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書籍【#ライブ配信の教科書】読了

https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/B08DQWFN6G

◎タイトル:#ライブ配信の教科書
◎著者:ゆうこす
◎出版社:日経BP


自身を「モテクリエイター」と称する著者が、数々の試行錯誤を経て、その極意を丁寧に解説してくれている。
最初のSNSが世の中に誕生してから、すでに20年以上が経過している。
その事実を認識すれば、自分の中に凝り固まった固定観念を改める必要性があると感じるのではないだろうか。
この20年間、昔のSNSのまま進化していないことなどあり得えない。
インターネットによって、人と人とが簡単に繋がれるようになったのは事実だ。
さらにSNSツールが進化し、スマホの高機能化と相まって、その歩みを爆速させた。
使用する側の人間も、スマホネイティブ、SNSネイティブの世代が増えたことで、常識に捕らわれない新しいコミュニケーション方法を今現在も生み出し続けている。
著者自身はネイティブ世代よりは少し上の年代かもしれないが、この行動力、好奇心は見習うものがある。
アイドルという非常に厳しい世界を潜り抜け、さらに「SNSなんて・・・」と言われていた時代に積極果敢に挑戦して、今こうして結果を出している。
もちろん数々の失敗をしてきただろうと思う。
立ち直れないくらい傷付いた時もあったのだろうと思う。
一度有名人になってしまうと、他人からは羨望も嫉妬も竜巻のように渦巻いて、容赦のない攻撃として飛んでくる。
正直言って、気の休まる時間もないのではなかろうかと心配になってしまうくらいだ。
しかしながら、これからの時代を生き抜くには、一般人であっても、この攻撃から避けて通れないのではないかと思う。
私自身は今50代で、SNSのメイン世代ではないし、SNSで発信している内容もこのような読書感想文程度のものだ。
積極的にSNSを使いこなしている方ではないが、私よりもやや下の世代の40代は、絶対にこれらのスキルを持っていないと、今後生きていくのは相当に大変になると思う。
それだけ重要な知識であり、スキルであり、リテラシーなのだ。
さらに言うと「覚悟」が非常に重要だ。
著者の覚悟の度合いは桁外れだが、せめてその何分の一でも自分の中に持つことが、今後は必要なのだと思う。
それは、今後も益々SNSの世界が進化し、リアルとバーチャルが融合し、全てがデジタル化されていくからだ。
メタバース世界が普通となり、バーチャル世界が日常になったときは、当然すべてがSNS化されると言っても過言ではない。
経済活動の大半がバーチャル空間で行われるのは間違いないだろう。
現代のSNSのように、友達申請して承認してという流れはショートカットされるはずだ。
偶然街中で出会うように、アバター同士が接触した際に、相手の情報は瞬時に自分の手元に届き、その目の前のアバターが自分にとって味方になり得るか、敵となり得るかを瞬時に判断していく。
当然この作業だってAIでアルゴリズム処理されて結果が出されるだけなので、バーチャル空間内ではそもそも敵と出会いにくくなるかもしれない。
もしくはそのアバターだって中に現実の人物が入っている訳ではなく、ただのAIアバターであれば、相手の趣向を読み込んで、気に入られるように振舞うことなどは朝飯前だ。
このようにして、ほぼテレパシーのように、時間と距離もゼロかの如くアバター同士、そして人間同士の脳内が繋がっていく。
そんな世界では、物の売買はどう変わっていくだろうかと思う。
しかし本質的には変わらないのかもしれない。
悪い品質の製品は駆逐され、市場には良品ばかりが溢れるだろう。
そうなると、コモディティ化が進み、品質の差はほとんど無くなってくる。
この時に、商品を買うか買わないかを決めるポイントは何になるのだろうか。
考えられるとすれば、「誰から買うか」ということか。
これは今すでに始まっている流れだ。
もちろん、AIアバターが進化すれば、そのAIアバターのお薦めする商品を購入するのかもしれないが、それは今検索で「一番品質が良くて安いもの」を調べられるのと本質的には同じことだろうと思うし、それが益々時短され最適化されるだけだ。
やはり「誰から買うか」は、血の通った誰かということになるのだろう。
もはやここに商品やサービスはほとんど関係がなく、「この人を応援したい。好きだからこの人から購入したい」という「推し」という感情がメインの購買意欲になっていくのではないだろうか。
すべてがAI化・機械化されていく中で、人間が感情面に振り切っていくのかもしれない。
AIとの差別化、人間としての生き残り策と考えれば、妥当な帰結かと思う。
結局、これからの生き残りを考えていくと、「人間力」を上げていくしかない。
それは、有名人だろうが何だろうが関係ない。
会社という組織がいつまで存在するか分からないが、身近なコミュニティの中で、個性を発揮して自分のポジションを確立していく。
これは今現在でも行われていることであるが、バーチャルとリアルが融合する中で、その状況が益々エスカレートしていくことは間違いない。
本当に我々は、今までの常識で物事を考えない方がいい。
ECだって進化しているし、SNSだって進化している。
当然AIの進化は驚異的だ。
様々な新しいことを駆使して、商売をしていこうというのは、自然の成行きのはずだ。
だったら昔ながらのやり方に固執せずに、ドンドンと新しい方法を試すべきだ。
当然、簡単に収益は伸びないかもしれないし、想像もしないリスクに晒されるかもしれない。
だからと言って、試さない手はないだろうと思う。
挑戦して失敗するからこそ、確実に成長していける。
本書が発売されたのが、2019年だ。
その後コロナ禍によって、リアルでの生活は大きく制限され、オンラインでの暮らしが主流となった。
2024年の現在は、もちろんコロナ禍も収まって、以前の暮らしに戻っているのかもしれない。
しかし気が付いているはずだ。
案外、オンラインだけでもイケると。
今でもテレワークは併用だし、Zoom会議も当たり前になった。
私のような50歳過ぎた人間には違和感があっても、今の若い人はその状況が普通であり、自分なりにツールを駆使して使いこなしている。
SNSだって、上手に炎上を避けたり、距離の取り方も上手い。
自ら発信せずとも、情報の取得はほとんどSNSを使っているという。
20年以上前に、Googleが出現して、その考え方に驚嘆していた私からすれば、隔世の感である。
つまり現代の若者は、我々が見ている世界、感じている世界とは全く異なる見方感じ方をしているということなのだ。
本書は「ライブ配信の教科書」として、内容もイロハから実践編まで、まさに教科書として網羅されている。
しかし、ノウハウ本として読むだけではもったいない。
未来は間違いなく変化する。
しかもそんな先の話ではなく、せいぜい10年程度先の未来のことである。
本当に生き残れるのは、果たしてどんな人か。
我々はもっともっと真剣に未来を考えた方が良いと思うのだ。
(2024/5/1水)


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