかもしれない。

たんくろうの情報は既に夫にも話していました。
本心を隠して「魅惑の3等身でアザラシみたいな体型なんだよー😀
いい里親さんが見つかるといいね」と。
でも私が毎日たんくろうの話をするので、きっと見かねたんでしょうね。
ある日「まず問い合わせてみれば?デイジーと違ってたんくろうは成猫だからさ、向こうも譲渡に条件があるかもしれないよ。1匹飼いしてくれる里親希望かもしれないし」と夫が言い出してくれたんです。

それまで、「たんくろうを迎えたい」という気持ちだけが先走っていて成猫であるという点をあまり考えていませんでした。

実際、譲渡会でも「仔猫はいませんか?」や「出来れば仔猫希望です」という希望者さんは多くいらっしゃいます。
かくいう自分もデイジーを見に行った時、漠然と「オハナと歳が近い方がいいから…そうすると仔猫がいいんだろうか」と素人ながら考えていました。
ただ、時期的に子猫が少ない冬場だったということもあり、当時の譲渡会では生後8ヶ月強のデイジーが最年少として参加していました。

夫に言われて、仔猫と成猫の違いをしっかり考えてみることに。

まず最大のメリットは手がかからないこと。
そして驚いたのが、初めて猫を飼う人にこそ成猫はおすすめということでした。
一概には言えませんが、既に性格が形成されており、健康面でも仔猫に比べて免疫力がある、持病の有無もわかってさえいれば気をつけて見守れる、総じて仔猫より手がかからないので、初めての猫飼いさんには成猫の方がいい、ということのようです。

反対に最大のデメリットは仔猫の時期を見られないことでしょう。
これはもう仕方のないことです。
長い猫生の中のたったの1年じゃないかと思える人もいれば、
その1年限定でしか見られない姿やお世話を自身で体験したい人もいるでしょう。
どちらが正解ということではないんですね。

さて、調べた結果私の気持ちは‥
正直どちらの考えにも「へぇ~(*゜∀ ゜*)」と勉強になる点はあれど、あまり気になりませんでした。結論

私は「たんくろう」を迎えたい。「たんくろう」だから迎えたいんだ。

自分の中で妙にスッキリとした明確な答えが出ました。

たんくろうの仔猫時代が見られなくても‥もしかしたらすごーく手のかかる性格でも‥懐かなくても‥オハナ&デイジーとの相性さえ問題なければ
再び家猫になっていつか「人間と暮らすのも悪くないな」と思ってくれればいいな‥というのが私の願いでした。

再度夫との話し合いを経て(夫はオハナ迎える時に自分の我を通したので、今回は私の好きにしてどうぞ‥という感じでした(^^;)
いざたんくろうに会いに、私達は再び譲渡会へ行くことになったのです。

✔️約2ヶ月ぶりに譲渡会場へ‥

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気心知れている団体さんの譲渡会とはいえ、「2匹目の里親希望」ということでまた少し緊張。もしかしたら他に希望者さんがいるかも知れません。
前回お世話になったスタッフさんへその旨申し出ると、
すんなり「トライアル(お届け)いつからにしますか🙂」とまさかの即決。
我が家は既に里親なので、そこまで厳しい審査はしない、とのこと。
ただ先住猫オハナとデイジーがいるので、トライアル開始してどうしても無理そうならばそれは仕方のないことです、と。
でももし上手く行くのなら、オハナママのおうちで暮らしてほしい、と言って下さり、信頼されていることへの嬉しさと同時に里親としての責任も感じたのでした。

✔️たんくろう、トライアル初日に怪我・肝心の相性は‥?

実はトライアル初日、オハナ&デイジーと対面させた後は2段ケージを置いた一部屋に隔離していたのですが、ケージから出たがりすぎて暴れた拍子に爪が剥がれて血だらけに。
初日からエリザベスカラーをして過ごすという波乱の幕開けでした。

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カラーでポン・デ・リングならぬポン・デ・たんくろう状態に(笑)

肝心の先住2匹との相性は…
オハナはデイジーを迎えた時と同じようにたんくろうにも興味津々。
グイグイ絡みにいきます。

問題はデイジー。ビビりで神経質な性格なので、最初はウーシャーの連続💢
2階のロフトに引きこもってハンストする始末。

で、たんくろうは置物のような動じなさでオハナにもデイジーにも大して興味が無い様子にみえました。
成猫だから性格も出来上がっているし、落ち着いているのは仕方ないことかな、と当初は思っていました。

怪我をしているので、留守中はケージ暮らし・在宅時は室内フリーにして
様子を見ていました。

トライアルを続けるうちに、まずデイジーに変化が現れました。
徐々にたんくろうを受け入れていったのです。
何か大きなきっかけがあった訳ではありません。
日々の暮らしの中で距離が少しずつ縮まっていったのです。
それはきっと猫同士にしかわからない空気感なんでしょう。

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隣同士でくつろぐデイジーとたんくろう


そして、肝心のたんくろうにも変化が‥。
今まで「借りてきた猫」状態で何事にも興味を示さなかったたんくろうが
おもちゃを差し向けると夢中で遊んだり、
おやつを我先に!とねだったりするようになりました。
「ここにいてもいいのかな」と気付き始めたような感じでした。
最初のおとなしさはどこへ?という感じでいい意味で裏切られました。
まさに「猫をかぶっていた」たんくろうなのです(笑)

ですが、たんくろうが居場所を見つけられるような空気を感じ取ったとすれば、
やっぱり先住猫オハナの存在が大きい
と思います。
普段通りに接して自然とデイジーたんくろうがの間を取り持っていたオハナは、自分がそんな大役を担っていたとは思わないでしょうけれど。(苦笑)


✔️どうか「成猫を迎える」という選択肢も持ってほしい

猫のシニア期とは主に7歳くらいからを指し一般的に活動量も落ちてきます。
ですので「成猫」と一口に言っても
仔猫の時期を過ぎた1歳から5歳位までの猫は元気さ・やんちゃ度合など活動量に大して変わりありません。
むしろ年齢よりも性格に拠るところが大きいと感じます。
実際に、たんくろうと暮らしてみて分かったことは、我が家で保護していた仔猫達とも同じテンションで全力で遊ぶし、元気いっぱい走り回っているということ。
1歳のオハナともうすぐ4歳のたんくろう、何ら変わりありません。


日本ではペット=「小さい可愛さ」「幼さ」を求める傾向があります。
実際ペットショップではある程度の月齢になると
生体価格が値下がりしていきますね。
まるで仔猫でないと価値がない、というように‥。
確かに仔猫のかわいらしさは別格で、成猫を迎えると愛くるしい時期を見逃してしまうことに。

しかし、猫の寿命は長ければ20年以上。その内仔猫の期間は、たったの1年程
その1年だけのために「成猫を飼う」という選択肢を捨てることはしないでほしいです。もちろん強制はできません。でも「仔猫の方が懐きやすい」というような固定観念だけで選ぼうとしているのなら…少しだけ成猫のことも視野に入れてみませんか?

懐かないのは成猫だからではなくそういう性格なのかも…または接し方を変えてみたら上手く行くかも知れません。

✔️たんくろうと出会えてよかった

そういう私も漠然とした「仔猫信者」の1人でした。なんとなく仔猫の方がいいのかなぁと思っていました。でもそうやって仔猫だけ探していたらたんくろうとのご縁は繋がらなかったでしょう。ご縁の幅を自分で狭めてしまっていたのかも‥と思います。

たんくろうが再保護されるまで1年間外で暮らしてなかったら…もしこの団体さんから最初にデイジーを迎えていなかったら…
こういうタイミングって本当に不思議ですよね。
今回は実際に成猫と暮らしてみて分かったことを書いてみました。成猫を迎えるってどうなの?と思っている方に、少しでも参考になれば幸いです。


こうして我が家は個性豊かな3匹の猫たちと暮らすことになりました𖤣𖤥𖠿𖤣𖤥
さて、これで猫を迎えるまでの話は一応の完結です。
次回からは遂に?(笑)そんな私たち夫婦が近所のTNR活動に至るお話の始まりです。ではまた次回🎶¨̮

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私のお気に入りの1枚。左からデイジー・たんくろう・オハナ

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✔️最後に少しだけお知らせ✐☡


私がお世話になっている団体さんが現在、多頭飼育崩壊現場からレスキューされた約50匹の猫たちの里親様や預かりボランティアさん探しに取り組んでいます。

昨年末から着手し始め、徐々に里親様や預かりさんが決まっていますが、まだ現場には猫が残っています。
みんな推定3〜5歳、たんくろうと同じく成猫たちです。
劣悪な環境下で暮らしていたにも関わらず、皆穏やかな性格をしています。
もし少しでも気になった方は譲渡会場へ足を運んで頂ければ幸いです。どんな猫がいるのかお問い合わせだけでも構いません。
どうぞ宜しくお願い致します🥺



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