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2019年:読んで残念だった3作品【100冊から厳選】

はじめに

2019年も小説100冊読みました。その中から、読んで残念だった小説3作品を厳選。この3作品は、私の好きな作家さんたちです。作家さんたちが物語を書く時間と努力を念頭に置き、尊敬の気持ちを持った上で、いち読者として素直な感想を書きました。それを踏まえて、このnoteを読んで下さると幸いです。


1.『晴れた日は謎を追って』

有名作家さんが集まり、話を繋げていくオムニバス形式の小説。一話ずつ違う作家さんが書いているのに、うまく物語が繋がっていきます。さらに、それぞれの作家さんの個性が文章に現れていました。そこに感嘆。

オムニバス小説を読んだのは初めてだからなのか、一話ごとに変わる文章の雰囲気、クセの強い作家さんの個性に順応できませんでした。

名前を見たことない作家さんが、どんなふうに話を書くのか知りたくて何とか読み進めましたが、この作品は好きになれませんでした。続編もあるそうですが、個人的には本作だけで充分。


2.『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ

2019年の本屋大賞で1位を受賞した作品。まっすぐ、素直に育つ優子のひたむきさ、彼女を取り囲む優しい大人たちとの「家族」の物語。現実では虐待などの悲しいニュースが多いから、この作品に希望をもらえるような気がしました。

世の中には、優子みたいな家族のカタチを持つ子もいて、幸せに暮らしている人もたくさんいるんだと思います。「血縁関係」だけが家族じゃないことも伝わってきました。瀬尾まいこさんの作品は、優しくて、温かくて、包容力があるから安らぎを得ます。

上のことを踏まえて残念だった作品に選んだのは、世界が優しすぎて物語に入り込めなかったからです。この本が好きな方…ごめんなさい。

私自身がバッタモン家族を持ち、継母がいて腹違いの兄弟もいます。幼い頃に親が何回も変わる、実親と離れる、新しい環境に慣れるには、それなりのストレスや我慢を強いられるものです。

もう少し優子の心の葛藤を描いてほしかったと、個人的に思います。結果として、優子が良い子に成長したのは間違いないのですが、幼いのにドライ過ぎる印象を受けました。「家族や環境がこんなに変わって、淡々と受け容れられるものだろうか?」と疑問を抱き、物語に入り込めなかったのです。

作中に現れる森宮さんは、充分すぎるほど良い父親になれているのに「父親だから」という言葉を何度も使うため、「家族」が安っぽく聞こえるのです。血縁関係のない人たちもこんなに素晴らしい家族になれるというのは伝わりますが、少し押しが強く、心の距離を置いてしまいました。


3.『いけない』 道尾秀介

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『晴れた日は謎を追って』で、道尾さんが書いたお話の続き。帯の言葉にワクワクして読んだのですが…読後は拍子抜け。誇大広告のせいで、期待値を上げてしまったのが原因でした。

広告の売り文句ほどの衝撃やどんでん返しはなくて、思っていたのと違いました。本を売るために広告を大々的にするのは理解できるのですが、その売り文句と本の内容の差が開いてしまったのが残念です。

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道尾さんの作品は『ラットマン』を読んでから好きになりました。たくさんの本が売れてほしいと応援もしています。だけど、『いけない』の後に発売された作品も気にはなっていますが、「誇大広告だったらどうしよう」と不安になり読めていません。

彼ほど人気が出ていたら、強い売り言葉を使わなくとも読者はついてくるのにな。彼のこれからの作品は、購入までに考える時間が必要となりそうです。


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以上が、2019年に読んで残念だった3作品です。100冊読了した中から、残念な作品が少なくて良かったです。だいたいは読み応えのある作品ばかりだったので、読書を楽しめました。残念な作品でも、物語・構成・文章表現などで、最後まで読み進めさせる技術を持つ作家さんはやっぱりすごいなと思います。

来年は、110冊読了を目指します。あなたは、今年読んでイマイチな作品やオススメしたい作品はありますか?


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