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エッセイのご紹介 397 逢えなくなった友達(小黒恵子著)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今までは、毎日、詩をご紹介してきましたが、今回は、神奈川新聞のリレーエッセイに掲載されたエッセイをご紹介いたします。

 記念館には、自筆の原稿が残っており、ここでは、原稿の方をご紹介します。実際の記事は、校正を重ね、少し異なっています。
 詩人の書いたエッセイ、独特の言葉選び等を感じていただけると幸いです。

エッセイ タイトル一覧(小黒恵子自筆の原稿より)

「逢えなくなった友達」
                     詩人・童謡作家 小黒恵子

 今夏は全くの雨不足で、猛暑と日照りに庭の植木が疲れをみせている。然し青々と伸びている雑草のたくましさには驚かされる。
 夏は朝と夕方に、草とりや植木の水やりをしている。
 そんな時、数年前頃までは、思わぬところで青大将に出逢って驚かされたものだ。
 時には欅(けやき)の枝に青大将がぶら下がって、道行く人々を仰天させていた。五葉松や青桐にも、よくみかけたものだ。
 ある時、青大将が九官鳥の篭を幾廻りにも巻いていた。私は水圧をいっぱいにして、ホースで大将めがけて放水した。
 そのうえ二匹の犬が吠え立てて大騒ぎしたので、大将は見切りをつけて、悠然と立去って行った。
 また、磨かれた廊下に、大将のこども泳ぎの練習でもするような恰好して滑っていた。
 パリと言う名の気の強い牝(メス)猫が、青大将と格闘して息の根を止めた時、勝利の証(アカシ)に頭部を食いちぎり、胴体を引きずって、家の中に意気揚々と運んできた事など、遠い夏の日の思い出となった。
 こうして枚挙にいとまが無い程、永い歳月大将は、私の身近に共存した。
 ところが近年、殆ど姿をみせなくなって了った。
 昨日植木の水やりをしていた時、大きなシマヘビに出逢った。その時「逢えた!」と言う安堵感を覚えた。
 然し、大将にはこの数年逢っていない。なじみの欅や植木のみどりが、美しくそよいているのに。

1990(平成2)年9月6日? 神奈川新聞リレーエッセー掲載の原稿

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回も、小黒恵子の神奈川新聞のリレーエッセイ原稿をご紹介します。(S)

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