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Voicyライブアワーの廃止と、新サービスをローンチするときに考えること【声の履歴書 Vol.64】

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

今回は肝煎りの新機能を「やめた」という話です。3ヶ月前にリリースした「ライブアワー」は廃止となりました。その理由を書いてみます。

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8月にリリースした「Voicyライブアワー」は、Voicyの生放送機能を使える時間を平日20時〜24時まで、土日は8時〜12時までとしたもの。その時間をライブアワーと呼んでいました。

そしてライブアワー自体は本日をもって廃止。同時に24時間いつでも生放送が使えるようになりました。

これまで僕は「あえて限られた時間の中でやるのが、Voicyの生放送のイケているところなんだ」と散々言ってきました。

はい。その仮説が失敗しました、という記事になります。

もともとの仮説とは何か

あらためてサービスローンチ時の仮説についてお話します。まず生放送機能をつくったのは「Voicyフェス」を見据えてのことでした。5日で70人のパーソナリティをお呼びしたあの大規模フェスはこの生放送機能によって実現しました。

また、多くのパーソナリティさんが普段から生放送を使ってくれて、ライブ配信をすると同時に通常配信の収録もできるという活用をしてくれました。生放送でパーソナリティさんとリスナーさんが繋がりながら、ちゃんと番組にアーカイブを残すこともできたので、大成功でした。

ただ、サービスとして負荷が高く、たびたびアプリが落ちるといったトラブルもありました。そこはすごく苦戦しながらなんとか乗り切って、平常運用できるところまではいきました。

そんななかでわざわざ「ライブアワー」という時間制限をつくっていたのは、パーソナリティさん同士のコラボ放送を促進するためです。

みんなが同じ時間に集まるにはどうすればいいかと思ったときに、「時間を制限しよう」と考えました。いずれは24時間に開放するかもしれないけれど、はじめに制限する分にはサービス運用上もいいだろう、と。

こういうのってだんだんと広げることはできるけれど、後から制限することは難しいんです。だから最初は制限してみよう、となったわけです。スタートアップのサービスだとよくありますよね。少ないユーザーから順次サービスを提供していくこと。

1日4時間に絞ることで、その時間に来たパーソナリティ同士のコラボが自発的に行われたり、リスナーさんも集まりやすい。新しい出会いが生まれるかなと思いました。

結果としては半分成功、半分失敗?

それでやってみた結果、ある程度の満足度はあると思いましたが、そもそもVoicyってパーソナリティさんの手間をできるだけなくして、スキマ時間にパッと収録できることがウリだったんですよね。だから平日20時〜24時にタイミングよく生放送をやれる人ってけっこう限られていました。

みんなスキマ時間を見つけて収録してくれていたから、例えば働くママさんとかは夜とんでもなく忙しいわけです。だから早朝にやってくれているわけで。それにVoicyは1日数分から放送できるところが嬉しいという人たちもたくさんいる。やっぱり時間的制限を設けたことで、生放送をちゃんと使えないパーソナリティさんもそれなりにいたんです。

そこはリスナーさん側も同じでしたね。スキマ時間で聞く人も多かったから、生放送の時間が固定されていると楽しめない。

そういったことがわかったので、今回、生放送を24時間開放して、みんなに好きな時間に使ってもらおう、という方向転換をしました。そして同じ時間にみんなが集まってコラボをするという仮説は、ちょっと失敗。素直に負けを認めます(笑)

いい番組、いい放送が残っていくことが第一

ここからはいよいよVoicy生放送の本格リリースです。パーソナリティさんとリスナーさんが、よりよい時間で繋がることを目標にしていく。そういう新しい生放送と公開生収録という体験自体を楽しむという形をちゃんとつくっていきます。

実際にパーソナリティさん同士が絡むときは、時間を制限してもしなくても、お互いに「今度やりましょう」とアポを取りながらやっているんです。偶然パッと集まったからといってコラボが生まれるなんてことは、あまりなかったんですよね。

実験の結果わかったこともある、ということです。

なのでポジティブなかたちで機能開放しようと思っていますし、やらなかったら気づけなかったこともたくさんあったので、とてもよかったと思います。

ただ、これからもVoicyとしては生放送をめちゃくちゃ推奨するわけではなくて、いい番組、いい放送がたくさん残っていくことが第一だと思っています。

生放送と本放送の関係がどうなっていくかはサービス設計者の腕の見せ所。乞うご期待というところです。

オリジナルのUXで常にユニーク&ユーモアを

ここで伝えたかったことは、Voicyはとことん考え抜いて、自分たちのオリジナルのUXを出していって、常にユニーク&ユーモアで攻める会社でありたい、ということです。

その結果としては、なんとなく一勝一敗という感じに落ち着きながらサービスが前に進んでいます。でも一敗するたびにめちゃくちゃ気づきがあるので、そこを軌道修正する。

今回のライブアワーみたいに、一見無駄にみえるような制限をかけることによって、ちょっとずつ新しいチャレンジをしながら、既定路線であった24時間開放に向けて気づきを得る、みたいなことは僕らの得意とするところです。

そこはすごくスタートアップならではだと思います。限りあるエンジニアのリソース的にもすごくメリットがありました。Voicyの生放送は誰もつくったことがないようなプロダクトだったので、バグとかが出るわけです。だけど必ず同じ時間に発生するので、あらかじめみんなでそこに張り付くことができる。

そういうスモールスタートの1つとして、Voicyらしい体験とか思想を入れ込む。今後なにか新機能を出すときはまた同じように試していくと思います。

そもそもVoicyはいまも1チャプターを10分で区切ったり、あえてBGMをリスナーが選べないようにしたり、放送できるパーソナリティが限られていたり、その中から「プレミアムリスナー」を利用できる人も絞られていたり、基本はゴリゴリと絞る文化。いきなり全部出すことはまずないんですね。

いかに狭めて出すか

ここに工夫を求めるのは僕の趣味かもしれませんが、特にスタートアップは意識して考えてみると良いと思います。

ーー最後まで読んでいただきありがとうございました。

声の編集後記





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