たった3文字に_一喜一憂する

『ごめん。』 加藤元

「あなたは一日に何度、その言葉を口にしますか?」表紙の帯にあるこの言葉。様々なシーンのごめんで登場人物たちが少しずつ繋がっていく連作短篇集。お客さんと店員、親子、夫婦やカップルなどの人間関係がこじれて、色んな「ごめん」を見せてくれる。あなたがよく口にするのは、どの「ごめん」?

😄この本の良かったところ😄

・色んな種類の「ごめん」を言葉にしてくれた

何気なく「ごめん」をよく使っているけど、その一言には色んな意味が含められている。「やばい」や「かわいい」と同じ。言葉にできない思いを「ごめん」だけで片付けてしまうと、相手と自分が捉えている物の意味が異なる。それはすれ違いや誤解の原因にもなってしまう。

この小説ではごめんの中に込められた、色んな気持ちを言葉にしてくれたので、「そうそう!こんな気持ちやねん!」と共感。謝るべきところで、かすかに漏らす「ごめん」の一言。その重みは、どんなごめんよりも心に響く。

・接客あるあるに共感

短編11作の中でも「ナニサマ」はスカッとする。客は神様、やから何をやってもいいと思って、立場の弱い人を責め立てる人。その人に対してとった店長の行動には拍手を送りたくなった。接客あるあるで、私が店長の立場だとしてもそうすると思う。

店員に偉そうにする人は、普段虐げられて鬱憤が溜まっているのかもしれない。だから、どこかで自分を強く見せないと負け犬のように感じてしまうんやろうけど、その行為がさらに自分を惨めにすることを知ってほしい。って、接客業の時に思っていたな〜。

📚この本から私が学んだこと📚

罪悪感の「ごめん」、口先だけの「ごめん」、ごまかしの「ごめん」、口癖の「ごめん」など色んな種類があった。私はどの「ごめん」をよく使うだろうか?きっと口癖と罪悪感から、よく謝っている気がする。この本にも書いていて、私の旦那さんも言っていることがあった。

「ごめんなさい、は、もっと大事な、重要なことのために取っておかなくちゃいけないんじゃないか」。

ごめんなさいって、本来は自分が悪いことをした時に使うもの。何に対しても「ごめん」を使うのは相手にも悪い気持ちをさせると、旦那さんは言う。「ありがとう」と「ごめん」を見分けて使えるようになろう…って書いたそばから、旦那さんが手伝ってくれたことに謝ってしまった!

それから、何か誰かに悪いことをして、許してもらえることを前提に謝ってもいけない。世の中には、謝っても許せない事柄だってたくさんあるから。

「謝罪って、一方的に押し付けて済むものじゃない」
「謝罪を、ごめんなさいを受け入れることは、もっと難しい」

謝ったあと、受け入れるかどうかは相手次第なのも覚えておこう。「ごめん」と「ありがとう」は、言っとけばいい、で使っていはいけない言葉。気持ちを込めて言うからこそ、誰かに伝わるものなんだ。

大事な言葉は、大事な時に素直に言えないと、効果がない。


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