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Voicyがアイテム課金導入にあたって、「あえてやらなかった」2つのこと【声の履歴書 Vol.61】

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

Voicyは先週、ちょっと大きな新機能を発表しました。「差し入れ」です。要は好きなパーソナリティさんの放送に「今日は良かったよ!」って課金アイテムを贈れる機能なんですが、もちろん設計はいろいろ考えました。

今日はそのあたりについて語ってみようと思います。

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もともとリスナーさんからの要望で作った機能

今回の新機能は名前のとおり、リスナーがパーソナリティに対してVoicy上で「差し入れ」という有料アイテムを贈れるというものです。

パーソナリティさんが「この放送で今度こんなことを話します」と言ったら、「応援しています」という気持ちで差し入れをしたり、終わった後にすごく良かったと思ったら、「今日も良かったです」と差し入れをするといった使い方ができます。

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差し入れは4つあって、500円の栄養ドリンクと、1000円のクッキーと、2000円のフルーツバスケット。それから花束は100円単位で好きな金額であげられる。まるで公演会や発表会の前後に楽屋に持っていきそうなものをイメージしました。

なんでこれをやるかというと、もともとはパーソナリティさんからではなく、リスナーさんからの要望が強かったんです。「払いたい」と。

すごく感動した放送だったりとか、Voicyの話を聞いて人生観が変わったとか、価値観が変わりました、という声がすごく出るんです。その中で、自分が感謝を表現したいという声がありました。

それを表現するために、プレミアムリスナー以上に何か貢献できるものはないですか?とか、ギフティングするものがほしいですという人がけっこういました。

いつもの放送にも感謝しているけれど、今回は特別何かを言いたい、という気持ちのとき、これで好きなものを買ってね、と。もらうほうも、それで何かが届くってすごく嬉しいんですよね。

近いサービスとしては、noteのサポートがありますね。何かの対価というよりは、気持ち的にあげるという感じです。たしかに僕もnoteで発信をしていると、たまにサポートとして500円が送られてきたりするんです。それってめちゃくちゃ嬉しいんです。

チップみたいに、必須じゃないのにわざわざ払う気持ちというのはすごく良いものだなと思って、そこは表現できるようにしようと思いました。

一方で、僕はいわゆる投げ銭があまり好きじゃないんです。

発信者のクリエイティブを損ねないように、課金競争にならないように

「差し入れ」はこれまで僕のポリシーもあって、すごく悩んだ機能なんです。

例えば生放送中にリスナーさんがどんどんお金を投げ込むことによって、発信者が「○○さん、ありがとう」「あ、○○さんもありがとう」って言い続けている。そんなサービスにはしたくなかった。それって本当に良いコンテンツなのかなっていう疑問がありました。

そのために2つ避けたことがあります。

その1つが、発信者のクリエイティブを邪魔しないことです。発信者がそっちに気を取られないように、発信中は気がつかない場所で流す。終わった後で「こんなにきていたんだ!」とわかるだけで十分だと思います。

もう1つは、課金競争にならないようにすること。お金を払うこと自体にハマってしまったり、射幸性を煽ってしまったりとか、払っている本人たちが主役みたいになってお金を払いまくってランキング争いをするとか、そういうのは本来Voicyではやってほしいことではないです。

僕らは、声で魅せて、声で喜んで…という声で繋がる世界をつくりたいので、課金を煽るサービスとは一線を画したい。その設計には特に気を遣いました。やっぱりインターネットってかなり簡単に中毒になりやすい場所なんです。

いかに中毒性を持たずに、いかにヘルシーに運営するかをすごく大事に考えましたね。コンテンツを壊さないか、競争力を煽りすぎていないか、ちゃんと意識して作りました。ライブ中に「○○さんが課金しました!」とかポンポン出てきたりしないし、誰がいくらあげたかわかるわけでもない。Voicyはこういうところは常に逆を行く。

「ボイスコマース」につながる可能性も

差し入れは普通の放送にも、生放送にも贈ることができます。通常放送の場合は、聞いた後に「今回は特によかったな」と思ったらポチッとあげられる。生放送の場合は、配信中だけでなく、配信前後も贈れる。ちょうど友だちの楽屋に行って何かを渡しに行く、みたいな感じなんですね。

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パーソナリティさんからお礼メッセージを返す機能はいまのところないので、もしかしたら次の放送で「〇〇さん、ありがとうございました」くらいは言いたくなるかもしれませんね。それはコメント返し的な感じかな。ここのコミュニケーションはもう少し考えたいと思っています。

その他にも「こんな話がしてほしいです」と依頼とともに差し入れたり、個人スポンサーをこの差し入れの金額に合わせて実施することも可能です。

あと考えているのが、これってそのままECにもなるんじゃないかと。10月末に「Voicyフェス」という大型イベントを開くんですけど、グッズがほしいという声をけっこうもらっています。

Voicyフェスオリジナルグッズ。パンフレットみたいなものとか、ステッカーとか。

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▶Voicyフェス 公式ページ

今回のVoicyフェスは外部サービスを使って販売することにしたんですが、5000円以上差し入れをした人がコメントに住所を書いたらそこにグッズのセットを送ります、みたいなことも今後できるようにしたい。

放送中に差し入れをいくら以上入れてくれた人には商品を送ります、みたいなボイスコマースができると良いですよね

サプライズプレゼントに使ってみたいかも

たとえば差し入れとともにコメントをくれたら、そのコメントをお題にして話します、みたいなね。栄養ドリンクとともに「この話をしてください」とか「こんな話を聞きたいです」みたいなことを言ったら、やってくれそうですよね。

たとえば僕がワーママはるさんの放送に差し入れをして、「僕の名前を1回呼んでみてもらえませんか?」とかもありかもしれませんね。

ちょっと嬉しいじゃないですか、僕の名前がいつも聴いてるパーソナリティさんから発せられたってなると。あとは「うちの奥さんがワーママはるさんのファンで、誕生日なので、『おめでとう』と言ってもらえませんか?」なんて使い方もいいですよね。サプライズプレゼントになったりして。

もちろん行き過ぎには注意ですけどね。番組ごとの温度感でパーソナリティさんとリスナーさんの間でより濃いやり取りができたらいいなと思います。

声の編集後記


音声ではここには書ききれなかった話をお届けします!よかったら聴いてみてください。

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