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オフィス敷金の「10ヶ月分」に驚愕…。初めてエンジェル投資を受けた話【声の履歴書 Vol.33】

こんにちは。Voicy代表の緒方憲太郎です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

今回は初めてのオフィス契約初めてのエンジェル投資について振り返ってみます。

ベンチャー支援の仕事をしてきた経験はありましたが、自分でやるのは何もかも初めてでした。当時どんなことを考えていたか書いてみます。

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初めてのオフィス契約で驚いた…

Voicyは創業後、エンジェル投資を2ラウンドに渡って受けました。

1回目の2017年1月は初めてオフィスに入居した後くらいのタイミングです。前年9月にVoicyをリリースして、そもそもすでにお金がなかった。

その状態で10月1日からオフィスを契約しようとしていました。そのオフィスは15坪。結局15人くらい入るまでそこでやるんですけど、最後はギューギューでめちゃくちゃ狭かった。

でも坪単価2万円くらいしたんですよね。当時のスタートアップにしては坪単2万ってだいぶ贅沢やな、みたいなところに入ったわけです。

一応渋谷のど真ん中、駅からも近いし本当は安いんですけど、めっちゃ高いと思いましたね。たった15坪、45平米ですよ? それで毎月32万円ですから。

でもよくよく考えたら、いま建ってる渋谷ストリームよりも渋谷駅側にあるし、超好立地なんです。割安ではある。そのビル、最上階に管理人室とオーナールームがあって、なぜか15坪だけちょこっと空いてたんですよね。

で、初めてオフィス契約をしてびっくりしたのが、家賃が32万円で敷金が「10か月分」なんですよ。めちゃくちゃ高くないですか。

僕、当時は完全に敷金っていうのは1か月分だと思ってました。家じゃないから普通そんなことないんですけど、知らなかったので(笑)

まさかの敷金10か月で、「えっ?」ってなって。なんとかしないと…と思いました。

スタートアップがお金に関してまずやること

ただ僕、ずっとベンチャー支援の仕事をしていたので、こういうときにまずやるべきことは知っていました。「政策金融公庫」でお金を借りることです。

これは創業融資みたいな制度です。たしか7年後に一括返しで、金利もめっちゃ安いんですよ。

でもやっぱり事業がちゃんと成り立つ見込みがあって、こういうふうに事業を成長させますという説明ができないといけないです、当然。

そのへんの資料作りとプレゼンだけはすでにプロレベルで慣れていたので、まずは手ぶらで銀行に行きました。なにしろアプリも出てないときですから。

「たぶんこういう売り上げが立ちそうです」って言ってみたらやっぱりダメ。2回目ではちゃんとパワポ1枚と、とある企業から発注してもらった9万円の売上を引っさげて行って通りました。

銀行に行くときに思いついて、アプリのプロトタイプの中にVoicyパーソナリティに仕事のオファーができるというサービスを作りました。

作ったというか、「パワポ1枚の資料」を作ったわけです。

友人・知人の会社に声をかけたら、新製品記者発表のイベント司会をお願いしたいという話がきました。それで当時手伝ってくれていたVoicyパーソナリティの女性(なんといまはVoicy社員になってます)を派遣したわけです。アプリリリース前に売上を立てる事業をなんとか作る。

これで政策金融公庫から3000万円借りることができました。入金の日とオフィスの敷金の支払い締切が同じ日でした。朝、口座に入金されたのを確認して午後に敷金を払うっていうギリギリのことをやっていましたね。

エンジェル投資はお金ではなく、仲間を得る

なんとかお金が払えてオフィスを借りました。僕と窪田は給料0円だったので、月の支出は32万。ほぼ家賃だけ。3000万円借りていたのでだいぶ余裕ができました。100ヶ月くらいは生きていけます。(甘すぎる単純計算)

でもそのタイミングでさらにいろんな方にエンジェル投資をお願いすることにしました。当然、一番の目的は、お金を集めることではありませんでした。仲間作りです。

僕はたくさんの起業家を見てきましたけど、エンジェル投資家を入れて常に相談などをしているところはやっぱり強いなと思っていました。エンジェル投資家というのはメンターに近い意味合いもあります。

投資家であり、メンターであり、仲間であり、何か困った時に相談できる人たちです。そして株主というのは身内です。普通だったら会ってくれないような人が相談に乗ってくれたり、気軽に連絡できるようになるわけです。

自動的に親族になってもらえるというか、盃を交わしてもらえるわけですね。

あとはこれから会社に入ってくる社員たちにとっても、僕と窪田以外に立派なエンジェルの人たちと話ができたらきっと成長するだろうし、楽しいはず。なのでエンジェルは積極的に入れていこうと思っていました。

取引先の銀行から紹介してもらったり、自分のツテをたどって何人かの社長や起業家から2000万円を集めました。

早朝30分のプレゼンで…

よくある言い方ですけど、「○○さんも出してくれるって言ってましたよ」って言いながらお願いしましたね(笑)どんどん人が人を紹介してくれてつながっていきました。

大企業の経営者にfacebookで突撃アポを取って朝8時から30分だけもらって、「3つお願いがあります」とプレゼンしたこともありました。

1つは事業に対してフィードバックがほしい、もう1つはできれば今後相談とかに乗ってほしい、そしてあわよくば出資してほしいと。そしてはじめまして。

30分話してなんとか「わかった、出すよ」って言ってもらえて、あのときは嬉しかったですね。

当時は、徐々にスタートアップ企業への出資額というのは増えてきたものの、シードで2000万だったらまあまあいいほうだったと思います。

こうして大事なお金と大事なメンターを手に入れることができました。もちろんこのときのエンジェル投資家の皆さんにはいまもいろいろ相談に乗ってもらったり、お世話になっています。

ーー次回も引き続きファイナンスの話をしていこうと思います。よろしくお願いします。

声の編集後記


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