「フリースクール体験」で親子で泣いた話
フリースクールの説明会
12月の初めにフリースクールの説明会があった
来年度からの入会を希望する親子が
説明会と交流会に参加する催しだった
長男にも、フリースクールの中身を知って欲しいと
長男と父母の3人で出掛けたのであった
子どもたちの喧騒の中で・・・
フリースクールの入り口まで来たものの
長男は楽しく駆け回る子どもたちのはしゃぐ声を耳にすると
急に体をこわばらせ
「やっぱり無理!行かない!行かない!」と泣き叫んだ
その様子を見て 小学校に行く行かないを繰り返して日々を思い出し
「私はまた 何をしているんだろう」と胸が締め付けられた
でも今日の説明会に参加しなければ 来年度からの利用ができない・・・
小学校での嫌な思い出を振り切って 私だけでもと説明会に参加した
夫は 長男に
「父さんと母さんは、君にぴったりの場所だと思った。だから少しでも、どんなところか見てほしいと思ったんだ。その後ここに行くか行かないかは 決めなくて良い」と時間を掛けて説得してくれたものの
長男が説明会に参加することはなかった
周囲と比べる
たくさんの親子が参加していた
「わが家のように、こんなにも不登校の子がいるんだ」
と思ったのと、同時に
「他の子は親子で来られているのに…わが子はなんで?」と
周囲と比べては、悲しくなってしまう自分がいた
ママ悪かったねぇ・・・
説明会が終わり 長男の元に戻ると
長男は 泣いたせいか むしろ少しすっきりした顔でこう言った
「ママ~お疲れ様 今日は悪かったねぇ・・・
来たらママが喜ぶと思ったんだけどさ、ごめん!」と
ハニカミ笑顔で私に言った
なんだか 胸がギューッと締め付けられるようだった
「仕方ないね!また来たくなったら来よっか。お腹空いたからマックでも行こうや」と3人でマックに向かった
フリースクールの体験日
説明会の10日後に、フリースクールの体験日があった
説明会に参加できなかったものの
長男の好きな工作だったら・・・
フリースクールの入り口にさえ行けば 気持ちが変わるかしれない・・・
入り口まででも、頑張って連れて行ってみようと
強情な私はまたしても
淡い期待を抱き 長男を連れフリースクールへ向かった
入り口から動けない
10日前の説明会と 状況は変わらなかった
入り口から 一歩も動けず 硬い表情で動けなくなっている長男
そのすぐ側を、別の親子が通り過ぎ 次々と会場に入っていく
「なんでうちの子だけ 無理なんだ・・・」
そうなると 私もやけになって
長男の手を引っ張って、会場へ連れて行こうとする
長男「いやだ!行かない!」
私「大丈夫!すぐ終わるからちょっとだけ!」
長男「だから入り口に入ったら、すぐ帰るって言ったじゃん!」
その通り 長男と入り口まで言ったら すぐ帰ると約束をしていたのだ
止めに入ってくれたスタッフ
頭ではわかっているのに「今日だけだから!ほんの少しだけ!」と言って
長男の手を引っ張る私・・・
この様子を見たらきっと 長男にスタッフが優しく声を掛けてくれて
会場へ誘ってくれるかもしれないと ここでもまた期待をしていた
ところが 私たちの様子を見ていた女性スタッフはそうではなかった
慌てて私たちに駆け寄り 私をまっすぐな目で見つめ こう言った
「お母さん!無理はさせないであげてください!
今無理をさせたら、この子にとって余計この場所が嫌な場所になりますよ。
今日は帰ってあげた方が良いかも。
この子には、まだ家でゆっくりする時間が必要なんじゃないかな?」
掛けられた言葉は、真っすぐで、正しかった
「子ども本位」ではなく 私の期待に添うように
子どもを引っ張ってきた
自分が恥ずかしくて 情けなくて 長男に申し訳なくて
涙が滝のように流れてきた
会場を後にする私たちに
男性スタッフが ニコニコしながら声を掛けてくれた
「君はどうしたい?帰りたい?帰りたかったら帰って大丈夫。今日はよくここまで来たね~!」
この場所では
長男のしていることは 当たり前の行動で
それをおざなりにして 親の想いでだけで 引っ張ってきた私
私は穴があったら入りたい気持ちと 行き場のない気持ちで
入り口で立ち尽くしていた
子ども本位であるという事
ここは今までの小学校とは違う
今までの小学校だったら
先生が引きずってでも 連れて行ってくれた
親と先生の連係プレーで
うまいこと 長男を教室に連れて行ったことも何度かあった
「でもここはそうじゃない 親や先生の大人本位ではなく
あくまでも 子ども本位の場所なのだ・・・」
子どもの味方
体験授業に参加することを諦め 車へ戻ると 私も長男も泣いていた
私は泣きながら 長男へ話をした
私「無理やり連れてきてごめんね。この間も今日も、あなたにこの場所を知って欲しいと思って連れてきたけど、あなたは行きたくなかったんだよね。ごめん。」
長男「・・・(頷く)」
私「ママが泣いているのはね、あなたが悪いんじゃない。
ママが無理やり連れて行ってるのを見て、スタッフの人にそれは違うよ
子どもの気持ちを考えてあげて。とママは叱られた。
それが、情けなくて泣いているだけ。親はたまに子どもに勝手に期待しては、勝手にがっかりする。間違ったことをするし、間違ったことを言う。
だけど、あそこのスタッフは、あなたを信じてくれて、待ってくれて
時に親よりも、子どもの味方になってくれるかもしれないね。」
そこまで言うと、お互いに涙も引っ込んで、顔を見合わせて笑った
親子で お互いの気持ちを 見て見ぬふりして
駆け引きをしている時は お互いに苦しいけど
お互いの気持ちを さらけ出してぶつかったら
なんか清々しくなる そんな気持ちだった
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