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Voicyのカルチャーフィットとプロ社員の間で悩んだ日々 【声の履歴書 Vol.19】

こんにちは。Voicy代表の緒方憲太郎です。

Voicyがこれまで歩んできた道のりについて書くシリーズ。今回はVoicy初期の採用について振り返ってみます。スタートアップの採用はどこも課題を抱えていると思いますが、Voicyもそうでした。

カルチャーフィットを重視する一方で、プロ社員という試みも考えてみたり。試行錯誤の日々について書いてみました。

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スタートアップ初期の採用はむずかしい

創業以来、マーケットがあるかどうかもわからない市場を走り続けてきました。

世の中ってすでにあるマーケットを置き換えるか、何らかの不利益を解消するところにプロダクトを作ればお金になるわけですが、僕たちは作ったところでそれが本当に儲かるの?っていうことが全然わからなかった。

そうすると一番むずかしいのが採用なんですね。どうにもイケてる会社っていう説明ができなかった。

この会社は儲かりますよとか、事業的に成長しますよということがあまり魅力として説明できなくて、ビジョンでしか人にアピールできなかったんです。

何もわからないからこその面白さというのはあるんですが、でも皆さんちゃんと今後のキャリアを考えているので、人を集めるのはめちゃめちゃ大変だったんですね。

そんな会社に正社員を入れるのも勇気がいるなと思っていたし、組織をどうしようかと悩みながら、最初は緒方と窪田と、あと数人のお手伝いの人たちでなんとかしているという形でした。

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ただお手伝いしてくれる人たちだけで組織を作るのは、これもやっぱり難しい。会社としてのカルチャーを醸成するには社員という形は必要だと思いました。それまでに散々失敗を繰り返しました。失敗を繰り返してカルチャーフィット人材を採用することが何より大事じゃないかという結論になり、仲間集めの方向転換をしました。

カルチャーフィットが来た!?

2017年秋に1人目のエンジニアを採用したときは、まず窪田さんが面談して「緒方さん!カルチャーフィットしたやつが来ました!」って、僕がスキルは?って聞くと、「わかりません!」でした(笑)

当時のVoicyにカルチャーと呼べるものがあったのかはよくわからないですが、会ってみたら、「うん、カルチャーフィットだ。採用!」って意気投合しました。じゃあ明日から来ますねって言って、次の日からやって来たんです。

ベンチャー企業は当然オフィスに泊まり込みなんだろうなと思ったらしく、初日に鍋を持って出社してくるという変わった人間でした。たしかにカルチャーフィット感がありますよね。

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(実際、その後Voicyという会社に「鍋」が大きな役割を果たしていくことになるんですが、それはまた別のnoteで書きます)

その時は緒方と窪田しかいないし、労務関係もよくわからないし、とりあえず業務委託契約で始まりました。同時に今後のことを考えたら、どうやって会社組織を作っていくか、Voicyらしい方法論を考えないといけないなと思いました。

ただ当時の僕はすごく未熟で、「こんなサービスを作りたい」というのと、「こんな組織を作りたい」というのが結びつかずに、それぞれに別個のものとして思いを持っていたんですね。

だから今となっては恥ずかしいですけど、めっちゃ熱くVoicyというサービスが大好きで、皆と働いているのが楽しいって言っている割に、サービス自体はものすごくこだわって、深く考えまくった上で出していこうと。

最高のアウトプットを少人数精鋭で出したいと思っているにも関わらず、組織はみんな仲良く!みたいなことを考えていて、なるほど、下手だったな…と今になって思います。

「プロ社員」という制度を考えたが…

その当時の“下手だった”施策の1つに「プロ社員制度」というものがありました。これは僕が考えたんですが、頑張る人に、「もっと頑張っていいよ」って言える場所を作りたかったんです。

とにかく自分の結果だけですべてが評価されるという仕組みを、アメリカのように年度契約の仕組みでやりたかった。

プロ社員というのは正社員と業務委託の間であり、契約体系としては業務委託契約を使う。でも正社員以上に大事にされるポジションというものを作りたかったんですよ。この制度を入れることで社員が急成長するんじゃないかと思っていた。

1年更新で毎年どういうコミットをするかは、お互い会社と社員で話をして決めたらいいし、常に会社と社員の中でお互いにコミットするという意識があって初めて結ばれるという緊張感があってもいいんじゃないかなと思っていたんですね。

その仕組みを、ベンチャーだからこそできるんじゃないかと思ったんです。

先に結論を言いますと、ベンチャーだからこそ「今はいらん」ということが後でわかるんですけど。

ベンチャーはそもそも皆が仕事を好きでやりに来ているわけだから、楽したかったりサボりたい人はいない。むしろ正社員に対して「ちゃんと守るからできるだけ攻めろ」って言い続けたほうがいいと気づきました。

大企業におけるフリーライダーみたいな存在は、そもそもベンチャーは生まれにくいです。だってフリーライダーが出るほどの余裕がないわけですから。

制度としては僕は日本に必要なものだと思いつつも、スタートアップがそれをやるのはちょっと時期尚早だった。

プロ社員制度を実行するために、業務委託契約の人にもストックオプションを配れるような制度を作ったりとか、他社の事例を調べてやって試してみたりとか、組織についてはいろいろ考えていました。

調べているうちに、タニタさんがそれに似た制度を始めるという話を聞きました。数人でトライアルをしているという時期だったんですよね。

そうだよ!これだよ!って思ったんですけど、タニタさんですら相当苦労してやっている中で、創業して1年足らずのVoicyには難易度が高かったですね。

スタートアップという自分で仕事を見つけて自分でどんどん解決していこうという環境においては、会社と一心同体になっている正社員という形のほうが結局相性が良かったのかなって思います。

ではスタートアップの採用はどうあるべきなのか、次回もっと深堀りしていきたいと思います。

ーー次回も引き続き、スタートアップと採用・組織作りについて書いていきたいと思います。(マガジンにまとめていくのでよかったらフォローお願いします)。

声の編集後記


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