どうして効果音を作る仕事を始めたか。(中編 ~未熟さ~)
前編から少し時間が経ってしまいましたが、中編をお届けいたします!前編が気になる方はこちらからどうぞ。
賃貸営業から一転、ゲーム会社に入ることができ、なんとか念願のサウンド部署に。トントン拍子に事が進むと思いきや・・・?
"ゲームデバッグに戻る!?"
アーカイブの音量調整の仕事も終わりに近づき、次はどんな作品に関われるのか楽しみにしていた矢先、告げられたのは、
「ゲームデバッグの仕事に戻ってください。」
それを聞いた私は何の躊躇もなくその場ですぐにこう言いました。
「……デバッグに戻るということでしたら退職させていただきます。」
今思えばものすごく自分勝手な発言だと思います。しかし、なんのためらいもなく反射的に出た言葉でした。するとプログラマのJさんは大変驚かれて、「辞められるのは困るので上と話をしてみる」と、なんと掛け合ってくださいました。
結果、なんと最新コンシューマゲーム開発の本線ラインにサウンド担当として在籍できることになり、私は新作のゲーム開発に関わることが出来たのです。(Jさんには今でも感謝しております)
"サウンド担当は私ひとり"
本線の開発ラインに合流させて頂いた私ですが、本線の開発ラインには外注さんを除いてはサウンド担当者が一人もおらず、実質社内では私一人が担当する段取りとなっていました。私の仕事は、
・サウンドミドルウェア「CRI」を使ったサウンドデータの取り込み、仕様書作成
・まだ未実装の仮音作成
・外注サウンドさんへの発注内容作成、修正やり取り、進捗共有など。
といった内容。まずはサウンドミドルウェアの概要をサウンドプログラマさんから教えて頂き、Cueのファイル命名やパラメータ調整、新しい音素材の登録などを行っていました。当時私はゲームの音がどのように再生されているか仕組みをまったく知らなかったので、こうした経験はとても貴重かつ刺激を頂きました。
未実装の仮音作成は、先に再生するための仕組みを作っておき、あとは素材を入れ替えるだけで良いようにしておく作業。CRIで再生する仕様が決まったら、音がきちんと再生されるか確認するために仮のBGMや効果音を入れておきます。
私は張り切って仮のBGMを作成してデータを入れ込み、実機で再生することになりました。
「自分の音がゲームで鳴らされるとこんなに嬉しいものなのか!」
仮音とはいえ、はじめて実機から自分で作ったBGMが大音量で開発フロアに流されたとき、私は高揚感と嬉しさでとても興奮しました!
"己の未熟さを知る"
私はCRIを使って外注さんから頂いたデータを取り込み、それをサウンドプログラマさんへ仕様とデータを渡す役割を担っていました。この外注さんこそ、もともとこの会社でサウンドをずっと作り続けてきて独立された、レジェンドのCさん。私も大好きなBGMをたくさん作られている方で、しかも家に居られながらデータをパソコンでやり取りするそのスタイルは、まさに私が憧れていた仕事のスタイル!!
「将来的にはCさんのように一人で独立したい!」
そう強く思ったものです。あるとき、そんな憧れのCさんが実機でのサウンド確認のため、開発フロアに来られることになりました。私はド緊張の中、一緒にサウンドを実機確認し、会議を終えました。もちろん、そのときに仮音のBGMを入れこんだゲームを確認してもらいました。そして帰り際、二人だけのときにCさんに言われたのです。
「ところで実機で流れているあのBGMだけど、キャラクターのイメージと合っていないし曲としてのクオリティも水準に達していないよ」
私は頭をガン!と殴られたかのようなショックを受けつつ、
「あ!仮音になりますので後から差し替えます!」
たしかそんなことを口走っていたと思います。今考えると本当に恥ずかしい話です。仮音であることを盾に自分の未熟さをかばおうとしていたのです。Cさんはプロのサウンドクリエイターです。ゲームサウンドとしての品質、キャラクターBGMとしてのイメージ、そういったものをしっかり理解していないとこれではダメだということを言葉で教えて頂いたのです。
私と二人の時にそう言ってくださったのも、周りに聞こえないように気遣っていてくださったに違いありません。
私はその日、落ち込み、自分の未熟さを噛みしめました。
・・・後編へ続きます!
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OGAWA SOUNDは「ゲーム、映像作品などにおいて"効果音はお客様の感情に直結する重要な要素"」と考え、効果音を専門に作成しております。BGMは作成しておりません。効果音専門に特化し、クオリティの高いご満足いただける効果音をご提供します。
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