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夫がいない夜のポテサラ

今夜は夫がいない。友だちとの飲み会で出かけている。

わが家では、ごはんを作るのは夫の役割だ。こう話すと女性陣からは「いいなあ!」と言われることが多い。夫は専業主夫である。というと格好がつくけど、5年ほど前になんか仕事に対するやる気のすべてがなくなっちゃって社会と断絶した結果、夫は働かないで家事全般をやり、わたしが仕事をしてお金を稼ぐという生活で落ち着いたのだ。ここまで話すと複雑な顔をされることもある。わたしは納得しているし居心地がいいのだけど。

夫がいない夜、わたしの晩ごはんはだいたいコンビニになる。1人暮らしの時は料理をしていたし、なにか作ればいいのかもしれないけど、キッチンはすっかり夫の城となり、細かいものはどこに何があるかわからないし、どの食材をどれくらい使っていいかわからない。わたしが外に勤めに行っていた頃は、1人で本を持っておしゃれにワインバーへ行ったり、気になっているお店に出向いたりして過ごしていたこともあるけど、在宅仕事がほとんどの今となっては、なかなかわざわざ出かけようという気にならない。

でも今夜は、夫がサラダを作って冷蔵庫に入れていってくれた。夫お気に入りの八百屋で買ったレタスとトマトに、ポテサラを盛ってつめた〜くしたサラダ。「レタスとトマトは味付けしてないからね、食べる前に塩とオリーブオイル、ポテサラには胡椒をね」と言い残されたので、言われた通りにした。この冷たいサラダのおいしいこと!甘くフルーティでぷちゅーと弾けるようなフレッシュなトマトに、レタスはほどよく苦味があってきれいなグリーン。新鮮な野菜は、こんなにシンプルな食べ方でもおいしいんだなぁと感じ入る。ポテサラはいつも作ってくれるシンプルなやつ。マッシュしたじゃがいもに、粗みじんの玉ねぎ、塩とマヨネーズだけ。わたしは夫のポテサラが大好きだ。わたしが落ち込んでいる時、元気づけるために「今夜はポテサラだよ」って、夫が言ってくれるくらい。

もうすぐ夫が帰ってくる。ガチャっと鍵の音がしたら、玄関までダッシュで迎えに行く。


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