なぜテキストと動画の時代に「音声」だったのか? Voicyの最初のコンセプト 【声の履歴書 Vol.9】
こんにちは。Voicy代表の緒方憲太郎です。
Voicyがこれまで歩んできた道のりについて書くシリーズ。ここ数回ほど僕と窪田の出会いについて書きましたが、今回は本筋に戻ってVoicy開発初期の話です。
なぜ2015年にVoicyをつくろうと思ったのか、少し掘り下げてみたいと思います。当時はテキスト全盛、YouTuberも登場し始めた時期でした。
ゆっくりですが、まだまだ続きますので、よかったらnoteをフォローしてみてください。
いきなり話がずれますけど、あまりに“できすぎてる話”を語る人っていますよね。明らかに事実と違うことを話す人。
でもそういう人ってたぶん、自分で「こうなんだ!」と思って言い続けていたら「いや本当にそうなんだよな」と思うようになって自分の記憶をすり替えちゃっているんだと思います、すごく綺麗に。
ある意味では病気かもしれない。でもその気持ち、ちょっとわかる気もします。僕も「音声の世界が絶対に来ると思って始めた」みたいなことをよく語っていますけど、実は「本当にそうだったのかな…」っていう自信のなさも一方ではあります。
僕は本当に音声が絶対来ると思っていたのでしょうか?
いろいろ寄り道をした挙げ句にVoicyの開発に取り掛かる僕らですが、そもそも2015年当時、なぜ音声メディアをつくろうとしたか。
「もうそろそろ音声の時代が来そうだと思って」
「人の声というものはとても魅力的なのにあまり活かされていない」
「声の魅力を最大化するアプリを作れないか」
以前、こんなふうに書きました。
どれも間違ってはいません。が、今回はここをもう少し掘り下げてみたいと思います。
文字情報とSEOの時代に耳は
Voicyを始めた2015年当時はテキストメディア全盛期で、キュレーションメディアがもてはやされていました。動画はまだ盛り上がる一歩手前。YouTuberという言葉が一部で知られはじめた頃です。
世の中に活字メディアが溢れていて、キュレーションメディアが新たなビジネスモデルになっていました。文字情報とSEOの時代です。
そのとき僕はそんなに文字って必要?とも思っていて、こんなにあるんだったらこれらのコンテンツがもうちょっと人の耳に入ったっていいんじゃないの、と感じていました。
明らかにコンテンツ供給が目に偏っていて、バランスが悪かったと思うんですよね。
一緒に飲みに行きたい人は「話が面白い人」
みなさんの身の回りで好きな人を順番に思い浮かべてみてください。
たぶんすぐ思い浮かぶのは話が合う人、話が面白い人じゃないでしょうか。例えば一緒に飲みに行きたい人となると、話が面白い人になりますよね。好きな芸能人ランキングもだいたい面白い人が上位にきます。
文章が上手い人ではないし、意外とかっこいい人、かわいい人でもないんです。だってみんな、毎日必ずしゃべってるじゃないですか。魅力を感じやすいし、出しやすいわけです。
だから音声サービスがポッドキャストくらいしかない時代に、「いや音声の世界はもっともっと面白くできる」という思いはありました。
世の中にはめっちゃ面白い人がいて、何か話すネタを持ってる人もいる。音声はもっと多くの人に刺さるだろうなと思っていました。それなのに活字や動画に比べて、世の中に面白いコンテンツは少ない印象です。
活字メディアが新聞しかない世界を想像してみると
もちろんラジオとかradikoはありました。でもそれしかないんですよ。これは日本で活字を読むのに新聞しかないようなものです。びっくりですよね。
動画を見るならテレビしかないのと同じです。なにそれ少ねー!と思いますね。だったら世の中に溢れる活字を音声にするだけでも相当な量になるはずです。
音声は「ながら消費」が強みという人がいますが、実際は「ながら」とか言っている場合じゃないと思います。
「ながら」ですら聞いてくれるコンテンツって本当にあるのか。 「ながらで聞くからいいよね」とか言うけど、そもそもながらでも聞いてくれているのか。そこを突き詰める必要があると思いました。
「ながら」ですらハードルが高い。そのぐらい世の中の音声コンテンツは少ないし、面白くないし、逆に言えば可能性が残されているのではないか。
「活字メディア×人の声」というコンセプトから始まった
まずは溢れる活字メディアを音声化したり、それについて感想を言ったり、コメントしたりすることで、より魅力が出るはず。
それがVoicyの最初のアイディアです。
世の中の活字メディアを人が声で読みながら一言付け足すとか、みんなが自分なりのカラーを出して読み上げるとか、「活字メディア×人の声」というのが初めのコンセプトでした。
今の姿とはだいぶ違いますね。「音声の世界が…」とか後から大きなことを言ってるけど、最初はこれだけ活字がいっぱいあるのをもうちょっとちゃんと利用しようぜ、まずは人の声との掛け算がいいんじゃね?というところからスタートしました。
そんな企画でアプリを作り始めました。当時は記事メディアをたくさん読み込んで、それを見ながら声を発信するアプリはなかったです(たぶんいまもないですね)。
(初期のVoicyのモック)
これは新しいのではないか。さっそくプロダクトを完成させて、既存メディアと交渉!といきたいところですが、それが両方ともめちゃくちゃ苦労しました。
ーーどっちの苦労から書いていこうか…次回をお楽しみに(マガジンにまとめていくのでよかったらフォローお願いします)。
声の編集後記
音声では毎回ここには書けない裏話をお届けします!よかったら聴いてみてください。
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