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赦されぬ罪

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ー 1 ー

 俺は寝不足で赤くなった目を擦って、油断すると漏れそうになる欠伸を噛み殺した。こんなことで依頼主の機嫌を損ねてしまっては、依頼料に響くかもしれない、そう考えたからだった。
「……ここには嘘はひとつも混じっていないんですね?」
 今日七度目の質問を、依頼主はまた口にした。そんなに俺を信用できないなら、自分で調べろよ――俺は内心でそう悪態をつきつつ、それでも満面に笑顔の仮面を隙間なくぴったりと貼り付け

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ー 2 ー

 俺は小さな喫茶店のテーブル席に、一葉(かずは)と向かい合って座っていた。
 一葉は運ばれてきたチョコサンデーを美味そうに頬張っている。たまに思い出したように紅茶に手を伸ばす。俺は一葉の様子を、ただぼんやりと見ていた。何をどう切り出そうか、そんなことばかり考えていた。
「ああ。美味しかった」
 一葉がかちゃりとスプーンを置いたのをきっかけに、俺は口を開いた。
「君に聞きたいことがあるんだけど」
 

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ー 3 ー

 俺はようやく我に返って、ラークを灰皿に押し付けて消した。コーヒーのお代わりを持って来て、一葉(かずは)を真っ直ぐに見た。一葉が顔を上げる。
「どういう意味だ。説明してくれるか?」
 一葉が僅かに頷いた。
「中学三年の時の誕生日にね、アタシと二葉(ふたば)はファミレスで二人きりの誕生会をしていたの。アタシにはもちろん自由に使えるお小遣いなんてなかったら、二葉がおごってくれたんだけど。二人でふざけあ

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ー 4 ー

「……わたしね、お義父さんにもお母さんにも愛されていないのよ」
 二葉(ふたば)はそう話を切り出した。
「お母さんは再婚するまで、いつも必死に働いていたわ。そりゃそうよね、女手ひとつで子供を育てるなんて、大変なことだもの。わたし、お母さんにあんまり甘えた記憶がないの。お母さんはいつもいつも、怖い顔をしていた。甘えちゃいけないんだ、って思いながら生きていたの」
 二葉はゆっくりと、過去を遡るような目

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