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渚のライブハウスにて

前置「小説のある音楽」

その昔、ロックンロールって呼ばれてたっけ。不二家のケーキ屋さんのビルの一角を借りていた頃に「ロックンロール!」って言いながら暖簾をくぐって焼きそばを買ってくれたシューさん。

そんなシューさんが世話になっているLIVE HOUSEに寄らせてもらった時にイメージが沸いて作った歌「渚のライブハウスにて」
こいつをAIに読み込ませて、フィクションとノンフィクションの織り交ざった小説を書いてもらい、そこにちょっと僕が手を加えて作ってみました。
小説のある音楽」とでも言いましょうか。

今までも色々試していたんだけど、中々まとまらず・・・なんとなくそれっぽく仕上がったので、発表します。

小説なんてほとんど読まないし、まして書いたこともないので、怪しい所は許してやってください。そんなAIと僕の可能性を探る作品です。小説の終わりにユーチューブにアップロードした音楽があります。
お時間のある方は、是非是非、お付き合い下さい。

ではでは、始まり始まり~!

終焉「パンデミック」

渚は音楽が好きで、中学の時の仲間とバンドを組んでいた。
高校に入学した頃、地元文化ホールに来た
KazmanZのLIVEで僕らは知り合った。
その時、同じ高校だと知った。
薔薇ちゃんは美術部で、絵が上手だった。
二人は高校時代の仲間だった。

そんな渚から、メールが来た。
「久しぶりだな。あの頃よく行った、
渚のライブハウスへ来てくれないか?」

高校生活も終わろうとしていた頃、
パンデミックの恐怖が世界を襲った。
LIVEHOUSEはクラスターの原因の一つとされ、
次々と活動を抑制された。
渚たちのバンド活動も休止した。
僕といえば病弱な母のいる家に帰ることを、
世間が許さなかった。ってそんなことを言い訳にしながら、
父と妹に家は任せていつの間にやら3年も経っていた。

社会人になって、仕事に追われる毎日だったってのは
本当でパンデミックが終わった事すら、気付いていなかったんだな。

そうだ!心置きなくみんなに会えるんだ!
「了解。必ず行くよ!」と書いて返信した。

1か月ほどが経った土曜日、僕は渚のライブハウスに向かった。
アクアラインを渡り、海岸線を走る頃には、車内は夕焼けに包まれた。
そんな光となつかしい潮の香りに、僕は青春時代を思い出していた。

追憶「告白」

あれは高1の文化祭の日だった。
僕は、体育館の脇で渚たちとステージの出番を待っていた。
突然、渚が渡り廊下に飛び出た。
その姿を追う僕の目に映ったのは
ピンク色した隣のクラスの薔薇ちゃんだった。

「なぁ、今度君の絵を見せてくれよ」渚は言った。
薔薇ちゃんは無言で立ち去ろうとした。
「だからさぁ、俺たちのバンドを見て行ってくれよ!」
薔薇ちゃんは無言で立ち去ろうとした。
仕方ないので、僕が薔薇ちゃんに説明をした。
「渚はバカだからこんな表現しかできないんだ・・・」
「はぁ?」とした顔をした後「クスッ」と薔薇ちゃんが笑った。
かわいい笑顔だなぁ・・・って思いながら
「渚は君のことが好きらしいよ」って言ったんだ。
薔薇ちゃんは無言で立ち去った。
気付けば、渚たちは、ステージに立っていた。

文化祭が終わって一週間が過ぎた頃、渚が突然言った。
「薔薇ちゃんの絵を見に行こう!」
美術室の廊下側の窓からピンクの髪が見えた。
彼女は絵に夢中で、僕らに気づかなかった。
彼女いない歴15年の僕は、ちょっとドキドキしてた・・・
「すごい絵だね」と渚が声をかけた。
「え?」と驚いて振り返った。
「この絵、君が描いたの?」と僕が尋ねた。
「うん」と頷いた。
「どういう意味があるの?」渚が言った。
「意味?」と首を傾げた。
「そうだよ。この絵には何かメッセージがあるんじゃないの?」
「メッセージ?ないよ」とあの時の笑顔で笑った。
「ただ、好きなものを描いただけ」
「好きなもの?」
「うん。花と空と海と太陽と月と星と・・・」
「それだけ?」と渚は不思議そうに言った。
「それだけ」と頷いた。
「君は何が好き?」薔薇ちゃんは言った。
「俺?俺は音楽が好きだよ」と渚は答えた。
「あぁ文化祭の日。歌っていたもんね」
「見てくれたの?」と渚は嬉しそうに言った。
「Kazmanzのカバーをやるって聞いて慌てて行ったの」
渚のバンドは「愚かな天使達」と名乗っていた。
「すごく上手だったね」と薔薇ちゃんは褒めてたけど、僕は知っていた。
「ありがとう」と渚は照れくさそうに言った。「君も絵が上手だよ」
「ありがとう」と薔薇ちゃんも照れくさそうに言った。
彼女の絵は本当に上手だった。

そして、趣味や好きなものや夢や将来について、三人でしばらく話をした。
美術室の窓の隙間で、冬の香りが秋の風に混じる夕暮れだった。
カーテンが静かに揺れていた。

夕凪「到着」

山と海の景色がバックミラーに流れゆく。
想い出達がフロントガラスにオーバーラップしたその光景は、
いつしかライブハウスの看板に変わっていた。
夕凪の穏やかな海。沈みかけの太陽に「帰って来たな」って思った。

沢山の人がいた。仲間を探したけど、見当たらない。わからない?
僕は入り口でチケットを渡された。「ありがとう」と言って受け取った。
チケットには「渚のライブハウスにて」と書いてあった。
それがバンド名なのか、曲名なのか、わからなかった。

重厚なドアを開け入ると、爆音の音楽と煙草の煙に
ミラーボールが七色に揺れていた。
ステージにはまだ誰もいない。
ベースの海を見つけた。
「久しぶりだな!」僕が言うと、少し間をおいて
「シュー」って僕の名前を思い出すように呼んだ。
そうだよな。僕はあれからここには一度も戻ってないからなって思った。
海は僕をぎゅって抱きしめて
「ごめん!準備があるから!後でゆっくり話そうぜ」って楽屋に消えた。

僕は壁際に立って、周りを見回した。
すると、彼女を見つけた。相変わらずピンクの髪だった。
声を掛けようと思ったけど、思い出が溢れてきて、一度外に出た。
そして、煙草に火をつけた。

追憶「KISS」

僕は彼女いない歴16年になっていた。
渚と薔薇はいつの間にやら、付き合っていた。
そんな二人がキスをしているのを、二度見たことがある。
僕の部屋は離れだった。
母屋に麦茶を取りに行った高2の夏、風に揺れたカーテンと
ピンク色の髪のその隙間に、二人の唇が見えた・・・
僕は知らんぷりでドアを開けた。

渚は薔薇ちゃんにギターを教えた。
薔薇ちゃんは渚に絵を教えた。
渚は薔薇ちゃんに歌を作った。
薔薇ちゃんは渚に絵を描いた。
そんな中で一枚だけ・・・
僕が真ん中に描かれた、三人の似顔絵があった。

渚たちのステージは盛り上がった。3度目の文化祭が終わった。
薔薇ちゃんの最後のリクエストは「Kazmanzのファイティングポーズ」
薔薇ちゃんの為に作った曲じゃなかったのには、腹を抱えて笑った。

海のそばにあるライブハウス。そこはバンド仲間の溜まり場だった。
マスターの口癖は「なんでも世界一を目指せ!
そんな気持ちがなきゃ、日本一にも成れやしねー!」だった。
じゃあマスターなんであんたはここでくすぶっているのさ?
って言えなかった・・・

そんなライブハウスでの卒業パーティー
「愚かな天使達」最後のステージが終わった。
その瞬間、薔薇ちゃんはステージに上がり、渚にキスをした。
渚の左の眉が少し下がった事を僕は見逃さなかった。
それは渚が涙を堪えている時の癖だった。

僕は薔薇ちゃんの事が好きだってあの時確信した。
それから間もなくして、僕の部屋の荷物も、想い出と一緒に整理された。
春が来た。僕は東京へ旅立った。

再会「渚のライブハウスにて」

チケットを見せて、店の中に戻って、薔薇を見た。
薔薇はソファーに座っていて、目を閉じていた。
隣には車椅子が置いてあった。
痩せたなって思った。顔色も悪かった。

僕は彼女のところへ行って事情を聞こうとしたその時
ステージ上でマイク「キーンっ」とハウッった。
「みんなー!お待ちどうさま!」という声がした。渚だった。

渚はここのオーナーになったという。
マスターが外国へ行った事を伝えた。
あの口癖通りに、世界一を求めて・・・

その時僕は、彼女いない歴19年で終わった事を、後で伝えようと思った。

ピンクの薔薇が背中にプリントされたシャツとジーンズ。
「今夜は特別な夜なんだ。俺の大切な人に捧げるライブだ。
パンデミックは終わった!さぁパーティーだ!」渚は観客を煽った。

そして、メンバーを紹介
「ベースは海!ドラムは波!キーボードは砂!ギターは俺、渚だ!」
高校の時のお馴染みのメンバーだったけど・・・
「そして、ボーカルは・・・」と言って、薔薇の方を向いた。
「彼女だよ。薔薇!」と言って、薔薇の手を取って立ち上がらせた。
「薔薇ちゃんが歌うのかぁ!!」僕の心は叫んでいた。
「みんな、久しぶり!薔薇です。」
なんて弱々しい声なんだ・・・歌えるのか?僕は思った。
「世界が平静を取り戻したら、みんなで歌いたいねって言ってたの。」
「世界に笑顔が溢れている!みんなに会えて、本当に良かった!」

僕を見つけた薔薇ちゃんは笑った。あの時の笑顔で・・・
その後ろには3人の似顔絵が飾ってあった。

照明が落ちた。ステージの音が消えた。僕のそばに近づいてくる人がいた。薔薇ちゃんのお母さんだった。彼女は僕の耳元で小声で言った。
「誰にも言うなって言われているけど・・・」
その瞬間、薔薇ちゃんがシャウトした!
歪んだギターが爆音で唸りLIVEが始まった。
みんな、踊り叫び腕を上げた!
パンデミックが終わった喜びが心を更に震わした。

僕は呆然として見ていた。
彼女がボーカルだったなんて知らなかった。
彼女が歌う姿を見たことがなかった。
彼女が最後のライブだったなんて知らなかった。

そして、知った。薔薇が余命宣告を受けていたことを・・・

薔薇の声は優しくて切なくて美しかった。
薔薇の歌詞は愛と別れと希望に満ちていた。
薔薇の表情は幸せそうで悲しそうで強かった。
薔薇の姿は薄くて小さくて輝いていた。

僕は涙がこぼれるのを感じた。
僕は心が痛むのを感じた。
僕は何もできないのを感じた。
薔薇は歌い続けた。

Kazmanzのファイティングポーズを歌い終えた薔薇が言った。
「最後の曲は渚が歌います。これは私からのアンコール」
渚はギターをアコギに持ち替えた。
メンバーたちは楽器を置いた。
会場の呼吸が一瞬止まり、静寂に包まれた。

渚は言った。
「渚のライブハウスにて・・・薔薇の為に書きました。」

Gのコードがそっと響いた。渚の声はあの日のままだった。
その隣に寄り添って、薔薇ちゃんは微笑んでいた。
渚の左の眉が少し下がってた。
けど、止めどなく涙は溢れた。

それが彼らの物語だった。

それは、渚と薔薇の物語だった。

僕は思った。

「命にもアンコールがあれば・・・」

煙草がくゆれる ミラーボール  七色に儚く 消えてゆく
やさぐれた言葉 さりげなく 優しく遠い 波の音
狂おしい程揺れている ずぶ濡れのマイクスタンド
薔薇の香りに包まれて 傷を癒すエンジェル
夢から覚めたら 抱きしめ合おう

夕暮れドライブ  海岸線 お前はそっと 歌う
渚のメロディー 懐かしく 風が頬を 流れた
「このエンジンが止まる時 さようならなのね・・・」
悲しみの果て 向こう側でお前は笑った
今夜は俺の腕に  眠ればいいさ

狂おしい程揺れている ずぶ濡れのマイクスタンド
薔薇の香りに包まれて 傷を癒すエンジェル
夢から覚めたら 抱きしめ合おう

激しいビートかき鳴らせ 終わらないステージ
月に照らされて最後の花びら砕けて散っても
俺は歌うのさ 命の限り
そして永遠と なるのだろう
二人の愛が・・・

この度も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。










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