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いま思い出す、エンジェル投資のあれこれ【声の履歴書 Vol.34】

こんにちは。Voicy代表の緒方憲太郎です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

今回は創業初期のエンジェル投資および資本政策について、ざっくりと振り返ってみます。

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前回、さらっと「政策金融公庫」とか「ベンチャーキャピタル」とか「エンジェル投資家」とか書いてきましたが、それぞれの性格の違いをまず整理してみましょう。

ベンチャーキャピタルにも種類がある

まずベンチャーキャピタル(VC)の話をすると、VCの中には大きく2つあります。いろんな区分けがありますが、大きく2つに分けるとシード系のVC一般のVCがあります。

シード系VCは、創業者その人を見たり、創業チームを見て、まだそんなに目が出ていない成功の種を探してとりあえず突っ込んでいくという形です。全然読めないなかで成長企業を当てにいきます。

一般VCは、事業モデルを見て、「この事業だったらこれくらいの価格で将来イグジットできるから、いくら出資しよう」という計算をしてお金を出すという形です。

つまりお金を出すステージが変わってきます。

昔はシードというステージは魑魅魍魎の世界でした。何も知らない創業者に強引に出資して25%以上の株を持っていったりとか、無法者がたくさんいたんです。いまはそんなことはほぼないかなと思います、たぶん…。

“ダークエンジェル”には気をつけよう

エンジェル投資家は個人としてお金を出してくれる資産家です。大企業の経営者や自分の会社をイグジットさせた起業家がなるパターンが多いです。

そのエンジェル投資家の中にも大きく分けて2つあります。「お金はあるし、起業家を応援したいから出す」という人たちと、「とにかく一発当てたい」という人たちがいまして。

一発当てたいの人たちは、ゆくゆくは投資先を自分の会社にしたいとか、結構セルフベネフィットで動きます。途中で自分の持ち分をイグジットさせろって言いだしてきたり、株式をできるだけ持って命令させろと言い出したり…。そんなダークエンジェルに掴まれないのも大事です。

これはベンチャー支援をしてきた経験から、そう思います。幸いVoicyでは良いエンジェル投資家に恵まれました。

政策金融公庫は借りて損なし?

当然の話ですが、VCのお金を入れるとIPOをはじめとした何らかのイグジットを求められます。彼らはそれがビジネスですので。

でも、そうじゃない事業もたくさんあります。そういうビジネスはどうするか。もともと創業融資という200万円借りれるという制度があったんですけど、200万円じゃできないことが山ほどある。

そこでじゃあ出資に近い形のものを作ろうと、資本性ローンというものができました。それが政策金融公庫です。

5年後とか7年後とか、一定期間のあとにまとめて一括返しでいいすよと、金利も黒字になるまでは0.7%でいいよと、その代わり黒字になったら3〜4%返してねみたいな形で、起業をより促進させるための制度です。

3000万円借りても5年間ぐらい返さなくていいわけですから、ある意味資本金のように使えるし、しかも無担保無保証です。

これは劣後性資本性ローンと言って、負債にならないんですね。なので債務超過にもならないという、創業初期にものすごく支えてくれる仕組みです。だからこれは借りて損はなくて、皆まずそこに行ったほうがいいわけです。

僕はベンチャー支援の仕事をしている時に、片っ端からそれを通す手助けをしていたので、だいたいどこが勘どころかわかっていました。そういう事情もあり、創業直後にわずかな売上で3000万円という資金を得られました。

調達の記事に「スタートアップの仲間入り」を感じる

その3000万円に、続いて2000万円をエンジェルから投資してもらい、合計5千万円集まりました。よーしこれでしばらくは死なないな、というぐらいになって、意気揚々だったんですよね。

TechCrunchとかBRIDGEとかに、「Voicyがエンジェルから2000万円調達」とかって記事が出て、それ嬉しかったな。とうとうスタートアップのお仲間入りしたなと思いました。いまじゃ2000万円なんて当たり前すぎて記事にならないですけどね(笑)

ただ集めたお金で何をするとかは実は深く考えてませんでした。僕はもともと会計士をやってきて、いろんな人の不幸をたくさん見ているのもあるけど、ある程度、安定資金が欲しかったんですよね。

資金が手元にないと不安という気持ちがありましたし、いざというときにいろんな手が打てる状態でいたかったんです。最低6か月分ぐらいのキャッシュを残した状態で走りたいなと思うわけです。

2回目の調達で起きた事件

それでも2017年の最後に、よし、もう1回調達しようということになりまして、じゃあ次は3000万集めようって動き出しました。

一応3000万円は集まったんですけど、結局、資本金が増えたのは2800万だったんですよ。200万円集まらなかったんですよね。

それはなぜかというと、最後に、200万円払うよって言っていたエンジェル投資家の方に、「ごめん、お金なかった…」って言われました。それで200万円だけへこむっていう事件が起こりました(笑)そういうことって意外とあります。

やっぱりお金って集めたら集めたなりに、プレッシャーというのはあります。

それは結局、お金以上に、働いてくれている社員がVoicyという会社で汗を流した分をちゃんと報われる場所にしてあげたいなという気持ちや、使ってくれるユーザーさんに対してもこの事業が頓挫したら申し訳ないなっていう感覚がすごくあります。

もちろんお金を出してくれる株主には感謝はしつつ、そこだけじゃない、関係者全員への責任をだんだんと強く感じるようになりました。

そのへんの話はもうちょっと思いと感慨深いものを含めて声でお届けしますね。

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