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上から目先生の【中高年から始めたらクライマーがやるべきトレーニング】


NHK講師も務めたプロクライマー尾川とも子のSNSにときどき登場する、
ちょっと上から目線なのに、おふざけやコスプレ大好きな”上から目先生”が楽しくわかりやすくボルダリングトレーニングを解説!

今回は、40代以上のクライマーで、筋トレ以外のやるべきトレーニングを解説していきます。

※SNSに投稿したまま、表紙を付けてご覧ください。

私の中高年の生徒さん体験談

SNSにこんな相談が寄せられました。

ちがう!ちがう!

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年齢層高めのクラスでした。1週間前のレッスンの時に、一度登れた課題をもう一度復習で登ることにしました。

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あれれ?生徒さんは1週間前はムーブも解決して登れたんですよ!なぜ登れなくなってしまったのでしょうか??

中高年に足りないものは『再現力』

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そう、中高年クラスでは、同じ課題を復習しても、なかなか同じように登れない、なぜ?ということに気が付いたのです。つまり、登れた時は、またまただったり、まぐれだったりして、生徒さん本人もなぜ登れたか?理由がわかっていないことが多かったのです。
つまり、課題を同じように再現して登る力『再現力』が足りないのです。

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キッズクラスの子供たちは、一度登れた課題は、すいすいと何度でも登ってしまうのです。しかし、中高年のクラスの生徒さんは・・・?

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中高年のみなさん、特にランジやコーディネーションの課題をトライした時を思い出してみてください。
もし、それが登れた時、「あれ?なんか?できちゃった!」と思うことが多く、じゃあ、2回目もやってみてください、と言われても、なかなかできない‥むしろ、2度とできなくなることはありませんか(笑)?
私も年齢を重ねて、そういう経験が多くなりました(笑)
つまり、それが、『再現力』がないということです。

それを解決に導くポイントが下記の3つです。

『再現力』が足りない3つの理由

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物理的真理ではないかもしれませんが、私の経験談から研究したことをお伝えします。

【理由】~①忘れている

 

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子供のころは、すごく感覚的にこなすことができます。

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はっきり言いましょう‥やはり、脳細胞の『老化』にはあらがえません。年を重ねてから始めた中高年クライマーは、どうしても『感覚的』に登れるというのができにくくなります。だからこそ、『論理的』に登るということに考えをシフトしていくのも手なのです。

【理由】~②分析してない

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『フリ』とは、『ダイアゴナル』のことです。当時はフリと呼ぶことが多かったです。

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『フリ』や『ダイアゴナル』はムーブの1つです。確かに、一般的なムーブを同じようにこなしていれば、登れるはずですが・・・?

そのムーブ自体をもっともっと細かいところまで見ていかなければいけません。
それが新米講師の時にはうまく伝えられなかったです。

【解決方法】その1

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同じ『フリ』でも、足の位置はどうだったか?腰のひねりはどうだったか?持ち方はどうだったか?そこまで詳しく分析してみていく必要があります。

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まずは、その分析したことを、『言語化して』→『メモしておく』というのが一番頭にインプットできて、次回、同じような動きが出てきたら忘れにくくなります。

【理由】~③ズレている<新幹線型と山手線>

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雷の光と音の現象・・・これが中高年のボルダリングとどう関係してるのでしょうか?

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【遠くの雷】
雷が遠くで鳴っているとき、どこで光っているかは、広い範囲でしか見当がつきません。また、光と音の時間差も大きいですよね。

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【近所の雷】
近くで鳴っていれば、よりピンポイントで場所が推測できます。
光と音の時間差も小さいですよね。

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雷の光→目で見て得られる情報
雷の音→身体を動かすこと

になぞられると・・・

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脳からの情報が神経を通って指令を出し(雷の光)、身体を動かす(雷の音)のがキッズは新幹線並み!
時間差が少ない【近所の雷】といえます。
だから、よりピンポイントでとらえられるのです。

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反面、中高年は
脳からの情報が神経を通って指令を出し(雷の光)、身体を動かす(雷の音)のが山手線並みに遅い!しかも、ケガ、老眼などいろいろな障害、つまり障害という名の駅で止まり止まり指令が行くので、【遠くの雷】のように、末端の指に来た時には、脳でイメージしていた場所とだいぶずれしまいやすくなります。
まるで、伝わらない伝言ゲームのように、どんどん脳からの指令内容が当初と変わっていってしまいます。

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対してずれないでしょ?と思われるかもしれませんが、ボルダリングは1ミリが勝負のスポーツです。足場や手が1ミリずれたら、かなり違ってきます。

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目測と実測が一致している人ほど、つまり、キッズのように近い雷、新幹線並みになると、「あの人のマネしたい!」という情報を身体でうまく表現することが可能になります。

山手線並みの目測実測の速さだと、ズレが生じやすく、「マネしているつもりなのに、なんでかうまくできない」のです。

【理由】~③ズレている<頭の中の筋力と実際の筋力>

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私はこのズレにより、足を突いて小指を骨折してしまいました・・・
頭では、足を十分あげてるつもりだったのに(笑)!!

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私も、ココロは20代なのになぁ!アラフォーの身体とのズレ感・・・

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私は「運動ができる人」と「運動神経がいい人」は違うと思っています!
「運動神経がいい人」は頭でイメージした通りに身体が動かせる人、脳と身体のズレが少ない人、だと思ってます。

実際、アイドルなどでよく聞きますが「私は身体は柔らかいけど、運動神経が鈍いの」なんて人、見かけませんか?
筋トレマニアで筋肉はすごいけれど、俊敏に動けないなど・・・

「運動ができる人」と「運動神経がいい人」は別物だと思います。

【解決方法】その2

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再現力を高めるための最大の敵『ズレ』。
2種類のズレを紹介しました。
【1】目測と実測のズレ
その解決方法は
Ⓐ速さを上げる
Ⓑ精度を上げる 
・キョリの精度
・荷重の精度
【2】頭の中の筋力と実際の筋力のズレ
その解決方法は
・ルーティン

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目でみた情報を『素早く』身体で動かせるようにするトレーニングです!

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目でみた距離の情報を『正確に』身体で『動かせる』ようにするトレーニングです!

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頭でイメージした情報を『正確に』身体で『体現』できるようにするトレーニングです!

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ラジオ体操でなくてもいいのですが、道具を使わず、いつでもどこでも思いついたらすぐできるような筋トレ、ストレッチ、エクササイズをルーティンに選んでみましょう!
私はラジオ体操が一番便利でした。
しかも、よーく考えられた体操なので、アップにも最適です。

今日はどんな調子か?去年と比べてどうか?1月前と比べてどうか?昨日と比べてどうか?朝と比べてどうか?
いろいろ比較することで、自分の身体と向き合うことができ、頭の中の筋力と実際の筋力のズレをなくしていきます。


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中高年はやみくもに筋トレしても、残念ながら疲労だけたまり、ケガにまっしぐらです。効率的にできるようにするために、再現力トレーニングをしておきましょう!きっと、登りも筋トレもはかどるはずです!


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