空あります
空(から)がある。
"ないもの" が "ある" とはどういうことだろうか。
とある雑居ビルの入り口に目が止まった。
赤い文字で「空あります」と書かれている。
読み方はおそらく「から」だろう。
「から」、つまり "ないもの" が "ある" ということか?
何か哲学的なことを語りかけているのだろうか。
(後から知ったが、空は仏教的には有るも無いも両方の意味を示すそう)
一見、内容が矛盾しているこの掲示。
しかしその矛盾を解消する答えはすぐそこにあった。
「あ、空室のことか…」
なんというか、あっけない答えではあった。
しかし、主語がないとか、背景がわからないとか、こういうハイコンテクストなコミュニケーションって日常的にあるよなぁと思う。
自分の中では「この表現で伝わるだろう」と推測し、言ってみたら伝わらなくて結局後から補足する。
目的語がなくて、結局「何が?」と聞き返されてしまう。
自分と相手の認知の差を考慮しないと、会話で超疲弊することになる。
そんな当たり前のことを「空あります」からあらためて意識させられた。
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