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空のどこかで年を越す

ニューヨークへ移住して7年が経つ。
元旦を日本で過ごすのは、初めてのことだ。

片道約13時間。航空券はただでさえ高い。なのに、最も高額な時期に帰省を決めたのは、他でもない、無性に「初詣」をしたくなったからだ。

思えば、移住するまでの28年間、私は初詣を欠かしたことがなかった。特別それを重んじていた訳ではなかったと思う。だが、7年も絶っていたせいか、ある日突然、禁断症状となって現れた。それも12月も半ばに差し掛かった頃に。

さすがに直行便には手が出せず、メキシコ経由で20時間かけて帰省することに。大晦日にメキシコから冬の日本へ旅立つ人は希なのか、機内は空いていた。おかげで、両隣の席を使って横になれる幸運に恵まれた。

着陸のサインで目をさますと、そこは2018年の世界。どうやら私は日付変更線を越えて、空の上で新年を迎えていたようだ。機窓から拝む新年のご来光。その眩しさに「特別な一年」の予感を覚えた。

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