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スタートアップ6年目、はじめて産休を取得した社員が、戻ってきてくれた話【声の履歴書 Vol.93】

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

僕は自分で会社をつくってからずっと、社員のことは「一緒に戦う仲間」だと思ってきました。仲間が助けてくれないと達成できないことにチャレンジしていますから。

だからこそ「仕事が楽しいかどうか」「裁量があるかどうか」ということをすごく大事に考えるわけですが、だんだんと会社が大きくなって、社員にも家族ができはじめ、お支払いしている給与で家族を養う人達が増えてくるごとに、「うちはVoicyというサービスをつくる会社なわけじゃなくて、きちんと人を雇用している会社なんだ」ということを、すごく真剣に考えるようになったんです。当たり前のことですが、そうなんです。

先日、はじめて産休を取得した社員が、職場に復帰してきました。会社として、なにかひとつ大きな壁を越えたような思いでした。

「会社をとても良く評価してもらった」

「社員を幸せにすること」を考えたときに、「事業が面白い」とか、「みんな仲がいい」というところはすごく頑張ってきましたが、長期的にその人たちの人生のセーフティネットになっているというか、ちゃんと安心できる場所になるところまではまだ手が回っていませんでしたし、「できる」とも、まだ十分に言えなくて。

どこかで「うちはスタートアップだから、合う人はうちに来たらいいけれど、合わない人は仕方がないのかな」と思ったりもしていました。そんな中でVoicyを選んでくれる人は、やりがいで選んでくれていたり、一緒に挑戦するから選んでくれていると思っていました。

だから、そんな社員の家庭には無自覚な自分にその後、初めて産休の社員が出たときは、もうびっくりしました。それから、子供を持っている社員が入って来たときも、本当にびっくりしました。

そして産休に入った社員が、なんと、「戻ってきたい」と言ってくれて、実際に戻ってきたんです。

それは、言い方がすごく難しいんですけれど、うちの会社をとても良く評価してもらったような気がしていて。

そのまま辞めてしまう例もあると思うんです。やっぱり産休して帰ってくるにしても、子育てのことを考えたら「この会社には戻れない」と判断もあるとは思いますし、「もっと福利厚生がいっぱいあるところに行きたい」とも考えると思います。今はそういう制度がしっかりしている会社が当たり前ですから。

そういうことを考えたときに、おそらく「この会社なら、帰ってきても楽しく働ける」と思ってくれたり、「この会社なら、子育てをしながら働ける」と思ってもらえたのかな、と。
そして最近では転職の際に「子供に誇れる仕事や、子供の未来になる仕事がしたい」といってVoicyをうけてくれる人も出てきました。

起業してからのひとつのビッグイベント

もちろん、うちの人事チームにそういう制度をつくってもらってはいます。でも「初期のようにガンガン仕事をする以外のライフステージでも、Voicyにいていいんだ」と思ってもらえたことは、素直に嬉しかったです。

会社として一段階“上がった”ような感じがしました。受け入れられる人が一層、増えたように思います。しかも、そうやってライフステージのスタイルが変わっても、「まだこの会社にいたい」と思ってもらえている場所なんだということに驚きました。

僕としてはそこがすごく嬉しくて、しんみりくるような、グッとくるような感じがありました。当たり前のことなんですけど、こういうことを経て、「うちは会社をちゃんとやっているんだ」ということが実感できて、「ひとつのスタートアッププロジェクト」を卒業したと感じられたのが、今回の出来事です。

ですから、自分の中では、起業してからのひとつのビッグイベントになったと思っています。それは、ただサービスの数字の調子が良いというだけではなし得ないことです。

ライフステージの変化を感じること

ただし、とはいっても、他の会社よりも充実した福利厚生があるわけではないんです。今回産休から帰って来た社員は、1社目が国内最大級の企業で、2社目が外資有名コンサルで、3社目がVoicyです。ですから、いくらでも大手を知っていて。

その中でも、「自分が産休している間、会社がどんどん進んでいくのが歯がゆかった。早く戻りたい」と言ってくれました。私が会社に対して必死になって一生懸命に仕事をするのは当たり前ですけれど、誰かにもそう思ってもらえる会社になってきているということは、想像以上に愛情をもらった感じがしました。

やっぱり責任感も感じますし、率直に「これは会社潰せないな」と思いました。Voicyはまだ赤字を垂れ流していて、資金調達で生きている会社なのに、その一方で、社員は産休に入ったり、産休が明けて戻って来てくれたり、結婚したりもするわけですから、ヒリヒリします。

スタートアップの経営者は、皆さんそういうふうに感じているものなのでしょうか。

Voicyはもともと社員が若い子ばかりだった印象もありますし、少し前は考えられないですよね。でも、みんなもうだいぶ大人になりましたし、いい会社になりました。

会社をつくってもう6年ですから、20代半ばくらいだった社員も、皆30代に入ってきましたね。もう6年が終わって、7年目です。あの社員第一号の「京ちゃん」はもう5年以上になります。


7年もやっていると、みんなライフステージが変わっていきますね。そういうステージの変化をしみじみと感じるのも、スタートアップ経営の楽しさ、ありがたさだと思いました。

ーー最後まで読んでいただきありがとうございました。

声の編集後記

記事の執筆後に、これまでのことを振り返って音声でも話しています。よかったらこちらもお聞きください。

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