スマートスピーカーが登場したときもVoicyは全力で乗っかっていた 【声の履歴書Vol.45】
こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。
今回はスマートスピーカーの登場について振り返ってみます。日本におけるスマートスピーカー元年は2017年。たった4年前のことですが、いま考えると大昔に感じます。
あのときもVoicyは振り回されながらも必死にもがき、いつの間にか大きな波に乗っかっていました。
“声のOS”への期待とスマートスピーカーの衝撃
もともと僕はAppleの「Siri」が出てきたときに、声のOSが出てくるだろう、これはやばいぞと思っていました。声で指令できるって、すごく可能性があるじゃないですか。
あらゆるハードウェア・ソフトウェアをどんどん声で指示するようになってくる。そうしたら、本当にSFの世界になっていくだろうとワクワクしていました。
IoTの時代が進んでいたので、冷蔵庫とか洗濯機にOSが入って、喋って指令をするようになるのも面白い。iPhoneの中にSiriが入っているように、いろんなものにSiriが入ると思っていたんです。
そうしたら、喋って指示するだけのものが出てきた。
「スマートスピーカー」という製品が登場したときには、正直びっくりしました。“それだけのガジェット”がまず出てくるんだな、と思って。
でも将来的にはこのガジェットをわざわざ家に置いておくんじゃなくて、どこかに「染み込んでいく」はずなんです。なので、スマートスピーカーは将来なくなるんじゃないかって思っています。
いまは過渡期として、まずは人の声による指示を認識して、BluetoothやWi-fiで繋がる家電を操作するものになっている。
でもたしかにこの「繋がる」「命令する」という体験自体は新しいですよね。スマートスピーカー以前はなかった体験でした。
AmazonとGoogleよりも早かったLINE CLOVA
米国ではすでにAmazon AlexaとGoogle Homeが戦っていたところに、日本ではいち早くLINEが「我々もGAFAと戦うんだ」という意気込みでCLOVAという製品を発表した。
CLOVAの当初の品質は海外の競合にやや劣る印象でしたが、まずは先手を打つという戦略です。
そんなときに出てきたのが「コンテンツ自体がない」という問題でした。スマートスピーカーから流す音声コンテンツがどこにもない。当時の世の中の音声コンテンツはざっくり言うと、ラジオか、オーディオブックか、ポッドキャストでした。
いわゆる普通のニュースみたいなコンテンツが全然なかったんです。聴きやすい短尺コンテンツもない。ポッドキャストもいまほど盛り上がってなくて、出すものがなかったようです。
そうなったときにスマートスピーカーを開発する各社がVoicyに目をつけてくれました。当時のVoicyは、ITビジネスニュースとか、毎日更新される10分くらいの音声コンテンツをたくさん出していました。「これはチャンスかもしれない」と思いました。
Voicyのリリースからちょうど1年くらい経ったタイミングでした。Google Homeキックオフのパートナー企業のような扱いで、なんとGoogleのホームページに僕らのロゴが出たんです。
(このマイナビの記事に写真が載っていました)
もう社内では大騒ぎですよ。あのGoogleのホームページにVoicyのロゴが出てるぞ、と。「突然、こんなことが起こるんだ…」みたいな感じでしたね。
毎日新聞、日経新聞、スポニチ、ラジオ局などの有名どころに混じって、Voicyという名前があるので、「この会社はなんだ?」という声も見かけました。1社だけ創業1年目のベンチャーですから。
この提携(?)がきっかけになって、Google Homeから音声を出したい、ニュースを出したいです、という企業さんから問い合わせをたくさんいただきました。
いまも一緒にやらせていただいてる野村證券さんはこの頃からのお付き合いです。野村證券さんの音声コンテンツをVoicyでつくって、それをGoogle HomeとAlexaで流すことになりました。
Google Homeで「ニュースを流して」と言ったときに流れるコンテンツのうち、実は30%くらいはVoicyのインフラを経由しています。リリース時の対応メディアである毎日新聞、スポニチ、日経新聞など、その多くはバックエンドにVoicyがいたんです。
まだVoicyの名前なんて誰も知らない頃です。一般認知度はほぼゼロで、当時はまだいまの100分の1もないユーザー数でしたが、スマートスピーカーの登場による衝撃波がいろいろなところで後押ししてくれたように感じます。
考えてみると最近のClubhouseムーブメントもそうですが、大波にはとりあえず乗っかる、乗っかりながら考えるというのがVoicyのやり方なのかもしれません。
このまま全国各家庭に1台スマートスピーカーが普及したら、誰もがスマホ経由でSiriやAlexa、Googleアシスタントにつながったら、そのままVoicyもすごいことになるじゃんって思いました。
でも、もちろん、そんなにトントン拍子にはいかないわけです(笑)
ーー続きは後編で。スマートスピーカーについてはまだまだ語りたいことがあります。よかったらまた次回も読みにきてください。
【声の編集後記】
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