見出し画像

人の悲しみで飯を食う

世界中にコロナが蔓延し、旅行や集いなどの娯楽が取り上げられ、人々が代わりになる物を求め漁るという面白い現象が起きた。

去年、自転車、スタンドアップパドルボード、バイクラック、キャンプ道具、ガーデニング用品などがバンクーバーのショップから消えた。人の生活には娯楽が必要なのだ。

そして、人々は癒しを求め、ペットを探し始めた。今では街中に子犬が溢れている。人は人に自由に会えないとストレスを抱えるのだ。

プチロックダウンが続く中、猫好きの娘に懇願され、ついに我が家も子猫を探し始めた。子犬が全く見つからないと聞いてはいたが、猫も同様、子猫探しは困難を極めている。

あちらこちらに申し込みを送っていた矢先、子猫をきちんとケアしてくれる人を探しているというメッセージが届いた。さらに、子供がいて子猫たちも慣れているという。電話番号を交換してのやり取りも丁寧で、詳細を含んでいる。

詐欺が蔓延しているのはあちらこちらら警告されていた。でも、いちいち人を疑って生きていくのはしんどい。騙されるときは騙されると、注射やテスト代金$75x2をe-transferで送り予約した。

しばらく音沙汰がないことに不安を覚え始めていたが、決定的なことが起こった。私の銀行口座のオンライン取引が1週間ほど前から全て止められていたのだ。(銀行さん連絡くれよぉ)

慌てて銀行に連絡すると、受け取り手の名前と私が記入した名前が異なる事、私が送ったメールアドレスから異なるメールアドレスに転送されている事、を教えてくれた。

完全な詐欺だ。。。

あんなに楽しみにしていたのに。春休みは子猫と遊べると喜んでいたのに。お金を失ったことよりも、子供たちのガッカリした顔を見ることの方がとても辛い。

まさか自分が引っかかるとは。詐欺とはなんと巧妙な作業だ。たった$150のためにあの労力を使うことは理解しがたいが、その人にとっては大きな$150だったのだろう。美味しいものでも食べたかったのだろうか。欲しい物でもあったのだろうか。それとも家賃を払いたかったのだろうか。

人を悲しませることではなく、せめて自分の喜びに使っていて欲しいと願うばかりだ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?