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冒険研究所書店オープンから3日すぎて思うこと

5月24日に無事に「冒険研究所書店」オープンすることができました。

オープン当日に朝日新聞で記事を掲載していただいたこともあり、それを見て近隣だけでなく遠くからもわざわざ来ていただく方が多くありました。

オープンから今日で3日目となり、いくつか思うことを思いつくままに書いてみます。

①イメージが一気に現実化

書店の準備をしている時には、書店営業経験もない自分にとっては全ては想像でした。書店の仕上がりイメージ、どんなお客さんが来るのだろうか?、日々の営業風景、自分が書店を始めることの役割、などなど。

それらが、スタートして3日で一気に現実化してきました。

新聞を見てやってきてくれた近所の方々、ツイッターなどSNSを見て遠くからわざわざ来てくれる方、目の前を通りかかって気になって入ってきてくれる方、様々です。

「駅の反対側に、何年か前まで大きい本屋さんがあったんだけど、ドラッグストアになっちゃったんだよねぇ。やっぱり、地域に本屋はないとダメだよ」そう言いながら、楽しそうに本を選ぶ近所のおじさん。私に「いつも読む本だけだと偏るから、今日は全然読んだことない本買っていくから、教えてよ!新田次郎って読んだことないんだけど、剣岳とアラスカ物語って、どんな話し?」そう言いながら、私が内容を説明すると「じゃあアラスカ物語にするわ!」と古本のアラスカ物語を買っていかれました。

その瞬間、書店を始めてよかったなと、ようやく思えました。

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②場を作り出すツールとしての本

いま冒険研究所書店にやってくるお客さんは、皆さん初めての方です。当たり前だけど。なので、新聞で見たりSNSで知ったけど、果たしてどんなところなんだろうか?と、まずは様子見で入ってこられます。

ドアを入って、一歩目でまずは左右と店内全体を見渡し、口には出さないけれど「ほほぉ、こんな感じなのか」という表情が読み取れます。

お客さんに対しては、私はまずは瞬間的に観察して、すぐに声をかけるか、少し店内を見てもらってから声をかけるか、見ないフリして見ています。

いずれにしろ、帰るまでには必ず声をかけて、全員と会話をするようにしています。

ギャラリースペースの展示を説明したり、どんな本が好きなのか聞いたり、どうやってここを知ったのかを尋ねたり。

私は書店を始めましたが、書店は「場作り」のためのきっかけです。人と人が出会う、人と本が出会う、そんなコミュニケーションの場の触媒として本があると思っています。

若い旅人や冒険を志す人が資料となる本を探したり話を聞きにやってきたり、近所のおじさんおばさんがちょっと休憩しに来たり、学校帰りに子供達や学生が好奇心を充しにやってきたり、そんな人たちがまたここで出会い、通り過ぎていく。そんな場を作りたいと思っています。

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③桜ヶ丘の方たちの文化

昨日、新聞を見てやって来てくれた50代くらいの女性は「文化のない桜ヶ丘にようこそ!」と、冗談交じりに書店を歓迎してくれました。数年前まで駅前に書店があった桜ヶ丘駅に書店がないことが、私が書店開設をする一つの理由でもありました。

ただ、この3日間で近所の方々と色々お話ししていると、ちょっと上から目線の言葉になってしまいますが、文化水準はとても高いものを感じています。特に、我々以上の年代の年配者の文化水準が極めて高い。「あぁ、この方は本の重みで自宅の床が抜ける心配をしているんじゃないだろうか」と、私が推測するような方がすでにいました。

仕事帰りの作業着を着た男性が、並んでいる気になった本を手に取り、パラパラっとめくるその本の選択がなかなか渋く、最近私のお気に入りの版画家川上澄生の全集を見て「良い本あるね」とニヤっと笑ったり、話していてとても楽しく私も非常に勉強になる方々がたくさんいます。

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④接客業の楽しさ

私は北極冒険家という肩書きを名乗っていますが、それは荻田泰永という人物の全てを語るものではなく、あくまでも一側面です。

かつて、アルバイトをしながら北極に通っていた若かりし頃は、日本にいる間はひたすら働き資金を作っていました。

その頃に一番やっていた仕事は、接客業でした。

ガソリンスタンドやホテルのルームサービス、カーショップなどなど。北極の冒険と同じくらいに、日本にいる間には仕事に集中して打ち込んでいました。

私は接客業が好きなんだなと、書店を開始して改めて気付きました。お客さんと話をするのが楽しい。

もう10年くらい、接客の現場からは離れていましたが、いま改めてお店に立ってみると、若い頃にはできなかったお客さんとの関係構築ができたり、とても新鮮な気持ちになっています。特に、今回は自分の店なので尚更かもしれません。

⑤やはり最大の目的は予測不能な場作り

私の事務所として「冒険研究所」を構えた時にも、意識していたのは場作りでした。

ここにやって来る見知らぬ人同士が出会い、化学反応が起きるような場を目指していました。

それはそれで、ある程度できていたと思いますが、さらに発展させるために、多くの人が「冒険研究所に来る大義名分」としての書店なのです。本があることで、それを買いに、読みに、何かを調べに来る。

起きるはずのなかった化学反応が、これからどれだけ起きていくかが楽しみです。

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始まったばかりの今は、テンションも高めで楽しい思いが先行していると思うので、これからは悩みや困りごとも頻発していくでしょうが、北極みたいにそうそう死にはしないので、乗り切っていこうと思います。

ぜひみなさん、冒険研究所書店に遊びに来てくださいね。お待ちしています。

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最後に、今日の一枚。

昨年のコロナで学校休校の際に冒険研究所を解放して、行き場のない子供たちの居場所とした時に、毎日来ていた子。昨日と今日と、お母さんと一緒にやって来て、立ち読みならぬ座り読みをしていました。いくらでも読めよ〜!昼寝もできるくらいのスペースを作ってやるかな!!

ここに、未来がある。

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