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パンと味噌汁・・・②

 先日、味噌汁にパンを突っ込んだ土井善晴先生が、フォロワーを説教したら周囲がほっこりしたという、ちょっとなに言ってるか分からない事件がありまして……

 この話題からは「多様性」と「表現の自由」の2つを同時に学べてお得だね、というお話の続きです。

 幅広く許容したい「多様性」、嫌なものは嫌と言いたい「表現の自由」、パッと見、相反するように思えますが、実は両者には

「ガマン」

という共通点があるのです。

 多様性。それは多様な価値観、文化、嗜好……中には「私は苦手だな」というモノもあるでしょう。でも受け入れなきゃ、多様性ですからね、ガマンガマン。
 表現の自由。自由で幅広い言論の中には、気に入らない言葉や怒りを感じる発言もある。でも「黙れ」「取り消せ」はダメ。反論なら良いけどその存在は否定しない。「お前こそ黙れ」と言われたら自分の首を絞めることになりますからね、ガマンガマン。

 自分の自由と引き換えに、不快なモノも受け入れる、ギブ&テイクよ。これ、当たり前の認識だと思っていたのですが、残念ながらそうじゃない方もいるようです。

あいつはダメ、でも俺は大丈夫

 2021年8月、メンタリストDaiGoさんが派手な炎上花火を打ち上げ、真夏の空を彩りました。

 DaiGo氏のこの発言には全く同意できませんが、「多様性」「表現の自由」の世界には、残念ながら、このように多くの人が「許しがたい」「不快だ」と感じる思考、言論も存在します。

 受け入れる必要は全くありませんが、その存在自体は認めざるを得ない。「けしからん」と発言取り消しを求める、思想を正すなんて、それこそ「多様性」「表現の自由」の否定です。どうせなら皆で

「指をさして笑う」「馬鹿にする」

ほうが健全でしょう。彼の発言を指さし眺めながら、感想を述べあおうぜ、みたいなことを、これまたヤフーニュースにコメントしたところ

 わざわざツイッターのDMで、私に抗議してきた人がいたんですよ。

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 きっと根はマジメで良い奴なんだろうと思いつつ「彼の危険な考えは社会として存在してはいけません。発言の取り消しを求めるべき」って、あなたそれ、直球ストライクの言論統制、思想矯正。ナチスっぽいね!

 「ナチスっぽいね」とは書かず、一生懸命まじめにお返事しました。

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 出来るだけ丁寧に説明したんですが、頂いた返信が、

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 ……ピュアな返信にヒザから崩れ落ちました。自分が投げたブーメランは自分には刺さらない、という謎理論。これ「ご心配なく。私の物差しは確実です、私は大丈夫。私が善悪を決めます。任せて下さい」ってことなんでしょ、たぶん。

 自分の中にある「善悪」を振り回し、それに合わないものを排除したがる人たちって、逆に自分が「誰かの勝手な物差し」で理不尽に測られ「お前はダメ」と言われる場面を、なぜか想像しないんですよね。

 最低限の「善悪」は、法律というガイドラインで定義されます。それでカバーできない「善悪」は、個々の道徳に依存します。つまり人それぞれ。法律の枠を超え、誰かが強要したり、ましてや矯正なんて論外でしょう。それはあなたの役割じゃない。

 私たちが多様性のある世界を作り上げるには、バリアフリーや他文化への理解も重要ですが、「ぼくの考えた最強のたようせい」みたいな勝手な物差しを振り回す人とも、ちゃんと話し合って分かりあえないで殴り合う、みたいなプロセスが、避けられないのかもしれません。

 余談ですが、多様性のある世界では「多様性なんて認めん」という主張も多様性の一つとして容認されるので、今後、SNSでは随所でハードバトルが展開される予定です。そんな世紀末っぽい時代を迎える前に是非、ブラボーなこの一冊を!

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