![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16608484/rectangle_large_type_2_cb6672d31e88b4f8af68de2ee3070cd4.jpg?width=1200)
ついていけるかしら。
久方ぶりにシブヤへ出た。あっという間に人酔いした。顔をあげたらクラフトビールのお店があって、喉も渇いたし、おなかも空いたし、ひと休みしたくて入ってみたのだ。
ひとりで飲み屋さんに入ることを、躊躇する季節は遠い昔に過ぎた。美味しいものが食べたいときに、一緒に行ってくれる人を探す時間がもう、もったいない。仮に見つかったとして、じゃあいつにするう? いつでもいいよぉー? じゃあどこにするう? どこでもいいよぉー??的なやりとりがもう吐き気がするほど嫌いだ。ひとりを躊躇していたら、私は餓死する。
冬の日暮れなんてまだ5時前である。店内に先客は4名。ひとりです、と人差し指を立てると、お姉さんがにっこりと席に誘導してくれる。
「このお店は初めてですか?」と問われる。はいそうですよと答えると、お姉さんがお店のシステムを説明してくれた。
まず、テーブル上のQRコードを読み取る。
……ん?と思いながら、言われたとおりにしてみると、お店のメニューがだだだっと並んでるサイトに行き着いた。
「お好きなメニューを選んで、カートに入れてください」
ああ、かろうじてわかるぞ、Amazonとおなじシステムだ。とりあえずの一杯を、カートに入れてみる。
「お選びになったら、ご注文ボタンを押していただければ」
押してみる。すると驚いたことに、私のスマホとは何もつながってないはずの厨房のコンピュータが「ぴろーん♪」と音を立てる。
「あとはお食事の最後に、お会計ボタンを押していただければ、店員がお会計にまいります」
つまり、だ。わいわいにぎやかな店内で「すみませーん!!」って声を張り上げなくていい。忙しそうな店員さんの背中をにらみながら、いつ言おうか、いつ言おうかと注文を躊躇しなくていい。仕組みはよくわからないが、私のスマホから何らかの指令が飛び、店員さんは、ただ、ドリンクや料理を運んでくるのみなんである。
画期的!!!
何度かの手違いを経て、でも店員さんは知らん顔しててくれて、おばちゃんドキドキしながら注文しまして、ほんとに料理がきたときはもう両手あげちゃって、大いに近未来を満喫したのでした。
……でもこれくらいがギリだってことは重々わかっている。ペイペイとか言われちゃったらもうアウトだからね。←キャッシュレスの波に乗れてない人
あ、でも、割り勘のときはどうするんだろうな……?(2019/12/05)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?