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ネットで絶対に失敗しない方法とは
　と、ここまでお話しましたが、さすがにコレは最悪の最悪、スーパーレアケース。普通はどんなにひどい炎上でも、こんなに長期間、引きずるようなことはありません。必要以上に怖がり過ぎないでください。ネットなんてただの道具ですよ。でも……

　もし、あの動画でいじめられていた子が、いじめに耐え切れずに電車に飛び込んだら、さっきお話したすべてが、本当に起きます。実際にそうなっている事例があります、現在進行中のやつもあります。
　もちろん、いじめはまったく別の、もっと重要な問題、全員でブッ潰さなきゃいけない、メチャクチャ重要な問題です。ですが同時にネットも、まったく別の問題なんです。「いじめた動画で人生が破綻、当然の報いだ」という人もいますが、それはいじめの問題であって、ネットの問題ではありません。一緒にしないで下さい。

　ネットなんて、使いたい人が使いたい時に使えばいい、ただの道具です。ネットで失敗するよりも、しないほうが圧倒的にいいんです。ちゃんと、「ネットで絶対に失敗しない方法」があるんだから、それを知って使いたい時にガッツリ使えばいいんです。その「失敗しない方法」って、実はビックリするほど簡単なんですよ。

これで絶対に失敗しない
　そもそもネットの中にいる人って誰ですか？答えは簡単、私たちです。現実世界で暮らしている普通の人、これがネットの中にいる人たちです。
　じゃあ、そのネットの中で、面白いと感じる気持ちや、怒る理由、ルール、礼儀、マナーは？すべて現実世界と同じでしょう。ネットだって、やることやれば現実の牢屋に放り込まれます。
　つまり、日常とネットって同じものなんですよ。日常とネットは繋がっているんです。日常＝ネット、ネット＝日常、わざわざ『日常』と『ネット』を分けて考えるから、ややこしくなる。日常とネットを同じと考えたとたん、こう言えませんか？

　「日常でやっていいことはネットでもＯＫ。そして日常でやらないことはネットでもやらない」。なぜなら、みっともないし人生も吹き飛ぶから。これが、ネットで失敗しない方法です。簡単でしょう？でも、こんなの覚えなくていいですよ。というか記憶力がモッタイナイので覚えちゃダメ。こんなの覚えなくても、これを、もっと簡単に、持ち帰りやすく、忘れないように一枚の写真に変えるから、大丈夫です。一枚の写真に変えますよ、ハイッ！

　これ、みなさんの自宅の玄関ドア。自宅の玄関トビラです。この玄関トビラに貼れるモノは、どんなモノでもネットに投稿して下さい。ここに貼れるモノなら、どんな写真も、どんな動画も、どんなコメントも大丈夫、絶対に失敗しません、炎上しません、保証します。そして、この玄関ドアに貼るにはミットモなさ過ぎる、例えばこんなモノをネットに貼ったら……

　たぶん人生が大変なことになるでしょう。なぜなら、インターネットはすべて家の『外』だからです。
　パソコンもスマホもタブレットもＳＮＳもＬＩＮＥもアプリもゲーム機もメールも、ネットにつながっているモノはすべて家の『外』です。しかも、その『外』、とんでもない特徴がありましたよね？さっき確認しましたよ、ネットの特徴。何かやらかせば、絶対に身元がバレる、ネットはそんな場所でしたよね。家の『外』で、身元が一発でバレる場所ってどこですか？　自宅玄関ドアですよ。これがネットの正体、これがネットの限界です。ネットにモノを載せるということは、自宅玄関ドアにベタベタものを貼っていくのと同じ作業なのです。

　だから玄関ドアに貼れるものは、ネットに貼ってもOK。そして玄関ドアに貼れないものは、ネットにも書かない方が良い、のではなく……貼れないんです。だって、人生が終わるかもだけどネットの載せてみたいモノって、みなさんありますか？　私はありません。みなさんにもないでしょう。
　自宅玄関に貼れるものがネットの限界。だから、自宅ドアを基準に判断すればＯＫ。これがネットで絶対に失敗しない方法です。それでもまだ、「大げさだなあ」という人は、これを見て下さい。

　これ全部、過去に実際に起きた炎上です。試しに玄関に貼ってみたんですが、貼れたやつ1枚もなかったんですよ。警察に捕まるか、人生吹き飛ぶか、警察に捕まって人生吹き飛ぶか、どれかでした。家の玄関に貼れるネット炎上、ネットトラブルって、見つけられなかったんですよ。
　もちろんその逆もです。「これ絶対、玄関に貼れるのに、揉めちゃったね、トラブルになったね、炎上しちゃったね、玄関になれるのに」っていうやつも、どんなに頑張っても見つけられなかったんです。だからこれ（下のスライド）でいいんです！！

　これを持ち帰って欲しいんです。変なヤツが来たっていう記憶でもいいけど、できたらこの玄関ドアの風景を持ち帰って欲しいんです。そしてネットで迷った時に、コレで決めて欲しいんです。
　なぜなら、人間は迷った時に失敗するから。「こんなアホな投稿はネットに載せない」とか、「コレは確実に大丈夫」っていう場面では意外に失敗しません。人間が失敗するのはこういう時ですよ。

「これ面白いから投稿したいな、でも微妙だなあ。でも投稿したいな。でも微妙だなあ……」

という時に失敗するんですよ。だって「微妙だなあ」の基準がバラバラだから、大人も。だから失敗するんです。
　「微妙だなあ」の答えもこの玄関ドアです。ネットで迷った時に、コレで決めてくれれば失敗しません。絶対に損はさせませんから、コレ持ち帰ってください。

　さあ、コレでみなさんは、最強のネットユーザになりました。最強ですよ。あとはネットを、安心してガッツリ使えばいいんです。私が早口で、いろんな話をしたので、頭の中が疲れましたね。今から２分間、時間を置きます。あ、座ったままね。伸びをして、ストレッチして、まわりと話をして。そして２分後に、どんな質問にも即答する、質疑応答の時間を始めます。では２分間スタート！

　生原稿をそのまま流し込むつもりが、整理するうちに気になる箇所を見つけてしまい、結局アチコチ加筆してしまいました（スライドも）。
　本来なら原稿ではなくて、生徒さんの顔を見ながら直接お伝えしたかったのですが、でもまたいつか「普通の日々」が戻ってきます。飲み屋で皆が爆笑しながらお酒を呑める、そんな日が再びやって来ると信じています。その日まで、踏ん張って、互いにアイディアを出しあい、頑張り過ぎず、助け合っていきましょう！

筑摩書房「大人を黙らせるインターネットの歩き方」より抜粋
　①「私のことは忘れてください」
　②「ツイッターでヘリが来た」
　③「アイスケース炎上」
　④「なぜ身元がバレるのか」
　⑤「個人情報は載せていなかったけど」
　⑥「こんな投稿もヤバい」
　⑦「すぐに消すから大丈夫？」
　⑧「炎上の本当の恐ろしさ」
　⑨「ネットで絶対に失敗しない方法とは」