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意思決定はいつも偶然に? ーー 「ゴミ箱モデル」とは

組織の意思決定というと、合理的に問題を分析し、最適な解を選ぶというイメージがありませんか。

しかし、現実の組織では、そんなにきれいに意思決定ができるでしょうか?


意思決定はいつも偶然の連続


組織の目標や方針が不明確だったり、問題や解が複雑だったり、参加者の関心や能力がばらばらだったりすると、意思決定は混乱や無秩序に陥りがちです。そんな状況を表現するモデルが、ゴミ箱モデルです。

ゴミ箱モデルとは、組織の意思決定を説明するモデルの一つで、コーエン、マーチ、オルセンの3人の研究者によって提唱されました。このモデルでは、組織の意思決定は、問題、解、参加者、選択機会の4つの要素が偶然に結びついて行われると考えます。

問題と解は別々に存在し、選択機会というゴミ箱に投げ込まれます。選択機会は組織のルールや期待によって発生し、参加者は自分の時間やエネルギーに応じて選択機会に参加します。そして、選択機会に投げ込まれた問題と解が偶然に結びついて意思決定が行われます。


ゴミ箱モデルの肝は何なのか?


さて、ここまでゴミ箱モデルを概観してきました。その特徴は、合理的でも論理的でもなく、偶発的に答えが見つかるという考え方です。

では、このゴミ箱モデルは実際、どう活用できるのでしょうか。ひとつは、組織の目標や因果関係が不明確な「あいまい性」の下での意思決定を捉えることができるでしょう。例えば、新しいプロジェクトの立ち上げや、組織の変革など、明確な問題や解がなく、多くの人が関わるような場面では、ゴミ箱モデルが適用できるかもしれません。

ゴミ箱モデルは、現実の組織の意思決定における不確実性や無秩序さを表現することができますが、それは必ずしも悪いことではありません。

ゴミ箱モデルは、問題や解が多様に発生し、新しいアイデアや可能性が生まれるという創造性や柔軟性も示唆しています。また、参加者が自由に選択機会に参加できるということは、組織の民主性や参加意識も高めるということです。

ゴミ箱モデルは、組織の意思決定を否定するのではなく、その現実を受け入れて、より良い意思決定を目指すためのヒントを与えてくれるのです。

意思決定はいつも偶然にというのは、少し大げさかもしれませんが、ゴミ箱モデルは、組織の意思決定における偶然性や不確実性を認めることで、組織の創造性や柔軟性、民主性を高めることができるというメッセージを伝えてくれます。組織の意思決定に関わる人は、ゴミ箱モデルを参考にして、自分の組織の状況や問題に合った意思決定の方法を探してみるといいかもしれません。

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